長野市…コロナ禍・災害復興の新年度予算案1552.8億円

長野市は先週17日、総額1,552億8,000万円の2021年度一般会計当初予算案を発表しました。

18億2,300万円を追加する20年度一般会計3月補正予算案とともに、25日から始まる3月市議会定例会に提案されます。

国の3月補正予算を活用し21年度に予定していた事業を前倒しする3月補正予算分と合わせ、21年度の実質的な予算規模は1,567億3,000万円になります。

2019年の台風19号災害に伴う災害ごみの処理やがれき・土砂の撤去が完了したことから、過去最大だった20年度当初予算に比べると11.0%の減となり、過去5番目の規模とされます。

災害復興とコロナ対策が重点

台風災害からの復興やポストコロナ社会を見据え、市民生活の安全確保と未来に向けて安心を実感できるよう「希望ある未来につなげる安全・安心予算」がテーマです。

市長は、予算編成に当たっては、「災害からの復興を加速させつつ、新型コロナウイルスワクチン接種や検査体制の確保などの感染症対策をしっかりと実施した上で、消費喚起を目的とした推し店プラチナチケット第2弾の発行など地域経済の活性化と事業者支援にも力を入れた」とし、さらには『長期戦略2040」の実現』に向け、スタートアップ企業の成長支援などの新産業創出分野やAIの活用による行政DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進など、『スマートシティNAGANO宣言』に基づく新たな取り組みのほか、移住・定住促進による人口増加への取り組みなど、今の市民も未来の市民も住み良い持続可能なまちの実現に向け、積極的に予算を組んだとします。

コロナ禍の影響により税収が落ち込む中、予算編成にあたり20%減の厳しいシーリング(概算要求基準)を設け施策・事業を絞り込んだことや財政調整基金(貯金)の取り崩しによって、災害前の予算規模を確保したといえます。

【主な歳出】では、新型コロナ感染症対策関連に70.4億、災害復興事業51.6億、「長期戦略2040」関連事業6.5億、まちの賑わい創出事業39.0億、社会保障関係費(扶助費等)483.5億を見込みます。

【主な歳入】では、新型コロナの影響などを見込んで市税が20年度当初比5.1%減の535億5,800万円。地方交付税は2.2%減の200億1,000万円。新型コロナ対策の税軽減措置を補う特別交付金など地方特例交付金・法人事業税交付金が249.4%増の27億1,500万円を見込みます。

市債(借金)は新たに125億8,700万円を発行、貯金に当たる財政調整基金は26億4,000円を取り崩します。21年度末の基金残高は97億2,000万円で長野市規模で必要とされる基金の約半分までに落ち込みます。市債残高は1,643億3,000万円を見込みます。

いずれにせよ、極めて厳しい財政運営が求められることに…。

新年度予算案のポイント【長野市発表資料より】

注目される新規事業は別途まとめます。

コロナ対策は十分か…公助の出番

長野県の新年度当初予算1兆423億円余のうち、コロナ対策は1,600億円余で約16%近くを占めますが、長野市の予算ではコロナ対策70.4億円で約4.5%です。県のコロナ対策事業の多くは市町村と連携し、県予算で市町村の対策事業を進めることになりますから、単純に比較はできませんが、果たして十分なのか、県事業とのすみ分けや支援に隙間がないのか、しっかり検証することが重要です。

ワクチン接種が医療従事者先行で始まりますが、国のワクチン調達見通しが明確でなく、国民全体に行き渡るまでにはかなりの期間が必要となるでしょう。変異ウイルスの蔓延も懸念されます。

病床が逼迫しないよう、医療現場の支援、検査機能の強化と拡充は喫緊の課題です。特にPCR検査は現在の防疫的検査から、症状に関わらず誰でも何時でも公費で検査が受けられる社会的検査に転換させることが重要であると考えています。最前線で患者のケアにあたる医療従事者への支援や給付も、さらに必要になるでしょう。

飲食や観光関連、公共交通の事業者らが経営難に苦しみ、SOSを発し続けています。生業の土台を支えなければなりません。

コロナ禍で、閉塞感に覆われ苦境と疲弊にあえぐ市民生活に安心と希望の光を届けることができるか、これが新年度予算の背骨にすることが問われているのではないでしょうか。

自殺が増えています。引きこもり・不登校が増えています。生活困窮者が増えています。失業者が増えています。人権侵害が増えています。

市民の命とくらしを守り、一人一人の苦難と不安に応える「公助」の責任と役割が問われます。

新年度予算が、コロナ禍にあって、生活を取りもどす「光」となるよう願い、予算案を吟味し、優先順位に応じた柔軟な活用を求めていきたいと考えます。

コロナ禍克服、生活再建、SDGs、気候変動…市政運営の柱に

市民の所得倍増を目標にする「長期戦略2040」の可能性の是非、新たに発表された「スマートシティNAGANO宣言」の意義と課題、SDGsの具現化、気候変動に備え「2050カーボンゼロ社会」の実現に向けた具体的な取り組みなど、喫緊のコロナ禍克服・生活再建、災害復興とあわせ、市政運営の柱とすべき政策目標・課題の明確化が問われているとも考えます。

それぞれの課題への問題意識は散りばめられてはいるのですが、大きな政策目標を柱として、市民の皆さんに提起し、理解と協力を求めていく姿勢が必要なのではないでしょうか。

また、3月議会には、利用料金の引き上げ等の条例改定案も提案されます。

追々、3月議会の焦点・論点として、報告・提起していきたいと思います。