私鉄の春闘総決起…人材確保できる抜本的底上げを

バスや鉄道など県内公共交通を担う私鉄労働組合が12日、24春闘勝利総決起集会を市内の勤労者女性会館しなのきで開き、社民党の代表として連帯のあいさつを述べました。

深刻な運転手不足により、市内でも路線バスの減便・廃止が相次いでいます。公共交通が止まってしまう危機が増大している中での春闘です。

失われた30年…実質賃金は下がり続け、物価高騰が追い打ちをかけ、生活はより厳しさを増しています。市民の移動を守る地域公共交通を中心とする交通産業は必要不可欠な社会インフラであり、働く者の努力と経験が安全・安心・安定につながる労働集約型産業です。運転手不足を解決するためにも、「人への投資」を最重視した賃金・労働条件の抜本的な底上げが欠かせません。

産別平均賃金に比べ年収ベースで100万円低い交通産業労働者の賃上げを図り、これ以上の人材流出を防止し、魅力ある産業への転換を実現しなければ、地域公共交通の未来は拓けません。

私鉄の統一要求は「定昇相当分2.0%プラスベア分(生活維持分9,100円+生活回復・向上分5,500円)、計14,600円の引き上げです。コロナ渦で下がり続けてきた一時金では、最低3カ月を維持し5カ月を目標とします。今春闘における大手の要求水準に比べれば、最低ラインともいうべき当たり前の要求です。

大手企業の集中回答日となった13日、経営側からは「満額回答」が相次ぎ、異例ともいえる「要求超え」も続出しています。守りの経営を転換する姿勢は歓迎するところですが、問題は賃上げの余力に乏しい地方・中小企業に波及できるか否かです。

中小企業中心の県内交通事業者の回答日は3月19日です。労働組合側の果敢な要求取り組みと経営側の誠意ある英断を求め、成り行きを見守りたいと思います。

あわせて、公共交通・路線バスを止めない、公共交通ネットワークの維持存続に向けた行政の積極的関与を求める取り組みも欠かせません。

公共交通の担い手がその使命に誇りを持てる産業環境を創り出したいものです。

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