改革ネットの行政視察報告【都城市~久留米市~日進市】

2月6日から8日にかけて市議会会派「改革ネット」で実施した行政視察の報告です。
今頃になってしまいました。

すでに長野市議会での質疑に活かしている事柄もあります。

都城市は中心市街地中核施設の整備で、撤退した百貨店の既存施設を生かした図書館整備と子育て支援施設の一体的な整備、久留米市は高齢者が高齢者を支える介護ボランティア・ポイント制度、日進市は子育て世代を中心とする人口増のもとでの放課後子ども総合プランの実施状況についてをテーマとしました。

それぞれ、興味深い視察となりました。

宮崎県都城市 面積653㎢、人口165,000人

➡都城市=宮崎県の南西端に位置し、宮崎市から西南西約50km、鹿児島市から東北東約90kmで、鹿児島県に接しており、宮崎と鹿児島の中間地点にあたる主要都市、宮崎市に次ぎ、県内第2の人口を擁する。

都市計画区域全体で市街化区域と市街化調整区域の線引きを撤廃した唯一の都市でもあり、ゆったりとした町並みであるとされる。

都城市の視察テーマは、中心市街地活性化における施設の在り方で、H26年度から中心市街地で整備を進めH30年4月にオープンした中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」。

長野市の中心市街地・新田町交差点の施設「もんぜんぷら座」は、耐震補強工事で10年間の長寿命化を図った上で、長野駅と善光寺の中間に位置する周辺に、生涯学習センター「トィーゴ」の機能と合わせ、どんな機能を集約する施設を再整備するかが課題となってることから、参考とするために訪問したもの。

全国的に注目されている事業展開で、視察ラッシュだそうだ。

中心市街地・中核施設整備の背景と経緯

中心市街地に3店舗あった百貨店や大型スーパーが本社倒産や業種転換により閉店し、百貨店「都城大丸」1店舗のみになり、中心市街地の集客力が大幅に低下。一方、消費者ニーズの多様化とモータリゼーションの進展に伴う郊外型大型店舗へのシフトが加速する中、H23年1月、最後の中核店舗「都城大丸」も民事再生法の適用を申請し閉店に追い込まれ、跡地再生が新たな課題に浮上。

H24年9月には、商工会議所の会員企業が大丸跡地再生の受け皿会社として「株式会社ハートシティ都城」を設立し、大丸跡地を取得。

H25年、市長交代に伴い、市とハートシティ都城、商工会議所の三者による跡地再生方針の再検討に着手、既存ストックの有効活用と官民連携の事業展開により、整備コストの縮減を図りながら都市機能を集約し、まちなかの賑わいを再生する「都城大丸跡地再生方針」を決定する。

当初は、都市再生整備計画「都城市中央地区(地方都市リノベーション事業)」を策定し国交省に提出するものの、「地方都市イノベーション事業」から「都市再構築戦略事業」(公共部分)と「都市機能立地支援事業」(民間部門)に事業移行し、公共部分を先行整備する。

撤退した百貨店の施設等を活用…中核施設Mallmallの概要

中核施設の整備コンセプトは、➊市民ニーズに即した施設・機能の集約、➋既存建造物の活用による整備コストの削減、➌利用者に配慮した移動円滑化の設え。
公共の中核施設は3ブロックからなる。一つは、市民の長年の要望であった図書館の移転整備に応え、百貨店・大丸の既存施設を活用した図書館の整備、二つは子育て世代をターゲットとする施設整備で「まちなか交流センター」「子育て世代活動支援センター」「保健センター」「中央バス待合所」などの複合施設の整備、三つは中核施設付帯駐車場、そして図書館とまちなか交流センターを全天候型の「まちなか広場」、天井シェルターが結ぶ。中核施設の全体愛称が「Mallmall(まるまる)」。

都城市HP「中心市街地中核施設「Mallmall」が開館しました!」のページへ。

http://cms.city.miyakonojo.miyazaki.jp/display.php?cont=180223133628

整備事業費は約65億円、国の社会資本整備総合交付金、合併特例債・基金等を財源とする。

半年で100万人突破、1イベントに1万人も

H30年4月にオープン以来、開館133日間で図書館来館者数が50万人を達成、半年間で全施設来館者数が100万人を突破、子育て世代活動支援センター「ぷれぴか」は開館から260日間で10万人を達成。この2月3日で全施設来館者数は約162万人、図書館は約97万人を数えるとのこと。旧図書館の来館者数が年間約17万人であったことを考えると、すごい好評ぶりである。
指定管理者の創意工夫もあり、多彩なイベントが具体化され、一つのイベントに1万人が集うこともあるとのことだ。

旧図書館の約3倍の規模に拡大した図書館の改修費は、既存施設を活用したことから約31億円の整備コスト縮減(同規模図書館の新規整備費と比べ)につながったとされる。



中心市街地活性化室で部局横断を一元化

この中核施設は、長野市でいうと、教育委員会(図書館)、子育て支援センター(こども未来部)、保健センター(保健福祉部)、まちなか交流センター(地域市民生活部・商工観光部)、まちなか広場(都市整備部)が関わる複合施設である。都城市では、図書館を含め複合施設全体の整備計画から指定管理者の選定、運営管理を商工観光部の中心市街地活性化室が一元的に対応している。まさに横串がきちんと通った行政対応が大きな特徴といえよう。学ぶべき点である。

さらに、大きな賑わいを取り戻すことに成功している大きな要因は、市民ニーズの強かった図書館の整備をメインに位置付け、子育て支援施設を保健センター(育児支援)と一体で拠点化していることにあると思われる。さらにバス停・待合環境も整え公共交通による利用という点も見逃せない。

長野市において、もんぜんぷら座周辺の施設整備をいかなるコンセプトで進めていくのかを考えていくうえで、示唆に富んだ事例としてしっかりと梅止めたい。

福岡県久留米市 面積230㎢、人口304,550人

➡久留米市=福岡県の南部(筑後地方)にある都市。福岡市、北九州市に次いで福岡県では第3位、九州全体では第8位の人口を擁する中核市。

久留米市の視察テーマは、よかよか介護ボランティア事業(介護支援ボランティア制度)である。

ポイント制による「よかよか介護ボランティア事業」

久留米市の高齢化率は26.5%(長野市は1月現在29.3%)で全国平均を下回るものの上昇傾向にある。高齢者が高齢者を支える仕組みづくりとして始めた事業とされる。

事業の目的は、➊介護施設でのボランティア活動を通じて、「生きがい」や「やりがい」のある活動の場を提供し、高齢者の社会参加も地域貢献のきっかけを作る、➋介護現場で身近に利用者に接することで介護への関心を高める、➌ボランティア活動を通じて、介護予防につなげるの三つ。

対象者は、市内在住の65歳以上で要支援・要介護の認定を受けていない市民とし、事前説明会に参加したうえで、参加登録した方とする。

介護施設等でのボランティア活動1時間につき原則1ポイントが付与され(1日最大2ポイントまで)、事業年度1年間の間に10ポイント以上貯めた場合に1ポイントにつき100円、最大50ポイント(5,000円分)まで奨励金と交換することができるポイント制度を導入する。また、ポイント分は「社会福祉振興基金」に寄付することもできる。

H29年度で、ボランティア登録者数は271名、活動者数は88名で活動率は32.5%。ボランティアの受け入れ機関は、登録137事業所に対し、実際の受け入れは56事業所、受入率40.9%にとどまる。ボランティアと受け入れ機関のマッチングが課題とされる。

ポイントの交換実績は、H29年10月からH30年9月までで、換金が61名、計192,200円、1人当たり約3,500円とされる。寄附は過去平均で2~3人という状況だ。

事業費は介護保険事業特別会計の地域支援事業費で、H29年度で369万円(サービス事業者協議会への委託金)である。

➡久留米市HP「よかよか介護ボランティア事業」のページ

➡久留米介護ネットのページ

高齢者の社会参加に効果、事業所とのマッチング課題

参加者の感想から、「高齢者への社会参加や生きがいづくり、健康づくりにつながっている」との声が寄せられ、事業効果が上がっているとされる。介護予防につながるとの目的と照らすと「現状では、介護給付費の減は考えていない」とする。

課題として、登録者数は年々増えているものの、ボランティアに取り組む方は登録者の3割程度にとどまっていることで、受け入れ施設の拡充、効果的なマッチング、登録者で未実施者への周知や不安を取り除くための方策があげられる。また、登録者の暦年的な意思確認など登録者管理の運用も課題とされる。

現在、課題への対応として、事業周知のためのボランティア通信「よかボラ通信」の年4回の発行、ボランティア募集パンフの作成、ポイント対象活動の拡大に取り組む。

他自治体の取り組みも参考に、実現したい施策

会派として、健康マイレージ制度や介護ボランティアポイント制度の導入を提案してきている。市当局では介護ボランティアポイント制度の導入を検討している段階にある。超高齢化・人口減少社会にあって、高齢者が高齢者を支える仕組みづくりは現実的な課題となっている。

長野市の「75歳以上を高齢者と呼ぼう」との共同提言を基礎に、人生100年時代をいかに健康を維持し心豊かに過ごすことができるか、具体的な政策・施策提言につなげていきたいと考える。

愛知県日進市 面積35㎢、人口90,000人

➡日進市=名古屋市と豊田市の間に位置し、北に隣接する長久手市と「住みよさ」を競う名古屋市のベッドタウン。

視察テーマと概要

H6年市制執行時は5万人の人口が現在は91,000人弱、毎年約1,000人規模で人口増となっている市である。今後、10年から20年のスパンでも人口増に期待がかかる。とりわけ戸建て住宅志向の若い世代の移住・定住が人口増を支えている格好だ。子育て世代の増加に伴う、子育て支援策の拡充が問われる自治体といえよう。そうした状況下にある放課後子ど総合プランの事業展開をテーマとした。

若い共働き世帯が多いことから、保育需要が高く、小学校では児童クラブの需要が急速に高まるなかで、H29年度から一体型の放課後子ども総合プランを導入。

民間児童クラブ18施設では、600名が利用可能で、市の放課後子ども総合プランでは児童クラブ9施設で定員200名、子ども教室は定員がなく、現状9施設・1,759名で運営する。

有料化の上で、利用者のニーズに応える利用体系を工夫

行政改革大綱に定められた「利用者負担の原則」に基づき算定しているが、公設児童クラブから放課後子ども教室に移行する過程で、事業経費を縮減し、利用料金を廃止(保険料等実費負担分を除く)した経過がある。月4150円から年2000円に改定。

しかし、児童クラブニーズが高まり、放課後子ども教室の児童クラブ化を求める声が大きくなり、利用時間の延長など事業拡大を進める中でH26年度から利用料金を再び設定することとなった。
18時までの預かり延長を含め、年2000円(保険料)+月3500円である。

日進市の子どもの放課後の居場所は、まずは民間の児童クラブが受け皿となり、市のプランの児童クラブ、そして子ども教室の三層で構成される。民間に入れない場合は市の児童クラブ、それも困難な場合は子ども教室といった具合だ。

親がフルタイムの場合は児童クラブ、パートの場合は子ども教室へと誘導しているそうだ。

十分な場所の確保、コース変更が課題

余裕教室がなく、十分な面積のある場所の確保が難しいことや授業の妨げになってしまうことがあること、利用料金の体系の細分化により徴収事務の負担が増加したことからコース変更を3カ月毎にしたことで利用しづらいとの意見が多いこと、などがあげられる。

西小学校の敷地内専用施設で。児童クラブのスペース

反対側が放課後子ども教室のスペース

課題解消に向けては、児童クラブと子ども教室を学校内の別々の余裕教室で実施できるようすること、コース変更を3カ月毎から毎月可能とし、利用者の利便性を向上させるととともに口座振替を導入、などとされる。

考察

日進市では、人口増とりわけ子育て世代の増加という状況を背景として、放課後子ども総合プラン事業が一体的に実施されている。また、学習塾により運営される民間の児童クラブが存在することも長野市の状況とは異なる。
既に有料化がされているが、放課後子ども教室では、利用者の利便性を高めるために利用時間に応じ三つのコースを設定している。さらに保護者の就労状況に応じ、利用日数を一時延長パックという形で5日以内、10日以内、11日以上のランクでプラスの利用料金設定がされている。

また、児童クラブでは夏休み中(午前8時半~午後6時)は夏季料金として7200円が設定されているが、一方で午前7時半から午前8時半までの1時間を「自動見守り事業」として年額1000円で利用できる仕組みも作っている。

有料化の是非はともかく、利用日数に応じた利用料金設定という仕組みは、検討に値しよう。

さらに、長野市の場合、有料化に伴い、放課後子ども総合プランを利用しない家庭が増えているが、一体型の放課後子ども総合プラン事業のメリット・デメリットをさらに検証することが必要である。