信州新町地区のAIオンデマンド交通を視察

信州新町地区で実証実験が始まっているAIオンデマンド交通システムについて、市議会公共交通対策調査研究特別委員会で22日、視察してきました。

信州新町地区で市営バスをAIオンデマンド化…実証実験

人口減少に伴う利用者の減少、高齢化に伴う移動困難者の増加への対応や運転手不足から、より効率的なバスの運行が必要になっていることから、中山間地域の公共交通を維持するため、まずはモデル事業として、信州新町地区で、AIを活用したシステムを導入し、利便性向上と効率的な運行システムを構築しようとするものです。

信州新町地区では、これまで地区内で10路線の市営バスを運行してきましたが、これを廃止し、地区内全エリアを一体で「信州新町線」とし、定時定路線から、予約によって運行するデマンド輸送に転換します。予約は、スマートフォンやタブレット、電話で行います。

簡単に言うと、地区内200カ所を超えるバス停での乗車予約に応じて、AIを活用して、最適な運行ルートを見つけ出し、予約センターからバス運転手とリアルタイムで乗車場所・氏名・人数・時間などを共有して効率的なバス運行を図るものです。県内でも塩尻市や駒ケ根市、茅野市などで導入されています。

運行は、地区内移動に限定され、新町地区から長野市街地に出る場合は、国道19号沿いのアルピコ交通路線バスの滞留所で乗換が必要となります。民間路線バスへのフィダー機能を持つ市営バス路線ということになります。

信州新町線「しんまち号」で統一デザインに。

ステップ付き、高齢者にも優しい。

Web予約を体験、予約センターを訪問

この日の特別委員会では、市役所で仮登録利用者のカードで、中学校前バス停(支所隣)から地場センター前バス停の乗車(往復)を予約したうえで、現地に赴き、試乗利用しました。また、予約センター(デマンドバス等の車庫)を訪れ、実際の予約の受け方などを拝見してきました。

デマンドバス予約センターで。電話予約を受けているところです。

タブレットを使っての初めての予約は、多少手こずりましたが、一度利用すると、利用状況に応じた履歴が表示され、予約が簡単に行えるということです。

バス停間輸送の運行体制や利用方法…電話予約は1割

バス停は地域の要望に応え20カ所増設し220カ所に、今後、さらに増やすことになるそうです。バス停間移動で、「自宅から乗車」というオンデマンド方式ではありません。

住民は予め利用者登録したうえで、利用するときは、予約受付センターに自宅の最寄りのバス停と乗車時刻と病院や買い物先の目的地のバス停を申し込みます。帰りも予約できます。

運行日は月~金、運行時間は午前7時~午後7時30分まで。電話受付時間は午前8時30分~午後5時まで(web予約は24時間受付)。

利用運賃は大人1回200円、子どもは1回100円で、70歳以上のおでかけパスポート利用者は1回110円です。

車両台数は10台(他に教育委員会が所管する車両4台)。29人乗りが2台、14人乗りが7台、10人乗りが1台です。

交通空白地域における自家用有償旅客運送にあたるため、法律上は2種免許保有が義務ではありませんが、安全運行を担保するため、タクシー会社の2種免許保有者が運転手となって運営されています。必要条件の一つです。

現在、利用登録者数は507人(地区内人口は3,524人)で14.4%の登録状況。小中学生の利用が約50人で、学校で一括登録・一括予約となっているそうです。

11月28日から12月16日までの利用状況は、1日あたりで89.7件、91人。Web予約は1.7件、電話予約が15.6件と、電話の比率が高いことが特徴です。

オンデマンド交通のシステムは、プロポーザル契約で富士通製のシステムを利用、地元の「ひじり観光タクシー㈱」が運営・運行を受託しています。

成果を期待しつつ注視…課題を探る

今のところ、順調に運営・運行されているとのことです。一方で、受託しているひじり観光タクシー㈱からは「一般のタクシー利用が減り厳しい」との意見も聞かれます。

実証実験は来年の2月まで。3月から1年間暫定運行し、R6年4月からの本格運行をめざします。

現段階では、利用者の年齢層や移動区間の密度、収支状況は不明です。実証運行期間でのまとめを待ちたいと思います。

実証実験運行の成果を期待しつつ、他の中山間地域への導入をはじめ、市街地におけるデマンド交通の導入の検討につなげたいものだと思います。基幹交通である民間路線バスとの共存・共栄が大前提となりますが…。

他市でのAIオンデマンド運行についても、調査を深めたいと思います。

おまけ

デマンドバスで到着した信州新町地場産業センター(道の駅信州新町)で昼食。そば信さんで天ぷらそばをいただきました。

「信州新町に行くなら」と妻から頼まれた矢嶋製パンさんの「牛乳パン」「あんぱん」などを購入。有名なんですね。皆さん、結構買い求めていました。美味しく頂戴しました。

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