若穂・保科温泉線の新しい運行形態の教訓は何か【3月議会の質問より➌】

 2015年(H27)3月に不採算のため廃止された長電バス・保科温泉線は、H27年度1年間は廃止代替バス路線として長電バスに運行を委託、その間に新しい運行形態を地域住民との協働で目指すとし、事業者・行政を交え、見直しが検討されてきました。
 【関連】150714「どうなる?どうする?若穂の路線バス」

廃止代替「大豆島保科温泉線」が4月からスタート

 今年1月には、廃止後の対策として、長電バスとアルピコ交通のバス事業社2社の共同運行方式による廃止代替バス運行が「大豆島・保科温泉線」として4月からスタートさせることが確認されました。
 不採算路線で行政との協議マターとなっていたアルピコ交通・大豆島線と連結させるもので、廃止路線と不採算路線を連結した新しい路線となります。

 保科温泉から長野駅を一本で結ぶ路線ですが、平日は14便で、長野駅行は1便減、保科温泉行は2便減となります。
 また、土休日は10便で現行通りで運行されます。

 料金は700円を上限に設定されることになります。新設される範囲を除き既存運賃と同額です。

 若穂地区の地元からは、温泉発の始発便の時刻を早めることや日赤を経由する路線とする要望が出されましたが、運転手の確保や労働条件の面から困難とのことで、合意・了解に至ったようです。
【参考】➡長野市HP
     ◆「廃止路線代替バス「大豆島保科温泉線」の運行について」
    ➡長野市地域公共交通会議資料より
     ◆「廃止路線代替バス『大豆島保科温泉線』の運行について
     ◆大豆島保科温泉線の路線図
     ◆大豆島保科温泉線の時刻表
     ◆大豆島保科温泉線の運賃

公共交通ビジョンが描く新しい仕組み

 公共交通ビジョンでは、今後生じる交通空白地域では、「地域住民が主役となった運行する仕組みを構築する」とし、交通移動手段の確保策として、【第一段階】一定期間は廃止代替バス等で運行し、【第二段階】運行維持基準と運行実態による検証を踏まえ、【第三段階】基準に満たない場合、NPO法人等によるコミュニティバスの運行や中山間地域・有償運送方式も視野に入れて対策を講じるとしています。

 ビジョンが描く筋書き通りには進みませんでしたが、新しい運行形態が路線バスとして維持され、2社共同運行という新しい仕組みでスタートすることがポイントです。

 1年間の猶予とはいえ、実質的に具体的な検討・協議が始まったのは昨秋以降で、極めて慌ただしく合意形成が図られたものと受け止めています。

 私的にも、なかなか進まない協議状況に、「拙速に進めてはならない。廃止代替バスとしての現行運行をさらに延期し、検討を継続すべき。まずは『運行基準』をまとめることが先決ではないか」との意見を委員会の中で提案したこともありました。

保科温泉線の廃止対策から何を教訓とするのか

 公共交通ビジョンを踏まえ、「地域住民が主役となって新しい運行形態をめざす」としてきた若穂・保科温泉線の維持存続について、行政・住民・事業者3社の合意形成のプロセスを含め、何を教訓とし今後に活かすことができるのか、質問しました。

企画政策部長…「路線確保に向けた合意形成の試金石、公共交通網形成計画に活かす」

 企画政策部長は、「見直しは、地区からの長野駅直通運行の存続要望、バス事業者の運転手不足、利用実態に見合う運行と経費を考慮しながら、地区説明・意見交換等を重ね、地元タクシー会社での対応やバス路線と乗合タクシーの組み合わせなど様々な方法を検討してきたが、公的支援のない日石線との重複区間を避けることが大きな課題であり難航した」と振り返ったうえで、「交通事業者との協議の中から、不採算路線として申し出のあった大豆島線(アルピコ交通)と保科温泉線(長電バス)を1路線に統合し、2社共同運行により運転手と車両を効率的に活用し、収支改善を図る手法が生まれ、若穂・大豆島地区への説明、運行内容の全戸配布による意見集約を経て運行へとつながったもの」と答弁。
こうしたプロセスが、「路線確保に向けた合意形成を図る試金石になるもの」であり、「共同運行は、将来の事業者等の運行主体の在り方を模索する足掛かりとなるもの」と、取り組みを評価しました。

 今後の課題としては、「運行の効果を検証し、他の路線への適用など事業者と検討、地域公共交通網形成計画の策定に活かしていきたい」としました。

「地域住民が主役」に課題残す

 行政側の答弁に、全体的には大きな異論はありませんし、後方支援していきたいと考えています。
 前述したように、バス事業社2社による共同運行方式が、新たな路線再編と新しい運行主体の在り方を検討していく足掛かりになっていくことを期待したいと思います。

 しかしながら、公共交通ビジョンに照らして、「廃止代替バス路線」として維持存続をいかに持続していくのか、地域住民が主役となりえたのか、路線沿線の住民の力で利用促進を如何に図るのか、といった点は課題として残っていると思います。

 地元の利用者の皆さんの意見を聞きながら運行状況を検証していきたいと思います。

 余談ですが、行政が「試金石」と自己評価するときは、要注意だと思っています。
 北部市民プールの廃止を伴う皐月保育園の移転改築も、公共施設マネジメントの「試金石」としましたが、現状、暗礁に乗り上げていますから…。

共同出資会社による路線バス運行、上下分離方式の導入提案は見送り…

 質問にあたり当初、「共同運行方式」を拡大して、路線の再編成を考える必要があるとの観点から、市も関与する共同出資会社方式による路線バス事業の展開、あるいは路線バス事業の上下分離方式による運行について、バス事業者との検討遡上にあげて促進すべきではないか、との質問事項を考えていたのですが、最終的に「機が熟していない」と思い見送りました。

 今後、バス事業者とも忌憚のない意見交換を通じ、模索していきたいと思います。

 問題意識としては、県内のバス事業者にあっては、黒字基調であった高速バス運行において、県内の都市間高速交通(2次交通)が赤字に転落し、廃止・減便の動きが顕著になってきていることがあります。

 これまでは、路線バスの赤字を高速バスの黒字で埋めて収支改善を図ってきていたものが、県内都市間高速バスが赤字に転落すると、事業者の経営判断として大都市間の高速バスへのシフトと路線バスからの撤退につながるのではないかとの危惧があるからです。
 アルピコ交通の長野~松本間、千曲バスの佐久~長野間は、既に廃止・減便が検討されています。

利便性の高い生活バス路線、交通ネットワークの再編成へ

 利便性の高い生活バス路線へ生まれ変わること、市街地と中山間地域、どこに住んでいようと日常生活に不可欠な公共交通ネットワークを再編成することは、引き続き重要な政策課題です。
 利用促進策、利用転換策の抜本的な充実が必要です。

 そこで、質問では、公共交通ビジョンの早期具体化を求めて、利用促進・利用転換策や公共交通利用促進条例の制定を提案しました。

 次回のブログページに続きます…。