議会活性化で視察➌防府市議会…議会運営委員会

シリーズ「議会活性化で視察」の最後は、山口県防府市議会です。
【シリーズ】20141113議会活性化で視察➊相模原市議会…議会運営委員会
      20141226議会活性化で視察➋豊田市議会…議会運営委員会

防府市議会

(1)防府市は人口117,945人、面積188.6平方㎞。山口県の瀬戸内側の中央部に位置する。大化の改新によって周防の国府がおかれた地で、近世では毛利水軍の拠点として栄えた。平成の合併で山口市等との合併が協議されたが破たんし、単独市制を継続している自治体である。

(2)防府市議会では、議会報告会、議会懇談会、議会モニターなどの議会改革の取り組み、議決すべき事件を定める条例の取り組みをテーマとした。
中司・議会事務局次長、市議会の議会改革推進協議会の田中健次会長【写真・右】らから説明を受ける。
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議会報告会…自治会連合会と共催

➊地域自治会連合会(長野市では住民自治協議会)との協定により、議会と自治会連合会の共催で報告会を開き、市内15地区で班編成により毎年5月に開催されている点が特徴。平日19時から2時間程度の開催で、1会場平均27人、総数は400人を超える。
➋議会側からの報告内容は、主に議論した議案、重要と思われる議案の審議経過と結果に重きが置かれているが、委員会ごとの報告というより、例えば「山頭火ふるさと館の整備について」といった具合に、市民が関心のある課題・テーマに絞り込まれている点も特徴であろう。
➌報告会で市民から寄せられた質問・意見・提言等のまとめと対応について、「行政側に回答を求め市民に返していくもの」「簡易な要望として行政に伝えるもの」「当日に回答し、それ以上の対応を必要としないもの」「質問等の内容を判断し、回答を要しないもの」に4区分し、対応をルール化している。上越市議会の対応方針を参考にまとめたとされる。
➍地域自治会の温度差があるものの、市民の評判し概ね良好とされる。長野市のように、理事者側による「市民会議」的な「市政懇談会」が取り組まれていないことを背景にしたもので、議会側がフォローしているケースといえよう。

議会懇談会

➊市政や議会に関すること、市の重要な事項に関することについて、市内で事業活動その他の活動を行う団体や概ね10人以上の市民グループとの意見交換会が内容。議会懇談会と称し、結果を政策提言に反映させることが目的とされる。市民団体の申し込みによる。
➋H23年度以降で6件。団体は、混合型血管奇形の難病指定を求める会や学校給食を考える会などで、団体・議会ともに生の声・訴えを聴いてもらう、聴くことができることから「おおむね良好」とされる。開かれた議会をアピールする一つの手立てとして有効であると思われるが、請願提出による参考人招致の方法でカバーできるところであろうとも思われる。なお、議会側からのタウンミーティングは未実施。

議会モニター

➊市民の視点での議会改革の推進や議会への見聞を深めてもらうことを目的に、市民による第三者評価として議会モニター制度を導入している。公募とPTAや自治会などの団体推薦による10名程度に委嘱、任期2年で年5000円の謝礼を支払う。
➋議会を傍聴してもらっての意見、議会HP・議会だよりへの意見などを提出してもらうほか、議員との意見交換会も催されている。
➌モニターからの意見により、例えば「傍聴者への画板の貸出(メモ用)」「議会報告会資料の事前公表(議会HP)」などが実施され、改善が図られているとされる。

議決すべき事件を定める条例

➊防府市議会基本条例・第13条「事件議決の拡大」により、議決すべき事件を定める条例で、「基本構想及び基本計画」「各分野の基本計画16」「姉妹都市提携」の3つを議決事件としている。
➋メリットとして、「基本的な計画策定において、議会の関与が強まる」「予算審議だけでなく、その前段の計画段階から議会が政策決定に関与できる」「行政計画から自治体計画となる」などが指摘される。一方、計画の執行にも議会の議決責任が問われてくることが、議会全体の課題とされる。
➌議決事件とした計画は、パブリックコメントの前に2~3回程度、全員協議会において説明され、議員の意見が取り入られ成案化される。諸計画を議案とすることによる本会議の運営への影響は特段にないとのことである。

考察・所見として

➊議会報告会の報告内容は、各議会ごとに市民の報告会への関心を高めるために様々な工夫がされている。常任委員会ごとの報告にとどまらず、多面的に検討する必要性を痛感する。
➋議会懇談会はユニークな取り組みである。長野市議会では、請願審査における参考人招致、特別委員会等で出前委員会や参考人招致による意見聴取・意見交換に取り組んでいることから、さらに、この取り組みを拡充させたいところである。
➌議会モニター制度は、県内では松本市議会で導入されているもので、市民からの評価を踏まえ議会活性化を実のあるものにしていく試みとして参考にしたい。
➍議決事件の拡大は、具体的な検討に着手すべき課題である。長野市議会では「議決事件の拡大」を「長期的に検討する項目」に位置付けているが、これを見直し、具体化を図りたいものである。まずは、『基本計画』を対象にするとともに、他議会の取り組みを精査し、対象とする総合的な計画の絞り込みを検討したい。