少子化に対応した活力ある学校づくりを考える【その1】…まずはパブコメと答申

「少子人口減少社会が進展する中で、少子化に対応した子どもにとって望ましい教育環境の在り方」について諮問を受けていた「活力ある学校づくり検討委員会」は6月20日、審議のまとめ案に対するパブリックコメントで寄せられた意見等を踏まえ、最終答申案を確認しました。

検討委員会を傍聴しました。

2年間にわたる審議をまとめたもので、「少子化に対応した子どもにとって望ましい教育環境の在り方について~笑顔あふれる豊かな学びの場であり続けるために~」と題する答申が27日に市教育長に提出されます。

少子化に対応した子どもにとって望ましい教育環境の在り方について「審議のまとめ(案)」概要版

パブコメに67人、114件の意見

4月から5月にかけて実施されたパブリックコメントでは、67人の市民から114件の意見が寄せられました。市民の関心の高さが伺えます。

意見を内容別に分けると、多い順から「学校や学級の規模に関する意見」34件、「予算や経費に関する意見」18件、「小学校高学年期の集団での学びに関する意見」16件、「地域に関する意見」8件などと続き、「教員数や配置」「通学区域の弾力化」「教員の働き方」「学校の統廃合」などについても意見が寄せられています。

詳細は市ホームページでの公開に委ねます。

審議のまとめ案の修正は1件のみ

寄せられたパブコメの意見への対応・考え方も提示されました。

原案を修正するものは1件で、「幼保園」という簡略表記を「幼稚園・保育所・認定こども園」に改め、図表等を含め修正するというものです。

また、114件のうち、「審議のまとめ案に盛りこまれており修正しない」とされたものが29件、「審議のまとめ案は修正しないが、今後の取り組みにおいて検討または参考とする」意見が62件、「その他(質問への回答や状況説明)」が19件などとなっています。

小規模校の利点訴え存続求める意見が多数、大規模校の課題も指摘

寄せられた意見では、「少人数学校に少人数の良さがある。小規模校を無くさないでほしい」といった意見が多い一方で、「ある程度の人数(1クラス15人以上)は必要」「余りにも少人数すぎると人間関係に不安・不満足感がある」との意見も示されています。

また、「30人学級の実現」「WHOが提唱する100人以下の学校が最も適切」という意見も多数あります。

これらの意見に対する考え方として、「子どもの育ちの連続性を大事にした『多様性ある集団の中での学びが必要である』という意見と『できる限り地域に学校を残したい』という意見を同時に共有し検討してきている」と理解を求める姿勢を打ち出しています。

中山間地域の小規模校の課題、市街地の大規模校における課題がそれぞれの地域性に根差して示されたものといえます。

「小学校高学年の合同授業方式」めぐる報道に関する意見も多数

「小学校高学年期の集団での学び」に関しては、「学校区の変更や高学年同士の編成による学校設立が必要」という意見と、「小規模の学校は1~4年生だけとなり、最上級生としての6年生の育ちがなくなってしまう」との不安を表明する意見が両論示されました。

信濃毎日新聞の「高学年での合同授業方式」という報道を踏まえた意見です。
➡2月22日付の信濃毎日新聞報道より(下図)

実は、この報道は信毎へのリークによるものと推察されますが、検討委員会の中では議論された形跡は皆無で、議会側にも提示されていない考え方です。

この日の検討委員会の審議では、「信毎報道に引っ張られた意見が多い。市内の学校状況は多様であり縮図となっている。一律に学校像を描くことはできないこと、地域ぐるみで検討することが重要であるとの視点をより明確にすべきではないか」といった意見がだされ、『終わりに』の部分に加筆修正することが確認されました。

市議会で催した「市民との意見交換会」でも、「高学年の合同授業方式には違和感がある」との意見が出されています。

➡【参考】180514「2018市民と議会の意見交換会【第一報】」

最終答申にどのように盛り込まれるのか、注視したいと思います。

最終答申のポイント

活力ある学校づくり検討委員会の最終答申は、『はじめに』の部分で、『今の子どもたちが20年、30年後の社会で活躍できる力を育むことができる、子どもにとって望ましい豊かな教育環境とはどのようなものか』を考え、『審議の集大成として「みんなが集まって笑顔があふれる学校」であり続けるために、大切にしたい視点、考え方をまとめたもので、いわゆる「学校の統廃合や規模適正化等の配置計画」の類ではない』ことを強調しています。

ポイントは、小学校低・中学年期における「個の育ち」、小学校高学年期における「集団の中での育ち」、中学生期の「自立への育ち」といった「発達段階に応じた新たな学びの場」が必要であること、そして「新たな学びの場」を「できる限り地域に学校を残したい」との観点と「多様性ある集団の中での学びを創る」観点双方から創造していきたいといった考え方、問題意識を打ち出していることです。

一方で、「小学校は一つの学年に複数の学級が望ましい」「中学校は小学校より大きな集団が望ましい」との考え方も基調的に示されています。

全体的に、「…が望ましい」、「…といった視点が大切ではないか」という表現で、断定的ではなく、「視点」「考え方」として提示されている点が大きな特徴ともいえます。

そうした視点・考え方に基づき、「どのように発達段階に応じた新たな学びの場を作り出していくのか」具体的な方向性を提示するものとはなっていません

子どもにとって望ましい教育環境の具体的な整備方針は、教育長によれば「市議会特別委員会における審議に委ねたい」と市議会に下駄を預ける格好になっています。

議会の責任を放棄するつもりは全くありませんし、市教委と市議会の両輪で具体策を検討していくというスタンスもわからないわけではありませんが、地域性を踏まえた問題であり、すべての子ども達の学びと育ちを考えなければならないだけに「下駄を預けられても…荷が重い」と正直、思ってしまいます。まぁ、そうは言ってられないのですが…。

例えば、信毎がリークした「小学校高学年の合同授業方式」は市議会で議論・検討してもらいたいということになるのでしょうか。

さらに、学校の統廃合、適正規模化は、議会マターとするのでしょうか。あるいは、「学校の統廃合はしない」ことを前提に教育環境の在り方を検討してよいのでしょうか。

検討委員会の皆さんの真摯で真剣な審議は評価したいと思いますし、問題意識としては共有したいと考えます。

しかしながら、「少子化に対応した子どもにとって望ましい教育環境の在り方」の諮問に対する答申としては、中途半端さが否めないというのが率直な感想です。

少なくとも、第2期活力ある学校づくり検討委員会として、検討を継続する方法もありだと考えます。

市議会・小中学校の在り方調査研究特別委員会で検証・検討を模索

市教委の「活力ある学校づくり検討委員会」の審査に対応する形で市議会に設置されたのが「小中学校の在り方調査研究特別委員会」で、私自身が所属する委員会です。

パブコメ・最終答申を踏まえ、特別委員会としての考え方をまとめ提示・提案していくことが求められているところです。

「市民と議会の意見交換会」で寄せられた意見もしっかり受け止めながら調査研究を進める必要もあります。

特別委員会の任期は今年の9月までです。来期以降も特別委員会として存続する必要があると考えてはいますが、区切りとして何らかの具体的な提案につなげていくことが必要でしょう。

私なりの答申の評価はこれからです

この記事では、答申内容についての各論的な評価までには至っていません。

あくまでも、パブコメの結果と最終答申とりまとめに対する論評です。

7月10日に特別委員会が予定されていることから、順次、意見をまとめ反映に努めたいと考えます。

少なくとも、私は、少子化に対応した教育環境の在り方は、市の教育振興基本計画や「第2期しなのきプラン」で示された教育内容と一体で検討されるべきものと考えています。

検討委員会の審議は、当初は小中連携ディレクターの取り組みなども報告・共有されていましたが、最終答申に至る審議経過では、これらが切り離されて検討されてきたように伺えるからです。

少子化に対応した小中連携教育、小中一貫教育の観点から、義務教育9年間の連続性ある一貫した教育課程、教育内容の在り方、或いは新しい学校指導要領の課題と併せて検討したいものです。

学校、地域、保護者、そして議会が一体となって真剣に考えなければなりません。すべての子ども達にとっての最善の利益を考え、地域の皆さんの生の声をしっかり受け止めて検討する所存です。

長くなってしまいました。ご意見をいただければ幸いです。