「賞味期限切れ」…長野市の非常備蓄食の品質管理を考える

台風16号による長野市内の被害状況は、人的被害こそなかったものの、一部冠水や土砂崩落、法面崩落、倒木など40カ所を超える被災となりました。

さて、21日のブログ「安茂里地区の避難勧告から一夜明けて…浮かび上がる課題」の中で、市の「非常食・備蓄食の品質管理」、「賞味期限切れ」を課題の一つとして指摘しましたが、その続報です。
160921「安茂里地区の避難勧告から一夜明けて…浮かび上がる課題」

備蓄食の輸入元に確認

長野市が備蓄食として活用している「サバイバルフーズ」の「品質保持期限=賞味期限」の考え方について、輸入卸元である「株式会社セイエンタプライズ」の藤枝さんに話を伺いました。
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現在は製造から25年目の年月を賞味期限として表示

藤枝さんの話によると、現在のサバイバルフーズの食品表示は、「24℃以下で保存」を条件とし、製造年月から「25年後の年月」を「賞味期限」として表示しているそうです。

つまり、1998年6月製造(今回の市の備蓄食のケース)であれば、缶には「賞味期限2023年6月」と表示記載されていることになります。

これまで「10年間」と表示されていた賞味期限が「25年間」に延長されていることには、いささか釈然としませんが…。食品の期限表示が変わる中での対応なのでしょう。
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ただし、基本的に「常温管理」(15℃プラスマイナス10℃)されていることを保管環境として推奨しているとします。この保管条件をどこまで押さえるかがカギでしょう。

「保管環境は不適切、品質保証担保できず」

25年保証については、建物外部の備蓄倉庫における保管では、「品質は保持されていると考えるが、化学変化等の可能性を否定できない」ことから、「保管環境としては不適切であり、品質保証は担保できない」と述べています。

災害対応の非常食といえども、「家庭における常温保存と同様の保管環境が望ましい」とします。

要するに「室内保管」が基本であると強調されました。

避難所である体育館の管内・室内に備蓄倉庫を整備したり、学校施設の施設内・室内に備蓄倉庫を整備することが望ましいということです。

ではどうするか?

一挙に更新し、常温管理できる備蓄環境を整える」…これがベストですが、正直、なかなか難しい問題だと思います。

しかし、「備蓄食の安全」を基本にした対応が必要であることは間違いありません。
もっとも、この点は危機管理防災課もしっかり押さえていると考えます。故に「課題はある」としているのでしょう。

現実的な対応策として6点ほど指摘・提案したいと思います。思いつくままですが…。
これからの危機管理防災課との協議事項です。危機管理を所管する総務委員会からは外れましたので、会派内では情報共有する予定です。

➊現実的には、現行表示(製造から25年の賞味期限表示のもの)の製品に更新していくことが必要ですが、問題は更新スパンです。10年スパンで更新していくとなれば、それなりのコスト増となります(計算できませんが)。

➋非常備蓄食の保管・保存環境のあり方も再検討が必要です。

➌少なくとも、現況として、どの時期に製造された製品を備蓄食として保管管理しているのか、屋外備蓄倉庫の保管状況、屋内(室内)倉庫の保管状況等を調査把握することが必要だと考えます(既に危機管理防災課ではチェック済みかもしれませんが…)。

➍また、備蓄食(飲用水を含めて)の品質の安全性を定期的にチェックすることも必要でしょう。
食べられるのに処分・廃棄して膨大な食品ロスを生み出してしまうことは避けたいとも思いますから。

➎さらに、食品表示法に照らした表示等のチェックも必要です。アレルギーに対応できる原材料表示や栄養素表示がなされているのか、といった観点です。

➏現行の製品を当面、そのまま活用し続けざるを得ないのであれば、支所長や消防、自主防災組織等を対象に、「品質保持期間=賞味期限」は過ぎているが、安全である旨の周知(安全担保の確認を行ったうえで)を図っておく必要があります。

いざ、開設された避難所現場では、備蓄食提供の際に必ず混乱します。表示は「賞味期限切れ」ですから。

いずれにしても、市民感情も考慮した何らかの対応策が急がれます。

サバイバルフーズとは?HPより
サバイバルフーズは、世界最大規模の凍結乾燥食品メーカー・オレゴンフリーズドライ社の40年にわたる経験と特殊な技術により作られた、25年間の超長期保存が可能なフリーズドライ加工食品とクラッカーの備蓄食です。
米国農務省の検査官が常駐する工場内では、厳選された食材を使用して調理から冷凍、フリーズドライ加工、梱包までを一貫して行います。
その技術の高さから、「月へ向かう宇宙飛行士にレストランで食べるのと変わらないメニュー味わってもらいたい」というNASAの依頼を可能にし、オレゴンフリーズドライ社では、アポロ計画以降、現在のスペースシャトルに至るまで、宇宙食を供給し続けています。

25年間買い替え不要なのが、うれしいポイント。頻繁に買い換えていては、コストが高くついてしまいます。例えば、サバイバルフーズのクラッカーの標準的だと思われる小売価格は10食分で4,000円ですが、25年保存が可能です。一般的な同様の非常食の場合には、5年毎に買い替えが必要ですから、1食300円としても10食分を25年で5回買うと15,000円と、サバイバルフーズより11,000円も割高になります。超・長期保存ができるサバイバルフーズは、結局オトクになるのです。

賞味期限と消費期限…おさらいしました

食品の期限表示は、「賞味期限」や「消費期限」、さらには「品質保持期限」いった表示があり、基準が統一された今でも、消費生活・食生活においては紛らわしさが残っています。

おさらいの意味で調べ直してみました。

もともと、日本の加工食品は、食品衛生法やJAS法(旧・農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)で、すべての食品に対し食品の包装年月日を製造年月日として表示することが義務付けられていましたが、長期間保存できる食品については省略可能でした。

*JAS法=平成27年4月の食品表示法の施行に伴い、JAS法の食品表示に関する規定が食品表示法に移管されるとともに、JAS法の名前が「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」から「農林物資の規格化等に関する法律」に変更されました。

H15年(2003)から「賞味期限」と「消費期限」に統一

しかし、製造年月日が不明確な食品が存在することや「賞味期限表示」が一般的な国際基準等に合わせるため、平成7年(1995年)に製造年月日から「賞味期限」表示へ変更され、平成13年(2001年)4月から加工食品全般に期限表示(賞味期限又は消費期限)が義務付けられました。そして、H15年(2003年)7月に食品の期限を表示する方法を決めている規則を変更し、「賞味期限」と「消費期限」に統一、用語の定義も、食品衛生法、JAS法で統一され、今日に至っています。

したがって、全ての加工食品には、賞味期限または消費期限のどちらかの期限表示が表示されていることになりました。

「知っていますか、食品の期限表示」パンフ(農水省)

食品表示パンフpamph_i_page001
食品表示パンフpamph_i_page002
ただし、H17年(2005年)7月31日以前に作ったものや輸入していたものは「品質保持期限」と表示してもよいという暫定措置になっています。それ以降は、「品質保持期限」は「賞味期限」と表示されています。

因みに、今回の非常備蓄食=サバイバルフーズは、2005年以前に輸入されたものであることから、「製造年月日」と「品質保持期限」の両方が表示されていました。

【農林水産省のHPより】

賞味期限(best-before)=劣化が比較的遅い食品に表示
おいしく食べることができる期限です。
この期限を過ぎても、すぐ食べられないということではありません。
スナック菓子、カップ麺、缶詰、ジュース、かまぼこ、牛乳、バターなど
定義:定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。

消費期限(use-by date)=劣化が早い食品(だいたい5日以内に悪くなるもの)に表示
期限を過ぎたら食べない方が良いんです。
弁当、サンドイッチ、惣菜、生めんなど
定義:定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。

期限の設定は誰がどのように決めているか

農林水産省のHPから引用します。

食品の情報を把握している製造業者等が科学的、合理的根拠をもって適正に設定しています。(原材料、商品の殺菌、包装の仕方等で食品の保存できる期間は大幅に変わるからです)

もう少し詳しく説明すると、期限の設定は、食品等の特性、品質変化の要因や原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、保存状態等の諸要素を勘案し、科学的、合理的に行う必要があります。
このため、その食品等を一番よく知っている者、すなわち、原則として、➊輸入食品等以外の食品等にあっては製造又は加工を行う者(販売業者がこれらの者との合意等により、これらの者に代わって表示をする場合には、当該販売業者)が、➋輸入食品等にあっては輸入業者(これらの者をあわせて「食品等事業者」という。)が、責任を持って期限表示を設定し、表示することとなります。

H27年4月から食品表示法に一元化

さらにH27年(2015年)4月1日、食品表示法が施行されました。新法は、現行の法律(JAS法、食品衛生法、健康増進法)の義務表示の部分を一つにしたもので、一元化にあたって、消費者庁はより安全でわかりやすい表示を目指して、現行制度の見直しを行いました。さらに、新法のもとで機能性表示食品制度も導入されました。

新法の大きなポイントは、加工食品の栄養表示が義務化されること。ナトリウムの表記も食塩相当量に変わります。他にも一括表示欄の表示項目が細かく見直され、製造所固有記号、アレルギー表示、原材料と食品添加物の区分などのルールが変更されます。

食品表示法施行変更の主なポイント

食品ロスを無くす視点も大切

消費生活・食生活に照らして考えると、食品を無駄にしないで、環境に配慮した食生活が大切であることは言うまでもありません。

賞味期限が切れたからと言ってすぐに食べられなくなるわけではありませんし、廃棄による社会的なコストも考慮し、期限表示の意味を正しく理解して食生活を営むことが大事です。

また、生活困窮者の皆さんへの食糧支援として、フードバンク、フードドライブの活動が広がりつつありますから、食品ロスを減らす、生活困窮支援に活用するの二面からアプローチしていくことが必要な時代に生きているということです。