3月定例会・質問より➋…より良い公共交通ビジョン策定に向け提案

 「質問より」の2回目は「より良い公共交通ビジョンの策定」に向けた質問です。
 かなり長くなってしまいましたが、ご容赦ください。
 写真は「インターネット録画放送」より。シャープではありませんが雰囲気をご理解ください。
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公共交通=必要不可欠な都市機能

 公共交通を「必要不可欠な都市機能」と位置づけ、「誰もが自由に移動でき、交流を促し経済活動に寄与する交通ネットワークの再構築を目指す」未来設計図として策定されるのが「公共交通ビジョン」です。

 私的には、「公共交通は日常生活に不可欠な都市インフラ」とした位置づけの方が、気に入っています。電気やガスと同様、民間事業者が提供する重要な公共的社会基盤だからです。

 「インフラ」(=バス路線網再編基本計画)から「都市の装置」(=総合連携計画)、「都市機能」(=公共交通ビジョン)と変遷している表現…意味するところは結構「深長」なのかもしれません。
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このほど、市交通対策審議会の議を経て「素案」がまとめられ、3月20日から4月20日までの期間で市民意見の募集(パブリックコメント)が実施される予定となっています。

人をつなぎ、まちを育て、暮らしを守る、公共交通

 「公共交通ビジョン(素案)」は、「人をつなぎ(社会的役割)、まちを育て(経済的役割)、暮らしを守る(福祉的役割)、公共交通」を掲げ、「地域住民・利用者が主役」となって行政・事業者、NPO法人等と共に支える公共交通の役割と将来像を描くものです。

 そして、将来像の実現に向けて、➊誰もが安心して運行を続ける公共交通、➋公共交通ネットワークの再構築、➌わかりやすく利用しやすい公共交通の三つの基本方針を定め、推進施策を体系的に整理し、計画的に展開するための指針としてまとめられたものです。

 長野市の公共交通ネットワークのイメージを「ブドウの房」に例えました。「枝」が公共交通網で「実」が市街地や中山間地域の生活拠点を指します。大小からなる拠点がつながるイメージのようです。富山市の公共交通ネットワークのイメージ=「串と団子」に対置させているのでしょう。

 H36年度を目標年度とするH27年度からの10カ年計画で、必要に応じて見直しを行うとしています。

【長野市公共交通ビジョン素案】…長野市ホームページには最終素案がまだアップされていません。今のところ、紙ベースだけなので、追って掲載します。

 初当選以来、まちづくりと一体で総合的な公共交通ビジョン、公共交通総合政策の構築を提案し求めてきた私としては、一つのステップアップであると受け止めています。
 国における交通政策基本法の制定、「交通政策基本計画」の閣議決定等を追い風としたいものです。

 この間、公共交通対策特別委員会において、「素案」について、全体構成や推進施策の各論について意見を述べてきました。

 私の意見はほぼ「素案」に盛り込まれ改善補強されてきていますが、さらに市民の暮らしにとっての指針となるよう「より良い公共交通ビジョン」の策定を願い、課題を指摘するとともに5点について提案しました。
 質疑の顛末としては一歩?前進です。

総合的・計画的な体系化は評価、だが「検討課題」多く「先送り感」否めず

 ビジョン素案は、推進施策において、「地域公共交通の日」の設定、「もう2回バス乗車運動」の実施、スマホ向けの「バスロケーションシステム」の導入、バスの乗り方教室の開催など利用促進に向けた施策の具体化が明記される一方で、基幹交通軸における新交通システムの導入、市街地周辺におけるゾーンバスシステムの導入、公共交通への利用転換に向けたインセンティブの導入、ICカードの鉄道利用への拡大、市街地への自動車の流入規制の導入等は、いずれも検討課題とされ、残念ながら「先送り感」が否めないものとなっています。
 また、現在居住している地域で、生活圏域内の移動、市街地への移動などについて、10年後にこのように変わるというイメージが描きづらい内容であることも課題です。

マイバスへ…市民主体で維持存続の検討スキーム、「見える化」を

 最初の提案は、公共交通ネットワークの維持・拡充に向けた市民の決定権についてです。

 交通空白地域への対応の基本的な考え方は盛り込まれていますがわかりづらいこともあり、より具体的に、市が中心的役割を担いつつ、交通事業者と連携して「市民主体・利用者主体」のスキームを作る重要性を指摘。

 存続が危ぶまれる路線バスの維持をはじめ、市営バスやコミュニティバスの維持、交通空白・交通不便地域における交通ネットワークの形成にあたり、市としての役割・責任を「維持基準」として設定し、市民と事業者によるパートナシップ協定により路線等の利便性を高め利用促進を図るシステム、そして市としての最低保障基準の仕組みづくりなどをより具体的に整理していくことが必要であると質しました。

 NPO法人等によるコミバスの運行や過疎地有償運送の導入が検討課題とされていますが、現実的には大きな困難が伴うことが予想されます。

 事業者任せ、行政任せから脱皮し、市民の参画度・決定度を高めていく仕組みとして、市民の間にマイバス・マイレール意識を広げ、市民主体の検討スキームの見える化を図ることを提案しました。

 企画政策部長は、「赤字補てんし交通手段を確保する手法では、地域公共交通を自分や地域の課題であるとの意識が希薄となり、将来にわたって継続していくことが困難となる状況も予想されるため、地域住民が主役となって交通手段を運営する仕組みを構築する必要がある」とし「ビジョンにおいて、具体的な検討する流れ、仕組みを市民に分かりやすく『見える化』を図っていく」と補強する姿勢を示しました。
 地域住民の意識改革とともに事業者の意識改革も問われます。

公共交通への利用転換…市独自のノーマイカー事業展開へ

 2点目は、公共交通への利用転換です。
 
 地球温暖化防止の視点からの利用転換の促進、県が実施するノーマイカーウィークの活用・拡充を通じて、市独自のノーマイカー事業を新たに制度化すること。
 そして、公共交通への利用転換を図るためのインセンティブとして、マイカー通勤抑制に制に取り組む事業者への法人税軽減措置等による誘導策の構築。合わせて、交通ICカード「くるる」の汎用化の展望を示すとともに、買い物ポイント、エコポイント制度を早期に導入することを提案。

 市側は、県のノーマイカーウィークとの連携で「もう2回バス乗車運動」に取り組み、「制度化を考慮する」としました。

 また、法人税軽減措置などによる誘導策は、「今後の検討課題とする」にとどまり、ICカード「くるる」の活用は、「まずは電車や近隣市町村への利用エリアの拡大に取り組む」と答弁。電子マネー機能については「中・長期的視点で慎重に研究」で、先送りのままです。

便利な公共交通を実感できる将来像を

 3点目は、生活圏域ごとに「公共交通網がこのように便利に変わる」というイメージが膨らむような内容を盛り込むよう提案。

 これに対しては、「ビジョンは公共交通ネットワークの将来像を中心市街地、市街地周辺部、中山間地域ごとに描いている」としたうえで、「地域ごとに具体的に検討し、ビジョン策定後の地域公共交通網形成計画の中で検討していきたい」との方向性を示しました。

将来目標=指標の設定では前進

 4点目は、ビジョンにおける指標の設定です。
 
 素案では、施策の推進に向けた「数値目標」、「指標」が設定されていません。
公共交通ネットワークの人口カバー率(現況85%)、公共交通分担率(現況6%)、鉄道や路線バスの利用者数など将来目標を数値で明示し取り組みを推進することを強く提案しました。

 市側は、指標設定については、「施策の評価に必要なため、バス・サービスレベルの認知度の引き上げ、公共交通カバー圏域人口の割合の引き上げ、バス・ロケションシステムの導入や待合環境の整備による路線バス利用者の満足度の引き上げなどについて、指標を明示する」と答弁、前進しました。

 認知度や満足度を指標とすることを否定しませんが、主観的要素よりも客観的要素を重視し盛り込むべきでしょう。

早期に「地域公共交通網形成計画」の策定を

 最後に「公共交通ビジョン」の理念と基本方針、推進施策を実効性のあるものとするために、改正・地域公共交通活性化再生法に基づく「地域公共交通網形成計画」、そして「再編実施計画」を早期に策定し施策の具体化を推進することを求め、行政の構えとこれからの工程について質しました。

 企画政策部長は、「形成計画」を策定し「再編実施計画」に取り組む姿勢を明示しつつも、「市域全体を見渡した『面』として公共交通を考えていく必要があることから、都市計画マスタープランの改訂作業、連携中枢都市圏構想や公共施設マネジメントなどの動向を踏まえて、公共交通が市民生活を支える『必要不可欠な都市機能』であることを念頭に取り組みを進める」とし、具体的な工程への言及には及びませんでした。

「自動車の市街地への流入規制」など残る重要課題

 質問では時間の関係から取り上げませんでしたが、まだまだ課題はあります。

 特に市街地への自動車の流入規制の具体的な施策です。交通セル方式の早期導入・整備によるマイカー禁止区域の設定、中央通りの歩行者・公共交通優先道路化、ゾーン30等の導入など具体を盛り込み推進することです。

 また、道路環境の整備との連動性を、都市計画マスタープランと一体で明示化していくことです。例えば、渋滞解消を道路環境の整備と公共交通利用転換の両面からアプローチしていく視点を明記していくことが必要であろうと考えています。

 さらに、公共交通機関の一つである「タクシー」の位置づけと役割を明確にすることです。「素案」では公共交通としての「タクシー」の役割等が明確になっていません。

 「形成計画」「再編実施計画」策定の作業工程の具体と合わせ、明日午後に開かれる公共交通対策特別委員会の中でさらに詰めたいと思います。
 そのうえで、パブコメへの対応も準備が必要です。

 2月3日の「地域バス交通活性化セミナー」における加藤博和・名古屋大学大学院准教授の「利用者起点なくして路線バス再生はあり得ない」の示唆を活かし、「乗って楽しい、降りても楽しい路線バス」を夢に描きながら、さらに取り組んでいきたいと思います。