初めての長野市議会・議会報告会…「まずまず」とはいえ、課題浮き彫りに

 10日夜、長野市議会初めての「議会報告会」を市役所講堂で開きました。議会活性化の取り組みの一環として、市議会としての報告会を通じて、「信頼される議会」、「身近な議会」の実現を目指すものです。
 新年度予算などを議決した3月市議会定例会の報告をメインとする第1回議会報告会には約80人の市民の皆さん(中には理事者側からの参加もありましたが)に集まっていただきました。議員は38人全員出席です。

市役所第二庁舎10F講堂で開いた第1回議会報告会


 参加した市民からは、特別支援教育の充実、子育て支援の拡充、第四学校給食センター建設事業や新庁舎における総合窓口ワンストップサービスの課題、水道料金の改定と経営健全化の見通し、新市民会館の維持管理、まちづくりの課題などに関する質問が相次ぎました。
 また、「二元代表制に基づき議会としての役割を発揮してもらいたい。市民の声をしっかり反映してもらいたい」との要望も示されました。

 時間は予定の2時間を上回り、終了したのは午後8時半、ほぼ予想通りの展開となりました。

 副議長が締めくくりのあいさつで「質疑がかみ合わなかったところがある」と述べた点に、課題が集約されます。市民の質問に、課題を所管する委員長が的確に応えられず窮してしまう場面があったからです。

 議会報告会は市行政の施策を説明する場ではありません。従って、報告内容のポイントを新年度予算等の審議で賛否が分かれた事項、議案や所管事項について議会として要望した事項におきました。
 市政全般を網羅するものではありませんから、参加者の皆さんとの問題意識のズレが生じてしまうということでしょう。

 例えば、「子育て支援についての報告がない。議会は重要性をどのように認識しているのか」との質問が一つの例でしょう。議会側としても、子育て支援の重要性を認識して議案審議してますから、保育所(民営化の問題はさておいても)や地域子育て支援センターの充実や放課後子どもプランの拡充、産休・育休などをとることができる環境整備などを要望してきているわけです。所管委員会はまたがることになりますが、仕分けというか、コーディネートの難しさを痛感しました。

 また、水道料金の改定と経営健全化を問う質問では、市側の考え方と議会側の対応を整理して十分に応えることができず、市民の皆さんにはフラストレーションを強める結果になったのではないかと懸念します。

 水道事業は水道料金収入によって成り立つ公営企業であり、節水意識の浸透と大口利用者の井戸水利用などにより料金収入が減っていること、老朽管の更新に約1400億円かかること、赤字経営に転落させず将来にわたり安全な水を安定的に供給するには料金改定が避けられないことなどの市側の改定理由に対し、議会としては「市民負担は重いが止むを得ない」と判断した上で「消費税増税もあり、低所得者に対する配慮と市民への丁寧な説明を強く要望してきたこと」、さらに市側が「50年後の水道事業を見据え『水道ビジョン』をH25年度に見直す」としていることに対し、「市民の声を踏まえしっかりとチェックしていきたい」とする議会としての姿勢を明確に示すことが求められていたと考えます。

 市民の皆さんからの質問は長野市行政の姿勢を問うものになります。議会側としては、行政の方針に対し、何を論点として議論したのか、結果どのような議決を行ったのかをきちんと整理して応える用意周到な準備が求められることになります。ペーパーにした報告書の内容に限らずということになります。

 二元代表制を踏まえた議員の資質向上が問われるとともに、議会報告会におけるコーディネートの改善も求められるところでしょう。コーディネーター役を第三者に委ねる検討も必要なのかと思います。「議員が育つ場」としての議会報告会の副次的効果を発揮していきたいものです。

 今回は、私は記録・広報の責任者で、もっぱら写真を撮っていましたが、他人ごとではなく、自戒しつつ、次につなげていきたいと思います。

 報告会のアナウンスは結構したつもりですが、地元安茂里からの参加者はゼロだったのかな?他地区から参加してもらった市民はいらっしゃったのですが…。

 要約筆記を利用された市民はお一人でしたが、準備できてよかった点です。一方、託児所の利用はありませんでした。開催時間の問題として、さらに検討する必要があるでしょう。

要約筆記を利用しての参加も。


託児室です。利用はありませんでした…。保育士さん2名にお願いしました。


 全体的には、「まずまずだったのかな」と思いますが、当然に課題も浮き彫りになりました。現実的に、議会として市民の意見を聴く場となった報告会だったように思います。「質疑」か「意見聴取」か「意見交換」かといった運営の基本のあり方についてもさらに検討が必要です。
 しかし、議会基本条例制定から実現が問われ、早期の実施を求めてきた私としては、ようやく議会報告会が形になったことをうれしく思います。

 5月27日に議会報告会の実行委員会で総括することになっています。会派ごとに課題整理を行うことにもなります。アンケート結果なども踏まえつつ、より充実した議会報告会にできるよう、さらに尽力したいと思います。

 参加された市民の皆さんから、個別にでも要望・意見をいただければ幸いです。

会場準備風景…議会事務局の皆さんと議員で準備しました

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