総務委員会の行政視察より❶…塩竈市

 5月17日から19日、市議会総務委員会で宮城県塩竈市、岩手県盛岡市、函館市を訪問、行政視察して来ました。
 開通したばかりの北海道新幹線に乗車しました。

 まずは、東日本大震災の被災地・塩竈市の視察報告です。

塩竈市

 面積17.37㎢、人口56,490人、人口密度3,219.34人/㎢。宮城県のほぼ中央、仙台市と日本三景・松島との中間に位置する。塩竈港は国の特定重要港湾に指定され、国内有数の港湾都市として発展してきた都市である。

 2011年の東日本大震災の被災状況と復興の現状、震災を踏まえた防災対策が調査テーマ。
 塩竈市の訪問は被災後2回目である。

宿泊したホテルから。JR仙石線・本塩釜駅周辺から塩竈港周辺を望む。

宿泊したホテルから。JR仙石線・本塩釜駅周辺から塩竈港周辺を望む。


塩竈市の玄関で。復興状況の案内と派遣職員の皆さんが紹介されています。

塩竈市の玄関で。復興状況の案内と派遣職員の皆さんが紹介されています。

派遣職員支援の継続を求められる

 震災直後から、長野市は塩竈市に職員派遣支援を継続している。
 訪問した際には、震災復興推進局・復興推進課・総務係に派遣されている神保・専門主査、同課・都市基盤整備係の北村・技師にも同席いただいた。
 神保主査は1年目、北村技師は2年目だそうだ。長野を遠く離れての復興支援だが、頑張ってもらいたい。

説明いただいた震災復興推進局や市民総務部の皆さん。中央の二人が長野市からの派遣職員、神保さん(右)と北村さん。

説明いただいた震災復興推進局や市民総務部の皆さん。中央の二人が長野市からの派遣職員、神保さん(右)と北村さん。


 復興推進課は30人の職員で構成されるが、内、派遣職員は10人。震災復興推進局の鈴木次長からは「派遣職員の引き上げが徐々に進行しているが、職員の派遣支援は欠かせない現状にある。ぜひ、派遣の継続をお願いしたい」と強く要望される。

 私たちが訪問した翌18日には、加藤市長も塩竈市を訪問・激励することになっており、同様の要望がされたものと思う。
 長期にわたる職員派遣は大変ではあるが、支援継続を図れるよう特段の配慮を長野市に求めたい。

65人が犠牲に。被害総額は1,216億円

 震度6強の地震、最大浸水高4.8m(浦戸地区は8.5m)の津波被害に襲われた塩竈市では、47人が津波の犠牲となり、また16人が震災関連死に認定、計65人が亡くなられている。

 建物被害では全壊が1,017件、大規模半壊2,240件、半壊2,308件など13,333件に及び、被害総額は1,216億円(農林水産関係278億、建築物613億、交通基盤関係167億)に上る。

 全壊被害は塩竈港沿いの北浜地区、港町地区に集中する。埋立で市街地を拡大させてきた地区である。

復旧・復興に約1,200億円

3.11津波被害の状況

3.11津波被害の状況


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 現在、「復興整備計画」に基づき、被災者の生活再建に向けた災害公営住宅の整備、土地区画整理事業や下水道・道路の整備、魚市場の債権と水産加工業施設整備、中心市街地の復興などに取り組まれている。

 復旧事業に約600億円、復興交付金事業で約586億円、計1,200億円が投入されている。
 災害復旧の道路整備の進捗率は93.1%(H28年1月)で28年度中に完了を予定するが、下水道は55.2%、漁業施設は46.8%でH30年度完了を見込む。

 390戸整備予定の災害公営住宅は、被災から5年が経過する中、自主再建を選択する市民もいて、29戸分の整備を取りやめたそうである。275戸分が建設中である。

 北浜地区の復興再開発事業の現場や港町地区の津波対策の現場を案内いただいた。
 北浜地区は、震災前は造船関係の工場が立ち並んでいたそうだ。高さ3.3メートルの防潮堤が整備され(完成はしていない)、地区内では地盤をかさ上げして災害公営住宅等の建設が進む。
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北浜地区の地盤かさ上げ、防潮堤工事の様子

北浜地区の地盤かさ上げ、防潮堤工事の様子


北浜地区、災害公営住宅の建設現場

北浜地区、災害公営住宅の建設現場


 港町地区では、本塩釜駅に隣接するイオンタウンからマリンゲート塩竈までの約370mで高さ4.5mの津波避難デッキが整備済み。夏祭りの際には打ち上げ花火の鑑賞デッキにもなり賑わいを取り戻しているようだ。
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完成した津波避難デッキ

完成した津波避難デッキ


 災害公営住宅の建設現場を見るにつけ、復興への道の厳しさを痛感する。地域コミュニティの再建・再生も課題であろう。
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公助に限界、自助・共助がカギ

 東日本大震災の地震と津波の規模は想定をはるかに上回り、十分な災害時対応をとることができなかったとし、H23年12月に策定した「震災復興計画」の基本理念の一つに「安全で安心して暮らせる災害に強いまちづくりの推進」を掲げた。

 地域防災計画も全面的に改定された。

 災害対応の反省と課題は、公助の限界と自助・共助の重要性、市民・団体との連携の重要性に気づかされたことだと強調する。
 市や防災関係機関が行う「公助」だけでは限界があり、市民それぞれの「自助」、自主防災組織や町内会、企業などによる「共助」との相互連携が必要不可欠とされる。

 よく指摘されることではあるが、被災当事者からの指摘は、極めて説得力がある。

塩竈市発行「東日本大震災、復旧・復興の記録 明日へ」より

塩竈市発行「東日本大震災、復旧・復興の記録 明日へ」より


 「自助・共助」の重要性を確認することに主眼をおいた総合防災訓練は、H26年度では7,172名が参加、H27年度も2,400名が参加、今後も継続するとされる。
 市全体を対象とした大掛かりな災害訓練の実施は不可欠である。

情報インフラの整備、自主防災組織の強化と集会所への防災機材の配備に力点

 情報インフラの整備では、「緊急情報伝達システム」と「防災ラジオ」の活用に着目したい。
 「緊急情報伝達システム」は、市の防災行政無線が放送されると、コミュニティFM(BAYWAVE)のラジオ放送に自動的に割り込み、またケーブルテレビでは緊急放送が表示されるシステムである。
 窓を閉め切っている時や無線が聞き取りにくい場所でも情報が入手できるとする。
 FMラジオの聴取率がどれくらいなのかは不明だが、防災無線をカバーする仕組みとしては一考の価値ありと考える。

 また、防災ラジオは、避難行動要支援者を対象に配布しているもので、緊急時に自動で起動し情報を受信できるもの。長野市の取り組みとして参考にしたい。

 防災機材の配備では、市内48カ所の集会所に発電機、夜間照明灯、屋外用コードリール、ガソリン携行缶などを配備している。
 自主防災会や自治会の地域拠点への防災機材の配備は、長野市も取り入れたいものである。

 一日も早い復興を願いつつ、塩竈市を後にし、盛岡市に向かう。

議会事務局総出で送迎

 ところで、塩竈市の訪問では、議会事務局の皆さんに総出で出迎えていただき見送りもいただいた。

 仕事を中断しての全員の送迎には、恐縮しつつも、ただただ感謝である。

 復興支援への感謝の気持ちの現れもあるのだろうが、熱のある”おもてなし”には長野市議会も学びたいものである。

一番先に津波が襲った港町地区の沿岸、左の防潮堤が新しいもので3.3mの高さ、右側が震災以前の防潮堤、2m。

一番先に津波が襲った港町地区の沿岸、左の防潮堤が新しいもので3.3mの高さ、右側が震災以前の防潮堤、2m。


塩竈港に停泊中の「みなと祭りの神輿船」。祭りの再開は元気の源となる。市民を励ますシンボルになっていそうだ。

塩竈港に停泊中の「みなと祭りの神輿船」。祭りの再開は元気の源となる。市民を励ますシンボルになっていそうだ。