長野市の組織・機構見直し…市民益にかなうのか

長野市はこのほど、新年度の市役所の組織・機構の見直しを発表しました(2月1日の政策説明会で報告されましたが、私は発熱で自宅待機、欠席した会合です)。

組織改編は市長にとっては、改革姿勢を手っ取り早く示すものになります。見直しの効果のほどは進捗状況を見て評価したいと思います。部局横断で政策・施策展開が必要となる仕事が増える中、市職員にとって仕事を的確に進めることができる仕組みとなるのか、そして、これが肝心ですが市民にとってわかりやすい仕組みなのか、市民益にかなっているのかという視点から、現時点での私の感想をまとめてみました。

組織機構の見直しは市長らの裁量ですから、意見は表明しますが、まずはお手並み拝見といったところです。

組織・機構の見直しのポイント

▶市全体では、現行の17部局108課20室から18部局107課16室に改編され、3つのグループ、3つのチームが新設されます。大きな特徴は後述。

▶加藤前市長が設けた結婚支援の「マリッジサポート室」と、生活習慣病の発症や重症化を防ぐ取り組みなどを担う「ながのベジライフ推進室」は廃止。それぞれ企画課と健康課に担当を置くことに。結果オーライですが、それぞれ前市長の肝いりで始めた事業です。室から担当への移行に事業の総括が必要でしょう。

▶また、交通政策課は都市整備部から企画政策部に移管します。まちづくりとのリンクを考えると都市整備部が妥当だとは思いますが、問題は担当課の問題意識が大事なので、こだわってはいません。

大きな見直しについてのみまとめます。事務の統合等による課の改称もありますが省略します。

新産業創造推進局の新設

市長の公約実現の一環。新産業の創造に向け、スマートシティ等の取り組みを推進する専任部局として新設。局長(部長級)を置く。局内にチーム制により①スマートシティ推進、②産業基盤創生・人材育成、③バイオマス推進の3つのチームを設け、スタッフ制による担当課長を置く。

これまで、企画政策部企画課・環境部環境保全温暖化対策課・商工観光部商工労働課で分担していた仕事を1局に統合する。

この間、若者の起業支援をはじめ、新産業創出に向けた企業立地等に取り組んできていますが、さらにテコ入れを図る趣旨なのでしょう。この局の新設には強力な施策展開を期待したいものです。

行政DX推進課を新設

情報政策課デジタル行政推進室を廃止して、行政のデジタル化や高度情報化基本計画、事務の改善・能率向上に関する仕事を1課に統合。

「DX」はデジタルトランスフォーメーションの略語で、直訳すると「デジタルによる変容」。デジタル技術を用いることで、生活やビジネスが変容させていくことをDXと言います。時代が求める課題ではありますが、なじみのある表現にはなっていません。課の名称に「DX」といった略語を使うのはいささか?です。「行政デジタル化推進課」でよいのでは…。

こども未来部を「こども総合支援センター」と位置づけ直し新設

市長公約の組織新設となるもので注目の組織改編です。子どもに関する相談全般をワンストップで受け付ける体制を整備するため、こども未来部全体を「こども総合支援センター」に位置付けるというもの。箱モノではなく機能ということです。従来の子育て支援課は「子育て家庭福祉課」に改称し、子育て家庭全般への支援に広げ、福祉施策と一体で対応する。

組織機構上は、こども未来部内のこども政策課・子育て家庭福祉課・保育幼稚園課の3課をまとめて「こども総合支援センター」を設置するもので、機能上は各相談機関の子ども相談を包含するとされます。

「ワンストップ」がキーワードなのですが、問題は多岐にわたる個別の相談に的確かつ迅速に応え、継続的支援につなげていけるのかにあります。当然、個別案件についてチームによる横断的連携が不可欠となります。その意味で、センターの機能やミッションが有効に働いていくことを期待したいと思います。でも、現状では、最終的な責任の所在は「センター長」(センター長を置くのか、部長兼務なのかは定かでない)となるのか、あるいは部長なのか、明らかではありません。

効果を期待しているのですが、市長公約の「こども総合支援センター」という固有名詞にこだわり過ぎたのではなかろうかとの印象です。言い換えれば忖度しすぎ?!。

相談者に寄り添い、縦割り行政の弊害を解決することが課題であれば、私は、例えば、これまでの「こども相談室」を「こども何でも相談室」に改称し、子ども当事者、そして子育て世帯の保護者の子育て、教育・学習、経済的・心的な悩みや不安に応え継続的に支援していく相談窓口の一元化を図る方が分かりやすいのではないかとも考えます。問題は相談に応える体制であって、それこそ「子ども何でも相談室」に個別案件に対するチームを横断的・包括的に作ればよいと考えます。ここが肝心なのです。

復興局・復興推進課を廃止し、復興推進特別対策室に「格下げ」

台風19号災害からの災害復興を中心的に担ってきた復興局が廃止に。企画政策部内に新設される「復興推進特別対策室」は課相当の位置づけで、復興業務を縮小させるものではないとされるのですが、被災し未だ住宅再建もままならない市民にとっては「とり残され感」が禁じ得ないのではと憂慮します。

「格下げ」は言い過ぎかもしれませんが、災害復興本部会議を継続する限り、「復興局」を存続し、被災者に寄り添い続けることが重要だと考えます。

確かに、災害復興の大きなヤマは越えつつあると思いますし、時限のある組織なのですが、少なくとも廃止・室への移行は1年早いのではと思います。手を抜くことはないと信じていますが、要チェックです。

公有財産活用グループなど3つの「グループ」を新設

部局の下に設置されている局(公室)の組織多岐な位置づけが分かりにくいため、部局配下の局を廃止し、密接な連携による一体的な取り組みを推進するために、総務部に情報化推進グループと公有財産活用グループ、都市整備部に都市再生グループなど3つのグループを設けるもの。

問題意識はわからなくはないですが、かえって、わかりづらく、責任の所在が明確でない印象を持ちます。どのように機能していくのか、これまた要チェックでしょう。

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