3月議会を終えて…新年度予算執行上の課題を考える

東京オリンピックの1年延期が決まり、4月19日に予定していた長野マラソンも中止となるなど、コロナウィルス感染拡大は世界的に深刻さを増しています。そして、社会経済活動の停滞への影響は計り知れないものになっています。

ワクチンの開発に時間がかかることを考えると、ウィルスとの共存を図りながら、感染拡大を制御することが喫緊の課題であると考えます。「“ノー3密”(換気の悪い密閉空間、多くの人の密集する場所、近距離での密接な会話)」を心掛け、手洗い、うがい、咳エチケットを励行したいものです。


さて、3月市議会定例会を終えて、最終日の議決情況や新年度予算案の執行にあたっての課題をまとめてみました。ご一読いただけれ幸いです。

新年度予算案を賛成多数で可決

長野市議会3月定例会は24日、台風災害からの復旧・復興費255億3,000万円を含む1,745億2,000万円の2020年度当初予算案をはじめ、特別会計予算案、条例改定案などすべての議案を可決し閉会しました。

改革ネットでは、市提出のすべての議案に賛成しました。

樋口副市長の続投、西島監査委員の信任など人事案に賛成

また、最終日には、副市長、監査委員、固定資産評価員の人事案が提出され、樋口博・副市長の再任続投、監査委員には新任となる西島勉氏(市OB)、固定資産評価員には町田五一郎氏(元市議)の選任を可決・同意しました。

人事案は起立採決で行われますが、いささか半立ち状態であったかもしれません…。

コロナウィルス対策と千曲川治水対策で意見書を採択

経済文教委員会発議の「新型コロナウィルス感染症拡大に伴う地域経済対策に関する意見書」、建設企業絵委員会発議の「千曲川流域総合治水の抜本的な対策に関する意見書」を全会一致で可決採択しました。

➡「新型コロナウィルス感染症拡大に伴う地域経済対策に関する意見書」

➡「千曲川流域総合治水の抜本的な対策に関する意見書」

自衛隊の中東派遣の中止を求める請願は否決に

長野地区護憲連合から提出されていた「自衛隊の中東派遣を直ちに中止し、中東地域から撤収することを求める請願」は、賛成少数で否決となってしまいました。

請願を審査した総務委員会の委員長報告では、反対理由として「日本の原油輸入は中東地域に依存しており、中東地域を航行する日本関係の船舶の安全確保のための自衛隊の活動は大変重要であるから」との意見があったとされますが、そもそも政府の閣議決定においても「中東地域においては、日本関係船舶の防護の実施を直ちに要する状況にはない」とされていること、また昨年6月のホルムズ海峡でのタンカー襲撃事件以降、日本関係の船舶が狙われたケースはなく、派遣の緊急性がないこと、さらにそもそも日本が輸入する原油のおおむね8割が通過し、エネルギー供給の生命線ともいえるホルムズ海峡を活動地域としておらず、日本の海運会社が関わる船舶の大半の外国籍船は防護の対象外となることなどの現実を直視していないものといわなければなりません。

そもそも自衛隊の海外警備行動は海外での活動を想定しておらず、海外での武力行使を禁ずる憲法の規範に反するものなのです。自衛隊の中東派遣の法的根拠も派遣目的もあいまいなままで派遣される自衛隊員の命を尊重する立場といえるのでしょうか。

残念な結果です。

最低賃金の改善や医師確保を求める請願も否決に

また、「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願」、「子ども医療費無料化の制度創設及び子どもや障がい者等の医療費助成にかかる国民健康保険の国庫負担軽減措置に関する請願」、「医師養成定員を減らす政府方針の見直しを求める請願」はいずれも賛成少数で否決となりました。私を含め改革ネットとしては請願採択の立場で臨みました。

「消費税率5%への引き下げを求める請願」には賛成せず

私自身は消費税率の10%への引き上げには反対してきました。

今日、コロナウィルス感染症の拡大により、社会経済活動が大きく停滞する中で、消費税率の引き下げについての議論があることは承知し、必要な措置であると考える一人ではありますが、本請願はコロナウィルス感染症拡大による負担軽減策を目的として提出された請願ではありませんでした。

委員会での審査では、コロナウィルス対策としての必要性が混在した議論となっていますが、別問題として議論すべき課題であると判断しています。

一般的に消費税率の軽減を求める、あるいは8%への引き下げを求める請願であれば、賛成できるとの立場で、同請願には賛成しませんでした。

新年度予算の執行にあたっての課題

今議会では、議案の採決にあたり、賛成または反対の討論はしませんでしたが、新年度当初予算案に賛成しつつも、その執行にあたり、代表質問で取り上げた事柄に関連し、特段に留意すべき課題があることをまとめました。

一つは、復興を確かなものにすることです。

過去最大規模となった当初予算案は、 “幸せ実感都市「ながの」復興元年予算”を編成テーマに掲げ、復興を強力に推し進めるとともに、増大する社会保障関係経費なども十分に予算配分を進め、第五次長野市総合計画が目指す都市像の実現につなげる予算としたとされています。

復旧・復興最優先シフトの新年度予算が、パブリックコメントを経てまとめられる災害復興計画の具体化を柱に、特に今後早急に具体化が問われる千曲川治水対策の抜本的強化と併せ、安心が実感でき故郷での生活再建・生業再建が軌道に乗るよう、一日も早い復旧・復興を力強く推し進める原動力として着実・迅速な予算執行を図ることです。

代表質問の続報です。 災害復興予算となる新年度予算について、一日も早い復旧・復興を力強く推し進める原動力となるよう、着実・迅速な予算執行を...

二つは、SDGsの取り組みの本格化です。

市は新年度の人事異動で、新たにSDGs推進担当を兼務する部長職を任命しました。企画政策部、地域・市民生活部、環境部、商工観光部、農林部の部長が推進担当となります。

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。国際社会共通の目標として2015年9月の国連サミットで採択されたもので、貧困や飢餓をなくそう、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、エネルギーをクリーンに、気候変動に具体的な対策を、住み続けられるまちづくりを、つくる責任・つかう責任など17の目標に掲げ、2016年から2030年の15年間で達成することを目指すものです。

長野市の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の見直しでは、「ソサエティー5.0(Society 5.0)」の視点は取り入れるものの、SDGsの視点は先送りされていました。

いよいよ本格的な施策検討に入ることになります。進捗度合いをチェックしながら具体的な提案につないでいきたいと考えます。

三つは、気候非常事態宣言を市民共通の目標とし、施策の具体化を図ることです。

SDGsとも関連する課題です。代表質問で、県の宣言に続き市独自の気候非常事態宣言を発出することを提案しましたが、市長は、県の宣言に賛同を表明していることから、現時点では市独自の宣言は考えていないが、県と連携し具体的な施策展開を図る」との姿勢を示すにとどまりました。

長野市議会は今日4日から代表質問が始まり、午後に改革ながの市民ネットを代表して質問を行いました。質問内容は別記とします。 長野市芸術館...

福祉環境委員会の委員長報告では、「県宣言への賛同が市民に十分に認知されていないことから、県宣言への賛同を契機として、県との連携を深めながら、市民を巻き込んだ温暖化対策を推進していく」ことを要望しました。

私は、県知事と長野市長の共同宣言として広く市民に周知する考えを代表質問後のブログで記しましたが、共同宣言の道も含め、2050年には二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を共有し温暖化対策を推進させていくことが重要です。

まずは、新年度で改定される「地球温暖化防止促進計画」の改定にあたり、宣言の目標と趣旨をしっかりと具体的に盛り込むことが必要です。

四つは、公共施設の個別施設再編計画づくりを市民合意のもとに進めることです。

公共施設等総合管理計画に基づく「個別施設計画」のたたき台がこのほどまとめられ、6月~8月に地区別の説明を開き、11月~12月にパブリックコメントを実施する計画となっています。

いよいよ、具体的な個別施設の見直しの段階に入ります。人口減少を踏まえつつ、必要な市民サービスを維持し、施設の見直しを進めるか、市民の理解と合意が欠かせません。施設の複合化・多機能化を含め、個別具体的な検討を市民参画で進めることです。

五つは、子どもの貧困対策計画づくりを急ぐことです。

貧困の連鎖を断ち切り、現在から将来にわたり、すべての子どもたちが夢や希望を持てる社会を地域の中でしっかり作り出すことは喫緊の課題です。

代表質問の答弁で、「子どもの貧困対策大綱」の改訂を踏まえ、市独自の子どもの貧困対策計画策定の検討を約束しましたが、早期に具体化することです。

 昨年6月の子どもの貧困対策推進法の一部改正を踏まえ、昨年11月に5年ぶりに「子どもの貧困対策大綱」が改訂されました。 改定された子どもの...

併せて、子育て支援の拡充を図ることも大きな課題です。

六つは、芸術館の運営正常化を軌道に乗せることです。

3月23日に開かれた長野市文化芸術振興財団の理事会では、山本総支配人の辞職に伴い、3月末で退職する高橋要・商工観光部長を芸術館館長とすることが確認されました。

市は、これまでに、退職意向を示していたプロパー職員の皆さんが思い留まることで必要な人員体制が整い、すべての自主事業の実施が可能となり、混乱は「正常化」することができたとの認識を示しています。

 長野市の文化芸術振興の拠点である芸術館で、今、何が起きているのか?!  長野市芸術館を指定管理者として運営する文化芸術振興財団の混乱と、...

私は、これで一件落着だとは受け止めていません。2020年度の自主事業は可能となっても、次年度・2021年度の自主事業計画はこれからです。

これまで、財団の第2期運営方針及び事業計画の骨格が、山本総支配人の創造的な発想と人脈、スキルを基盤として形成されてきたことを鑑みると、総支配人がいなくなることで、つながりが途絶えることが無いのか、危惧します。行政マンがカバーできる分野ではありません。

俗人的なことは捨象しても、文化芸術分野で活躍する国内外のアーティストとのつながりを保持し、芸術館を拠点に音楽・演劇、文化芸術の花を開き広げることができるクリエイティブな人材が不可欠なのではないでしょうか。

芸術館の企画・制作スタッフの皆さんのそれぞれ秀でた能力とスキルが発揮されることを願うものですが、それで果たして事足りるのだろうかと考えてしまいます。いささか失礼な言い方になりますが…。

代表質問以降の状況を踏まえ、改めて論点整理し報告提起したいと思います。

まずは、公共ホールであり文化芸術振興の拠点である芸術館が果たすべき役割に基づく新館長のマネジメントの行方を見守りたいと思います。お手並み拝見といったころですが、芸術館が「大きな公民館」にならないよう、必要な提言を行っていきたいと思います。


これらの他にも、喫緊のコロナウィルス感染対策、健康づくり、公共交通の再生、公契約条例の検討など、重要な課題が山積しています。

第五次総合計画の後期基本計画の策定に向けての課題整理も重要です。

新年度を迎える中で、さらに勉強を重ね、政策提言につなげていきたいと考えます。