岡山県総社市「障がい者千人雇用」事業

 福祉環境委員会行政視察の最後は、22日に訪問した岡山県総社市の「障がい者1000人雇用事業」です。

岡山県総社市…障がい者千人雇用

(1)人口66201人、面積212.0㎢、人口密度315.6人。岡山県の南部、倉敷市の北に位置し、温暖な気候と自然に恵まれる。古代山城の鬼ノ城や作山古墳など、古代吉備王国の中心としての繁栄を物語る文化遺産が数多く残る。総社市では「総社、岡山、倉敷のトライアングル地域が、今後の岡山県発展の拠点になる」とする。
(2)総社市の視察テーマは、市長の肝入れで事業化している「障がい者千人雇用」、障害者の就労支援の取り組みである。
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1000人雇用の目標、既に853人の就労に

 総社市の障がい者千人雇用事業は、H23年度からH27年度までの5年間で1000人の障害者雇用をめざす取り組みだ。
 
 障がい者の就労状況は、事業開始時のH23年4月には、一般就労80人、福祉的就労100人、計180人だったものが、H27年4月には一般就労501人、福祉的就労351人、計852人に増加している。
 H28年3月までに1000人雇用を実現したいとする。

 何故1000人なのか?…「1000人」という数字は、H23年4月時点での市内の障がい者数に由来しているそうだ。身体、知的、精神障がい者のうち、一般的な就労年齢といわれる「18歳以上65歳未満」の人数が1200人だったことから、「1000人」の雇用を目標としたとのことである。
 なお、千人カウントの基準は、➊総社市内の事業所において就労している障がい者 ➋総社市外の事業所において就労している総社市民の障がい者 ➌就労支援ルームを通じて就労するなど、総社市の取組に基づき就労している障がい者とする。
【参考】総社市「障がい者千人雇用のページ

障がい者千人雇用事業の背景

 総社市は新設の県立支援学校誘致のため、市有地(約2万㎡)を無償提供するも、最終的には倉敷市に建設が決まったことから、「支援学校を卒業した後の働く場所は総社市が担う」という考えにシフトし、障がい者千人の雇用を目指すという一大プロジェクトを実施することにしたそうだ。市長のトップダウン、強い肝いりでスタートした事業である。
 市長は、どこに行っても挨拶で「障がい者千人雇用」の話をアピール、そのことで市民の間に障がい者への理解が深まっているという。

障がい者千人雇用推進条例の制定

 目標を達成するため、H23年12月に、基本理念、市や事業主などの責務、市の施策の基本事項を定めた「障がい者仙人雇用推進条例」を制定。

 基本理念として「障がい者が働く権利と義務を持ち、その個性や意欲に応じて能力を発揮し、社会を構成する一因として社会経済活動に参加する機会が与えられるべき」と規定。
 
 そして、市や事業主の責務の他、市と関係のある事業主=指定管理者の責務も定めている。
 さらに、社会福祉協議会等との連携による就業・生活支援、障害者支援施設からの物品の推移れ等について規定し、障害者雇用を全市的な取り組みとしている。

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ハローワークと連携した「就労支援チーム」

 ハローワーク総社と連携し、H23年7月から、ハローワーク内に「就労支援チーム」を設置。「福祉から就労」に向けたワンストップ・付き添い型の就労支援を展開する。

 この「就労支援チーム」の支援を通じて、H27年7月からH27年4月までに392人の障害者の就職を実現しているという。国の機関との連携という点で学びたいところだ。

障がい者千人雇用センター

 H24年4月には、障がい者と企業の橋渡し役として、市独自の「障がい者千人雇用センター」を設置。運営は社協に委託。

 登録している障害者に対し、企業とのマッチングから生活支援までマンツーマンでサポートを行い、職場定着のために就労先へのアフターケアも担当する。

障がい者千人雇用に3億2700万円

 約260億円の一般会計規模の総社市では、就労継続支援A型に1億4100万、就労継続支援B型に1億4500万、就労移行支援に1325万、地域活動支援センターⅢ型(委託)に950万、障がい者千人雇用事業(市単事業)に1750万、計3億2600万円余りを投入している。
 市単事業以外の市の負担額は4分の1だが、今後、予算確保が課題となるとのことだ。

一般就労支援金10万円

 H26年度からは、福祉的就労から一般就労に移行し6カ月以上経過した人に「就労支援金10万円」を支給する事業を市独自に実施。
 これまでに3人が受給しているそうだ。

広がる障がい者就労の受け皿

 福祉的就労支援施設(就労継続支援のA雇用型とB非雇用型)は15施設に上る。
 民間企業では、法定雇用率2.0%達成が必要な50人以上の企業は37社あるそうだが、「納付金」で対応する企業が多く、実際の受け皿企業は建設会社やスーパーなど10人未満の中小事業者とされるようだ。

 シルバー人材センターなど高齢者の雇用とは食い合っていること、また賃金の確保・工賃のアップなどが課題とされる。

乳幼児・就学期~就労期~高齢期、一貫した支援へ

 障がい者千人雇用の目指すものは、各ライフステージの一貫した支援で、「障害者一人ひとりが安心して人選を幸せに生きることができる社会づくり」とする。
 写真は、市役所庁舎・中庭に出店する障害者支援施設のカフェ。ランチを準備中でした。
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障がい者法人による農作物の全量買い取り=地・食べ公社

 他の分野との連携では、農業に取り組む障がい者法人が収穫する農作物を「そうじゃ地・食べ公社」(市農業公社を改組)で全量買い取りし、学校給食に使用するとともに直売所で販売する施策を展開。
 また、片道200円で利用できる乗り合いタクシーを利用し、障がい者の通勤に資する取り組みも進む。
 相乗効果の発揮が期待される。

総社市における課題と長野市にとっての課題

 総社市では、就労継続支援、一般就労への移行と定着、新規就労者の雇用の場の確保、そして高齢者雇用とのバランスが今後の課題とされる。
 また、前記したが、予算確保も今後の課題であろう。

 長野市では、新たに「第四期障害福祉計画」(H27~H29の3カ年計画)を策定したところである。

 手帳交付でみると、市内には、「身体障害者手帳」が17139人、「療育手帳」が3151人、「精神障害者保健福祉手帳」が2663人、計22953人に及ぶ。今後も、増加傾向にあるとされ、発達障害児または歌課外のある児童数も増加している。
 長野市においても障がい者の就労支援は取り組まれているものの、就学から就労への移行は大きな課題となっている。

 「第四期障害福祉計画」では、H29年度目標で、➊福祉施設から一般就労への移行者数104人(2.0倍)、➋就労以降支援事業の利用者数250人(60.3%)、➌就労支援事業所の就労移行率(利用者の3割以上が一般就労に移行する事業所の割合)を12箇所、50%と設定している。

 「福祉から就労へ」、「千人雇用」のように目標を明示して取り組む姿勢に学びながら、乳幼児・就学期~就労期~高齢期の各ライフステージの一貫した支援のあり方を考えたい。

 【おまけのの写真…買い求めましたが、まだ食べていません】
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