電車の次はバスか!長電バス不採算路線の見直し

「長野電鉄屋代線が廃止されて3年、今度はバス路線の廃止。これでは両足をとられてしまう」「若穂地区と中心市街地を結ぶ唯一の路線。朝夕は通勤通学の足であり、通院の足でもある。地元しても利用促進に取り組む。何としても存続してもらいたい」

6月26日に開かれた長野市地域公共交通会議。保科温泉線の全区間廃止が示された地元の若穂地区住民自治協議会の代表らから、存続を求める声が厳しく相次ぎました。

《8月には廃止を届出》
長電バスは、5月に北信地域で8路線の見直しを関係する市町村に示し、長野市内では、市町村をまたぐ地域間幹線である「須坂屋島線」と「牟礼線」、そして市内路線である「保科温泉線」の3路線について来年3月の廃止に向けて今年8月下旬には廃止を届け出たいとしています。
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《長電バス、継続困難を強調》
この日の会議では、同社の佐々木・乗合バス部長が、貸切バス2台の売却をはじめバス事業の経営改善を図ってきたが、燃料高騰や利用者の減少により、国・県の補助や市の単独補助があっても赤字は解消されず、「何らかの補助がなければ運行継続は困難」との考えを正式に示しました。
長野市は、H21年度から5年間を期限に「路線バス維持対策補助金」として赤字の1/2を補助してきましたが、この補助金の継続の見通しが立っていないことも要因の一つになっていそうです。
それぞれの路線の収支状況では、須坂屋島線は▲438万円、牟礼線は▲210万円、保科温泉線は▲839万円の赤字の見込みです。須坂屋島線には396万円、牟礼線には1292万円の国・県補助が入ったうえでの赤字。保科温泉線は240万円の市補助を除く赤字試算です。

《廃止による利用者ヘの影響は200人超》
長電バス側は、廃止により影響を受ける利用者数を過去の乗降調査から、須坂屋島線では38人/日、牟礼線では19人/日、保科温泉線では約150人/日との見通しを示しました。200人を超える住民の足が奪われてしまうことに、危機感を持ちたいと思います。

《問われる住民との協働》
生活路線バスの厳しい経営状況が改めて浮き彫りになったものですが、交通事業者としての責任も問われるでしょう。経営努力、経営改善は十分なのか、利用促進に向けどんな対策を講じてきたのか、例えば、住民懇談会のような形で地域沿線住民に経営状況を知らせ住民の乗り換えに向けた提案・お願いを行ってきたのか、それぞれに十分な対策を講じてきた上での判断なのか、吟味されなければなりません。
ほとんどの路線が赤字となっている生活路線バスを維持するには、住民の力、事業者の力、そして行政の支援とコーディネートが不可欠だからです。
長電バス側に、「廃止した上で行政の判断で市のお金で廃止代替バスを運行してもらえばいい」との安易な考えはないのでしょうか。「赤字だから廃止」という採算性だけの事業者自己完結型の論理では、住民の足を守ることはできません。

《屋島線・牟礼線は他市町村の動向見極め》
一部区間の廃止・減便を提示している須坂屋島線・牟礼線については、関係する市町村が赤字補てん策を検討していることもあり、当面、状況を見極めることになりそうです。
市内路線としては減便で存続することになりますが、廃止区間においては、市町村をまたぐ地域間幹線としての役割が改めて問われます。

《存続の方向で利用促進含め個別に検討》
協議は保科温泉線の廃止問題に集中。委員からは「マイカーから公共交通への乗り換えが進まない中、廃止はやむを得ない。代替の方法を考えるべき」(バス協会・委員)といった意見が出された一方で、「早急に結論を出すことは得策ではない。路線の維持に向けて情報を共有し検討すべき。利用促進の方策も検討が必要」(学識・委員)、「廃止は拙速。乗って残す運動の再構築が必要」(私鉄・委員)との意見が出されました。
会長を務める市企画政策部長は「廃止方針に対し、存続の方向で検討すべき、地域の利用促進を検討すべきとの意見を踏まえ、両面から検討が必要」とし、今後について「長電バスや沿線住民と個別に相談し対応策を検討する」とまとめました。
長野市としては、「公共交通ビジョン」の策定中であり、公共交通ネットワークの再構築を検討している最中だけに、「廃止提案」に対し「わかりました、やむを得ない」とは簡単に応えられない事情を反映しているものと思われます。

一方で、市長は6月24日の記者会見で、「地域公共交通を守るのは市の責務だが、利用しないのに守るのかということにもなる。地域で考えてほしい」と述べています。「市としての検討」も付け加えてはいますが、「利用するために行政は何をしてきたのか」が問われる発言です。「移動困難者の存在」、「交通難民」に心を砕いてもらいたいものです。

《交通ネットワーク存続への提案》
保科温泉線の存続に向けていくつかの私案があります。行政側も検討していることとは思いますが、ご意見をいただきたいと思います。
当面、1/2 赤字補助を継続し、利用促進を図る
現状のまま保科温泉線を存続させるためには、市が単独で赤字補てんするしかありません。この英断が今の長野市にできるとは思えません。しかし、当面、赤字1/2補助を継続し、利用促進を図り事業者負担を軽減するという次善の策は検討すべきです。また、沿線住民が存続させるために負担金を募るという方法(例えば、篠ノ井・信更地区の世帯拠出金方式)もありますが、持続的な取り組みが課題となります。
屋島綿内線の路線再編成
保科温泉線が廃止になると、若穂地区と市街地を結ぶ路線は「屋島綿内線」(千石入口~長野駅東口~ビッグウェーブ~屋島~綿内)のみとなります。この屋島綿内線の路線を川田・保科地区まで延長して利用者の足を確保することも考えられます。事業者の判断に寄るところが大きい案ですが、保科地区の利用者には利用時間と運賃が課題となります。
「保科~川田」間に乗合タクシー導入、「川田~市街地」路線の確保
保科温泉線の利用者は、若穂団地・川田~市街地間のウェイトが高いようです。廃止の場合の代替策として交通空白地域となる保科地区(川田~保科温泉間)に乗合タクシーを導入し、川田をターミナルに路線バスとの乗り継ぎで足を確保する考え方です。
乗り継ぎ運賃、川田をターミナルとする路線バスの維持が課題となるでしょう。➊案との連動ということも考えられるのではないでしょうか。

いずれにしても若穂の保科地区・川田地区・綿内地区のそれぞれのまちづくりと連動しなければ、公共交通ネットワークは成り立ちません。利便性の高いネットワークでなければ、利用促進にもつながりません。
なかなか難しい問題ですが、今の利用者の足を維持するためにどんな手立てが考えられるのか、その上で利用促進・マイカーからの乗り換えにどんな手立てが考えられるのか、若穂地区の皆さんとも意見交換しながら、しっかり検討したいと思います。
タイムリミットは8月、余り時間的余裕はありません。

議会の中でも、総務委員会での検討協議を求めていく必要があると考えます。

《県の動き、アルピコ交通の動き》
それにしても県の動きが見えません。6月中旬に開かれた県の地域公共交通連絡協議会では話題に上っていません。新総合交通ビジョンを策定し、生活交通にシフトした公共交通ネットワークの再構築を指向しながら、事業者と市町村任せに。県のリーダシップは何処に…。

アルピコ交通でも犀北団地線や小市団地線など不採算路線の見直しが検討されているようです。ガードが固いのですが、当面は運賃を引き上げ長電バスと同一レベルにする検討のようです。アルピコ交通では6月に大きな人事異動が行われ、交通事業への影響が心配されます。
地元に情報を提供しながら対応策を考えなければなりません。