5月18日、長野県アスベスト対策センター(鵜飼照喜・代表=信州大学名誉教授)の第7回総会が開かれました。同センターは2018年4月に、「静かな時限爆弾」と呼ばれるアスベスト(石綿)の曝露により肺がんや中皮腫などを発症する被害から労働者や県民の生命・健康を守ろうと発足、アスベスト相談会に取り組むとともに、労災認定の支援や建材メーカーに対する損害賠償を求める裁判への支援等を行ってきています。
2019年の台風19号災害では、災害ボランティアの皆さんへのアスベスト曝露防止対策や公費解体におけるアスベスト対策を求める活動にも取り組んできました。同センターの副代表に就いています。
総会では、「能登半島地震における災害ごみ処理とアスベスト対策」をテーマに、中皮腫・じん肺・アスベストセンター(東京)の永倉冬史事務局長(オンライン)と、長野市環境部生活環境課の梨本正彦係長から報告をいただきました。
永倉さんからは、東京センターとアスベストリスク・コミュニケーション・プロジェクトのメンバーで5月初旬に被災地を訪問し、穴水町の災害廃棄物集積場や輪島市(朝市地区)の被災地調査の状況と石川県や全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と意見交換の様子が報告されました。七尾市・輪島市・JVOADに防塵マスク1600個を提供されたとのことです。
被災地ではこれから撤去される瓦礫の中にアスベスト含有建材が混在し、また吹付けアスベストがむき出しになっている現状があると指摘、公費解体に向かう中で十分なアスベスト対策が必要であることが強調されました。災害ボランティアに対するサポートが十分にできていないこと、広域的な被災に対する県行政の立ち遅れが課題であると指摘しました。
長野市の梨本さんからは、「台風19号災害の教訓を踏まえた能登半島地震の現状と課題」をテーマに、環境省の「災害廃棄物処理支援登録制度(人材バンク)」に登録している職員として、発災直後から3次にわたり珠洲市に支援に入ってきた経験を報告してもらいました。車中泊支援の下で、兵庫県や神戸市の職員と一緒に災害時廃棄物処理事業の検討・助言や仮置き場の開設・運営方法への助言を担当されてきています。
台風19号災害とは比較にならない甚大な被災であることから、復旧・復興に向けて息の長い支援が必要だと指摘。交通が寸断し、上下水道やごみ処理施設が停止している中での支援の困難さが強調されました。
災害廃棄物処理では、仮置き場の運営で、石膏ボードはアスベスト含有建材とみなし対応することを共有化して取り組んできたことが報告されました。
災害ボランティアの瓦礫処理や公費解体の本格化に伴い、アスベスト対策の徹底が求められることになります。今後も支援派遣が続きます。
今回の学習会には、石川県から内灘町や白山市の議員も参加しました。社民党つながりの議員の皆さんで、発災後から長野の経験と教訓を報告し、災害時におけるアスベスト対策の重要性についても共有してきた仲間です。具体的な取り組みはこれからです。