*

公共交通対策特別委員会の視察より…LRTの静岡市、BRTの岐阜市(その➋)

 公共交通対策特別委員会の視察より、その➋として「BRTの岐阜市」を報告します。

岐阜市…路面電車の廃止⇒バス交通を基軸とした公共交通システムへ=BRT化

➊面積202㎢に人口41万人の中核市。人口密度は2,023人/㎢(長野市は460人/㎢)。岐阜県南部に位置する県庁所在地で、名古屋市からは電車で約20分の近距離にある。

JR岐阜駅前…再開発ビルの岐阜シティタワー43(左側)と岐阜スカイウィング37(右側)がそびえる。シティタワー43の43階にあるスカイラウンジは市のフロアー施設で展望室を備える。


➋視察テーマは「岐阜市型BRTの導入」について。
 BRTとは「Bus Rapid Transit」の略で、バスレーンの導入など走行環境の改善によるバスの定時性や速達性を確保し、連節バスなど車両の高度化と合わせ、利便性・快適性を高めた次世代のバスシステムとされる交通システム。
 全国で4番目(千葉市幕張副都=京成バス・藤沢市=神奈川中央交通・厚木市=神奈川中央交通)、首都圏以外では初となる連節バスの導入が目玉とされる。
 岐阜市内では、JR岐阜駅と岐阜大学・附属病院を結ぶ路線と市内ループ線に導入され、岐阜バスが運行する。
 因みに新潟市はH26年度中にJR新潟駅と白山駅を結ぶ約4キロの区間に導入する方針を決めている。
 今回の視察の収穫は、実際にBRT=連節バスに乗車できたことである。

シティータワー47の展望室から。赤い車両が「清流ライナー」

バスを活かした公共交通を軸としたまちづくりの背景
 岐阜市は、かつては路面電車のまちで、岐阜駅を中心に名古屋鉄道(名鉄)の線路が縦横無尽に伸びていた街であったが、マイカーの普及や維持運行経費の増加から、順次、路線が縮小され2005年(H17年)3月に全廃となった歴史を持つ(もちろん、存続運動はあったのだが、費用対効果と軌道上における自動車の安全性確保の面から市民の大きな支持が得られず廃止となった)。
 路面電車の縮小と相まって、H14年度に「オムニバスタウン」の指定を受け、バスを中心とした公共交通の活性化への取り組みが始まる。幹線支線へのバス路線再編を中心としたバス再編計画を策定、バスレーンやPTPSなどバス走行環境の改善、低床バスの導入などバリアフリー化の推進、バスロケーションシステムやICカードの導入、駅前広場整備やハイグレードバス停整備など乗継環境の整備を進めている。

JR岐阜駅前のターミナル。導入されているバスロケーションシステム。

 H21年に「岐阜市総合交通戦略」を策定、H20年からH22年の3カ年を計画期間とする「岐阜市地域公共交通総合連携計画」と相まって、「バスを活かした人も元気、まちも元気なまちづくりの実現」をめざし、「幹線・支線・コミュニティバスが連携した公共交通ネットワークの確立」を目標に据える。JR岐阜駅から放射線状に延びる8つの幹線の路線再編と強化、BRTの導入、16地区でのコミュニティバスの導入(既に13地区で本格運行、1日1000人の利用者だそうである)によるネットワーク化を具体的な施策としている。
【参考】「岐阜市総合交通戦略」
    「岐阜市総合交通政策」
    「岐阜市型BRTの導入」
    「岐阜市コミュニティバス運行について」

岐阜市型BRTとは?
 幹線・支線・コミュニティバスが連携したバスネットワークの確立と幹線バスサービスの向上により岐阜駅から路線延長約10㎞圏を30分到達圏域とすることを公共交通のサービス目標に設定。
 ①幹線バス路線のBRT化により、バス路線の再編を推進、
 ②需要や道路整備の状況に合わせた柔軟なルート選定、
 ③バスレーンの導入やバス停留所、乗り継ぎ拠点の整備、連接バスの導入などを段階的に進める、
 この3点を「岐阜市型BRT」と位置づけるもので、「岐阜市BRT導入推進計画」により推進される。

カラー舗装されたバス優先レーンを走行する連節バス「清流ライナー」

岐阜駅から岐阜大学につながる路線。水色の部分が「バス優先レーン」。シティタワー47展望室から撮影。


 岐阜バスに導入された連節バスは、岐阜名物の鵜飼と鮎をイメージする「清流ライナー」と命名され、H23年3月からJR岐阜駅~岐阜大学・附属病院間を、H24年8月からは土・日・祝日運行の市内ループ線(環状線)に導入、2路線で運行されている。
 導入車両はメルセデス・ベンツ製の「シターロG」、座席46席で定員は130名。全長18m、全幅2.55mある。
 国内の保安基準である全長12メートル、全幅2.5メートルを超える特殊車両のため、道路運送車両法、道路法及び道路交通法の特別な許可が必要とされる他、走行レーンや経路を厳守するという条件で、運転が可能となったものである。

この連節バスに乗車…後部2カ所から乗車、前方で降車


通常の路線バスとの比較のために撮影。確かに長い!


 導入にあたっては、警察や道路管理者との協議に1年近くかかったものの、道路環境の改良は、バスベイの確保や外側線の改良などで、大規模にものはほとんどなかったとのことである。走行路線として朝夕の「バス優先レーン」がカラー舗装で整備されている。「専用レーン」にはされていないが、急行便のため定時性はある程度確保されているとのことだ。因みにPTPSを長良橋通り3.9キロ区間に一部導入しているが、その効果は2分間くらいの短縮だそうだ。
 実際に乗車した感覚では、18mの車両にもかかわらず以外に小回りが利いていると感じた。運転手さんに聞いたところ「大型観光バスの運転とほとんど変わらない。ただし後退がなかなか難しい」とのことであった。岐阜バスでは10人の連接バス専用ドライバーを設けている。課題は連節バスの回転場所だ。岐阜市の場合、起点となるJR岐阜駅前広場のバスプールが極めて広いこと(駅前広場だけで26500㎡もある。長野駅前広場の有に3倍はあろうかという広さだ)と終点の岐阜大学・附属病院の構内にトランジットセンターを整備し、乗り継ぎ拠点となる回転場所を有することが特徴的な条件となっていると思われる。

連節バスの車内から、連接部分です。因みにバスには非常出口がなく、車内に非常用のハンマーが装備されていました。


説明ビデオより…バス停留所・バスベイの様子。車道幅はそのままで、中央線をずらしてバスベイ部分を確保。


同じくバス停留所の様子。大規模な道路改良を要しない事例として説明。


清流ライナー導入で、利用者4倍に
 連節バス・清流ライナーの導入で、路線あたり1日平均250人の乗車が800人と4倍に増えているそうである。観光資源としても注目されているようだ。基本的には岐阜大学の学生の通学の足、附属病院の通院の足がベースになっていることが要チェックではある。

1台7,120万円の連節バス…専用整備工場1億円
 連節バスは1車両約8,000万円という極めて高価なバスである。通常のノンステップ路線バスで約2,000万円だったと思う。
 岐阜バスの連節バスの購入価格は当時で1台あたり7,120万円で、国が1/2、市が1/4、岐阜バスが1/4を負担するスキーム。連接バスには、専用の整備工場が必要で、これにかかる経費・約1億円がバス事業者負担となることから、車両購入に市負担を設定したとのことである。
 専用整備工場の確保は、車両購入負担に加え、バス事業者にとっては課題となるところだ。

所感として…
 *路面電車廃止からBRT化へ。バス交通中心の公共交通ネットワークづくりを基本に据えている点は、皮肉な結果ともいえるが、岐阜市総合交通戦略、岐阜市総合交通政策、そして岐阜市BRT導入推進計画と、目標と段階的な具体化を政策・施策にきちんと整理し位置付けられていることが大きな特徴であろう。長野市における新交通システムの導入調査、長野市版公共交通ビジョンの策定に向けて、参考にしたいところである。
*また、コミュニティバス13路線の利用者が多いことについてさらに調査が必要である。パークアンドライド推進のための「駐車場紹介システム」が施策化されていることと合わせて研究したい。
*連節バス導入の可能性について、現実感を持ちえたことが大きい。車両購入経費をどのように負担できるか、専用整備工場をバス事業者で確保できるか、回転半径を確保できる回転場所をどのように整備するか、或いは、南北交通軸(長野~若槻、長野~篠ノ井、長野~松代)に沿って8の字周りの循環線の路線再編が可能か、乗り継ぎ拠点=ミニバスターミナルの可能性、バス事業者2社間の調整(運行主体・路線など)などなどが課題として挙げることができよう。連節バス導入を決めている新潟市から、降雪時の運行について岐阜市に問合せが来ているとのこと、長野市も同様の条件となるのだが、岐阜市内は降雪がほとんどなく、参考となる事例とはならないようだ。降雪・凍結など気象条件も課題の一つとなろう。

岐阜市役所・議会棟のフロアーのトイレで。わかりにくい写真ですが、「長野市議会公共交通対策特別委員会の皆様へ」の感謝の言葉が…。トイレで気遣い、おもてなしですね。長野市議会でも早速に取り入れたいものです。


運転手さんをパチリ。前方部分です。


連節部分から後方をパチリ。後部は通路が狭くなっています。

関連記事

議会活性化検討委員会…議会報告会の開催へ一歩

 26日、社会保障と税の一体改革関連法案が衆議院で可決しました。民・自・公の密室談合による社会保障制

記事を読む

電車の次はバスか!長電バス不採算路線の見直し

「長野電鉄屋代線が廃止されて3年、今度はバス路線の廃止。これでは両足をとられてしまう」「若穂地区と中

記事を読む

DSC_0275

第66回北信美術展…透けて見える長野市の文化度

これまで、ビッグハットを会場にしてきた北信美術展。 今年は、もんぜんぷら座地下ホールとトィーゴ4階

記事を読む

市独自に放射性物質の検査を…市民団体が市長要望

[/caption]  「市独自に放射性物質検査を」と2305人分の署名を添えて市民団体が市長に要望

記事を読む

犀裾土地改良区の現地調査…「大門大堰本体の改修は困難」

 先週の話です。  27日、犀裾土地改良区の現地調査に出席するつもりでいたのですが、議会活性化検討

記事を読む

150822市政直行便NO.42_c(全市版)_page001

市政直行便NO.42…9月定例会報告

21日の市政報告会に合わせ、作成発行した市政直行便NO.42です。 9月市議会定例会の今任期最後の

記事を読む

市政直行便NO.34・初夏号を発行

 市政直行便NO.34・初夏号を発行しました。6月市議会が始まろうという時期に、3月市議会の報告では

記事を読む

6月市議会の論点➋…一般質問より

 「6月市議会の論点➊…一般質問より」の続き。 ◆合併の検証…合併時の建設計画及び基本計画は第

記事を読む

6月市議会が終わりました

 6月市議会定例会は20日、3億9,100万円余を追加する一般会計補正予算案や公共施設適正化検討委員

記事を読む

主催者を代表して挨拶する塩入隆会長

松代大本営追悼碑建立21周年

8月10日、「松代大本営朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑」の建立21周年を記念する集いが松代大本営象山地下

記事を読む

  • 長野市議会議員・布目ゆきおのブログです。弱きを助け不条理を正す、市民が主役のまちづくりがモットー。この国のかたちのこと、長野市政のこと、地域のこと、思いつくまま徒然に、辛口で。➡ 詳しくはプロフィールへ


IMG_0856
児童生徒の健全育成を進める会

24日午前中、安茂里地区校長会と安茂里地区住民自治協議会の主催による「

20170622SS00002
市内小学校のいじめ事案…「重大事態」とし第三者委員会を設置、調査へ

昨日21日の市議会経済文教委員会で、教育委員会は、H26年入学後間もな

安茂里甚句保存会の皆さんの発表
第16回長野市甚句・音頭交流会

18日(日)、第16回長野市甚句・音頭交流会が大岡地区の聖山パノラマホ

19264220
就学援助・新入学の学用品費…新中学生には「事前支給、速やかな実施」方針示す

今議会の一般質問の中で、就学援助のうち、8月支給となっている「新入学児

20170617SS00001
6月市議会定例会の論点

長野市議会6月定例会は、15日から一般質問が始まりました。週明け19日

→もっと見る

  • メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。是非、ご登録ください。

  • 〒380-0961
    長野市安茂里小市1-4-10
    TEL:026-227-3537
    FAX:026-227-3897
    Mail:info@nunomeyukio.jp

PAGE TOP ↑