総務委員会行政視➊…東京事務所~町田市「新公会計制度」

 5月9日から11日、市議会総務委員会の行政視察で、町田市(新公会計制度)・豊橋市(シティプロモーション)・大阪市(阿倍野防災センター)を訪問、視察してきました。順次、報告します。

 町田市に向かう途中では、東京の平河町にある東京事務所を訪問。場所は平河町、永田町に隣接する街区で、国会にも近く、地の利のある場所です。
 「北野アース」という北野建設がもつアパートメントホテル(長期滞在型のホテルと貸事務所だそうです)の一室で、約40㎡の広さ、思っていた以上に手狭な事務所でした。所長と職員2人の3人体制です。民間企業の事務所も入居しています。隣は「新党きずな」の事務所でした。こんなに狭くていいんだ…そんな感想です。

国会近く、「北野アース」内の東京事務所、入口です。


 東京事務所は、国の動向の調査及び情報収集、中央省庁との連絡、企業誘致や観光宣伝等への支援を担うセクションです。市長をはじめ理事者の国への要請行動、全国市長会等での活動の拠点になっているようです。翌日の視察テーマの「シティープロモーション」の東京拠点にもなるんだろうな…と思いながら、美味しいお茶を頂戴してきました。
 昼食を東京事務所長らと一緒に近くの四川飯店でとりました。メニューは麻婆豆腐のセットランチだったのですが、これが辛い!辛い!。汗をかきながらの完食。笑い話ですが…東京事務所のイメージは「辛い!」です。
 所長や職員は単身赴任とのこと、ご苦労様です。

 さて、町田市の視察テーマは新公会計制度

 公会計制度改革とは、現金主義・単式簿記を特徴とする現在の地方自治体の会計制度に対して、発生主義・複式簿記などの企業会計手法を導入しようとする取り組みのことです。
 従来の会計制度では、自治体の総合的な財務状況が把握しづらく、予算審議など内部管理への利用が困難、住民にとって分かりにくいという課題がありました。例えば多額の借金で施設整備を行った場合、単年度の現金の流れだけを見る従来の方法では、自治体の財政状況を正確に把握できません。また、借金を短期の借入金で埋め合わせた場合にも新たな借金の状況が把握できず、最悪の場合、財政が破綻するまで表面化しないという結果にもなってしまいます。夕張市の財政破たんが顕著な事例です。

 そこで、(1)資産や債務の管理、(2)費用の管理、(3)財務情報の分かりやすい開示、(4)行政評価・予算編成・決算分析との関係付け、(5)議会における予算や決算審議での利用、という目的で自治体の公会計制度の改革が進められてきました。
 総務省は地方自治体に対して、企業会計手法を全面的に採用した「基準モデル」と、既存の決算統計情報が活用可能な「総務省方式改訂モデル」の二種類の会計制度を提案しています。
 現在、全国の8割の自治体で「総務省方式改訂モデル」を採用、長野市も同モデルに基づき、財務4表=(1)貸借対照表、(2)行政コスト計算書、(3)資金収支計算書、(4)純資産変動計算書(を作成、公開しています。これが市民にとってもわかりやすいかは、大きな課題だと思いますが…。

 東京都では、20億円かけて、H18年度から国際公会計基準に基づく独自の公会計制度を導入していますが、町田市では、この東京モデルを準用、H24年度から導入しました。

説明いただいた町田市財政課の皆さん


 町田市では、従来の自治体の財務マネージメントが、現金主義会計のもとで予算の獲得と使い切りに主眼を置いた行政運営が行われていること、財政状態や経営成績を示すツールがなく有効な評価が行われていないこと、また、建物や土地等の資産のストック情報が得られず、建物や道路等をコストとして認識できない、ストックに対する将来負担が見えない等々の問題がある事から、複式簿記・発生主義の公会計制度を導入しました。

 導入意義として①透明性の向上、説明責任の履行、②マネジメント力の向上、③資産・債務の適切な管理があげられています。

 従来の単式簿記方式の財務会計システムに、複式簿記・発生主義会計の処理機能を追加するシステムに改編したため、経費は約1億円で済んだとします。事務量的には、大きな変動がないとのことでした。

 町田市方式の一番の特徴は、各部のマネジメントに活用することを主眼とし、課毎に、あるいは個別事業ごとに効率性や適正性などを分析でき、目標と成果の関係が容易に可視化できることにあるとされます。
 
 事務量の負担が少なく、部・課別・事業別にマネジメントに活用できる制度という点においては、「優れもの」だとは思います。

 しかし、一方で、町田市方式は少数のため、他自治体との比較が困難であるとのデメリットもあります。町田市は東京都と同様に地方交付税・不交付団体ですから、「一市完結方式」で良いのかもしれません。

 また、事務的な最大の課題は「固定資産台帳」を整備することにあります。市有施設の土地や建物等の資産の他に、道路や河川のインフラ資産、塀や側溝、案内標識等の工作物、著作権や商標権等の無形固定資産を取得原価主義で評価し、すべて減価償却することを前提にしますから、この「固定資産台帳」の整備が、複式簿記・発生主義会計導入の必須条件なのです。町田市では「みなし評価」で資産評価を行っています。

 長野市では現在、将来の複式簿記の採用を視野に入れ、「固定資産台帳」を整備するうえで、その基礎となる「公有財産台帳」を整備している段階です。行政財産と普通財産の2つに分類される、不動産や動産の「公有財産」を資産評価した台帳です。そんな現状にある事から、長野市としては総務省の統一的なモデルに対応することが効率的であると判断しているようです。
 
 公会計制度っていうものについて、専門的な用語が多く、議員としては恥ずかしい話ですが正直よくわかっていません。長野市方式と町田市方式のどちらが良いのかとの問いに、即答できる段階にはありませんが、そもそも、公会計制度改革の目的は、単なる制度・業務やシステムの変更ではなく、PDCAサイクルによるマネジメント能力の向上や市民への説明責任の遂行など、行財政改革による市民サービスの向上にあるはずです。
 故に会計システムとしては、その制度導入後にどんな成果を得られるか、市民にとってどんなメリットがあるかがカギです。

 損得勘定だけでは評価できない市民行政サービスについて、市民にとっての必要度・満足度を推し量る、もう一つの物差しをしっかりと保持していなければならないと思います。マネジメントを強調し、資産や債務を含めた総コスト論で行政サービスを評価・見直すことは、採算主義に陥る危険性を孕んでいます。こうした危険に陥らないための防波堤をどのように制度設計しているかを尋ねましたが、「問題意識は強くあるものの、まだまだこれから」という段階でした。
 
 この限りでは、町田市の試みの評価は、導入から1年経過し、来年度の予算編成にどのように活かさせているのかを見極める必要があるでしょう。でも、なかなか聴き応えのある視察でした。

 今視察は、総務委員会で財政部長出席のもとに事前に勉強会をしてから臨みました(財政部にはそれなりの狙いがあったのでしょうが)。やってよかった事前学習でしたね。ポイントをつかむことができましたから…。

 ところで、新宿から小田急線で町田市に向かったのですが、町田駅を降りた途端に私たちを向かえたのは、低空飛行する米軍機のとてつもない爆音でした。隣接する厚木市にある在日米軍厚木基地の戦闘機です。厚い雲が垂れ込めていることから、いつもより低空飛行になっているとのこと、耳をふさぐような爆音です。
 学校じゃ授業にならないなと実感、沖縄にも想いをはせつつ、米軍基地の縮小・撤去に頑張らなきゃ!です。

町田市議会の議場で。「日の丸」が掲示されていないところがミソです。