LGBTの人権確立の取り組みを質す【12月議会の質問より➌】

9月市議会定例会で「LGBTなど性の多様性を認め尊重する人権施策の実施に関する請願」が全会一致で採択され、この議会に市としての対応が報告されました。

広報ながの12月号への特集記事の掲載やアンケートの実施、人権研修会のテーマへの推奨など、一定前向きな取り組みが始まったと認識していますが、LGBTに関する専門相談窓口の開設はなお課題として残っています。

9月市議会定例会に提出されていた「LGBTなど性の多様性を認め尊重する人権施策の実施に関する請願」は18日、議案として付託された総務委員会で...

LGBTの権利確立に向け、さらに踏み込んだ具体的な取り組みを質しました。

性の多様性を受容する施策展開を行政がリードすべき

まずは、市としての基本的な認識を問いました。

アンケート調査などで実態把握をしようとの問題意識は共有するものですが、声を上げられないセクシュアルマイノリティの置かれている立場、厳しい現実を直視すれば、行政自身が性の多様性を受容し尊重する人権感覚に支えられた豊かな想像力をもって、施策展開をリードすべきであると考えています。基本的な認識はいかがかと質しました。

地域・市民生活部長は「『長野市人権施策推進基本方針』において、『性的指向及び性同一性障害』を様々な人権に関する問題の一つとして取り上げている」とし、複数の市でLGBT当事者による議会請願が提出されていることは、「当事者の方々が日々抱えている生きづらさの表れであると深く認識するところ」とLGBTの皆さんが置かれている状況への認識を示すとともに、「これまで取り上げることが少なかった分野であるため、正しい理解への啓発はこれからという状況であることを認識し、今後、教育啓発を推進していく」と答弁。

さらに、「市民への正しい理解と偏見や差別の払しょくをめざし、当事者に寄り添い、その声を聴き、また声を上げられず苦しんでいる方々へは、ともに課題解決する者としての信頼を得ることに努め、施策を展開していきたい」との市行政としての決意が示されました。

とても率直でかつ真摯な取り組み姿勢が示されたものと、素直に評価したいと思います。

LGBTの割合、7.6%と類似の結果に

答弁の中で、9月末から10月中旬にかけ実施したセクシュアルマイノリティに関する市民意識調査では、集計中としつつも、「あなたの周りに性的少数者の方はいるか」という質問に対し、「いる」と回答した方が、広告会社の電通が行った調査結果である「7.6%」と類似した結果が見込まれるとし、「改めて本市においても、相当数の当事者の方がいることを認識した」とします。

また、セクシュアルマイノリティに関する活動を行っている市民団体等とかかわりを持つ機会を得ており、今後、当事者との連携を図っていく」との姿勢も示されました。

➡なお、このアンケート結果の詳報は12日の総務委員会で報告されました。

代表質問で取り上げた「LGBT、セクシュアルマイノリティの権利確立に向けた取り組みについて」の続報です。 12日に開かれた市議会総務委員会...

人権審議会で調査・審議

長野市人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例に基づき設置されている「人権を尊び差別のない明るい長野市を築く審議会」(略称=人権審議会)において、専門分科会などを設け、専門的知見による施策の取りまとめを検討していくことも一つの手立てであると考えるが如何かと提案しました。

この質問に対し部長は、先月開催したH30年度第1回審議会では、請願採択を受けて「LGBT」について貴重な意見を聞くことができたとし、「今後もまずは本審議会においてセクシュアルマイノリティの施策について調査・審議をお願いし、またアドバイザーとして専門的見地のある方に参加いただくなど、施策の構築に有効な手段を研究していく。専門部会の設置についても今後の状況の中で考えていきたい」と一定前向きな答弁となりました。

同性パートナーシップ認証制度の導入…調査・研究にとどまる

同性パートナーシップ認証制度の導入について考えを質しました。LGBTに対する理解を広げるには、行政の後押しにより社会的な承認を広げることがカギだと考えるからです。

市は、同性パートナーシップ認証制度の導入は「セクシュアルマイノリティの方々が、社会で直面する困難に対する解決の一端になるものと考える」との認識を示しつつも「当事者の方々からの要望等も把握しながら、他自治体の状況を参考に調査・研究を進める」との答弁にとどまりました。

私自身も、同性パートナーシップ認証制度の導入が即刻実現できるとは考えてはいません。
中核市レベルでは同制度の導入自治体はまだありません。横並び意識はいかがとは思いますが、「調査・研究」との答弁に、前向きに検討していく問題意識を感じ取りたいと思います。

議会としても、広く当事者の声を聴き、市行政とも共に考え、課題解決に向け一つ一つステップを確実に作り上げていきたいと願います。

実は、この質問に関連し、紹介したいと考えていた専門的な観点からの指摘がありました。時間の都合でカットしましたが…。

当事者で研究者でもある鈴木賢・明治大教授の指摘です。紹介します。

『パートナーシップ制度に期待されるのは、社会的な承認が広がることだ。生命保険の受け取り人に指定できるか、医療行為の同意や病状の説明に同席できるか、といったケースでいま変化が始まっている。亡くなった場合、火葬の依頼をできるか。こうしたことが同性パートナーもできるようになりつつある。例えば部屋を借りるとき、同性カップルの場合、大家が嫌がることがある。そこで当事者たちは「友人だ」とうそをついたりもする。自尊心を自ら傷つけながら社会生活を営んでいる当事者は少なくない。社会的にうそを重ねながら生活することのプレッシャーは計り知れない。 ばれたらどうしようなどと不安を抱えながら生きる。心はどうしたって弱くなる。自殺率が高いのはそのせいもあるだろう。「社会的な承認」とはつまり、人の尊厳や自尊心を取り戻すということに結び付く問題なのだ」と。自治体でできることがあるのだから、しっかり取り組むことだ』

「社会的な承認」、しっかり受け止めたいものです。

各種申請書等における男女性別表記の廃止を

性の多様性を認め尊重する観点から、市の各種申請書や証明書において、男女の性別表記を廃止する取り組みが広がり始めています。例えば、印鑑登録証明書からの性別表記の廃止、国民健康保険証における性別の裏面表記などです。
市では、それぞれ担当課に実態を照会中としていますが、本市としての取り組みの考え方を問いました。

部長は、「現在、印鑑登録証明書には性別表記を行っていないが、国民健康保険証には性別表記を表面に行っている」とし、性別表記に関し全庁的な取り決めがなく各課の判断に任せていることから、「各種申請書、届出書等の中で性別欄のあるものを調査・集約したうえで、今後、性別の必要性等について、関係各課と協議しながら研究していく」と答弁しました。

まずは実態把握が必要でしょう。そのうえで、「できるところから」ということになるのでしょうが、性別表記の廃止が一歩進むよう、取り組みを強めたいと考えます。

教育委員会のLGBTへの理解深める教育を問う

小中校におけるLGBT教育の取り組みについても取り上げました。

七二会小・中における当事者を招いての講演会をはじめ、更北中学校では、先生が自主的に「LGBT ALLY」(ALLY支援者、理解者の意)のピンバッジを作成・着用し、理解の輪を広げる取り組みも始まっています。

9月市議会定例会で「LGBTなど性の多様性を認め尊重する人権施策の実施に関する請願」が全会一致で採択されことは、これまでも複数回にわたり報告...

教育委員会のとしての取り組み状況及び、今後の取り組み方針を問いました。

教育次長は、「LGBT・性的マイノリティの問題を含めた人権境域の推進・充実を図るため、市立の小・中学校すべてを人権教育指定校とし、学習の取り組みを支援している」とし、「市教委では、教職員の理解を深めるため、県の研修会を各校に周知・利用促進することに加え、文部科学省のH28年度の通知『性同一性障害や性的指向・性自認にかかる児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施について』を校長会等に改めて周知し、LGBT・性的マイノリティへの正しい理解の促進や学校として必要な対応についての理解が深まるよう努める」と答弁ました。

まずは教職員が正しく理解し子どもたちに接することが必要であることは言うまでもないことで、文科省の通知の徹底だけでは、十分な対応にはならないと思いながら答弁を聞きました。

七二会小・中学校の講演会は、県教育委員会の研修に参加した教職員が「自校の研修にも取り入れたい」と考え実施し者で、市内では、県の「H30年度人権教育講師派遣事業」を活用し、当事者による講演会を実施した学校は3校あるとのことです。

また、更北中学校の取り組みも、「当事者の子どもたちにとって安心して相談できる環境づくりにつながる」との認識を示したものの、市教委として、こうした取り組みの拡大を促す姿勢は打ち出しませんでした。

市教委として主体的な取り組みを強める意欲、問題意識がまだまだ希薄であると感じます。

教育委員会における、小中学校でのLGBT教育の推進は、これからといった状況でしょう。