12月議会の代表質問(12/7)

12月7日に改革ながの市民ネットを代表して行った質問です。まずは質問内容を掲載し、答弁を含めたやり取りのエッセンスは随時報告します。

市議会インターネット議会中継のページから「録画中継」で、代表質問の様子を視聴できます。


31番 改革ながの市民ネット 布目裕喜雄です。会派を代表して質問します。

改革ネットでは過日、新年度予算編成にあたり、496項目、重点132項目の施策実現に向け予算要望しました。市長からは問題意識はほぼ共通しているとの認識が示されたところですが、予算要望の中では、市がこれまで困難としてきた「赤ちゃんおむつ定期便事業」や「学校給食費の段階的無償化」も盛り込んでいます。是非、工夫と知恵を凝らし、前向きに予算化されることを改めて要望します。

予算要望を踏まえつつ、重点を絞って質問します。

1.荻原市政1年、施策・事業のアップデートと今後の課題について

(1)市政の継続・アップデートを掲げる荻原市長就任から1年余、市長自らが知名度を生かしフットワーク軽く地元農産物のトップセールスに動き、副市長2名体制、子ども総合支援センター「あのえっと」の開設をはじめ、子どもの医療費助成の高校生までの拡大の検討、「新産業創造推進局」の設置、同性パートナーシップ宣誓制度のスタートなどに取り組み、公約の8割を予算に反映してきたとします。

これらの実績は率直に評価する一方、予算化した事業、施策のアップデートの具体が真に市民益にかない、市民が幸せを実感できる効果を生み出すことができるのかは、市長自身のこれからの手腕にかかっていると同時に、二元代表制のもと、我々議会・議員の監視・検証・提案が求められるところでもあると認識するところです。

(2)こうした認識のもと、3点質問します。

まず第一に、まちづくりアンケート等の結果を重要視する姿勢と実現に関してです。

令和3年度まちづくりアンケートでは、市民が求める施策の優先度において、「防災・減災対策の推進」、「介護などの高齢者福祉サービスの充実」、「バス・鉄道など利用しやすい公共交通の構築」が上位を占めています。年代別20代・30代では「結婚、妊娠、出産、育児への継続的支援」が最も高く、また「市民ニーズを踏まえた行政サービスの提供」が8.8ポイント増加し10位から5位に上がったことに特段の留意と対策が必要です。

SDGsの推進、2050年ゼロカーボン社会の実現というグローバルな視点を堅持しつつ、市民が求める施策優先度に的確に応えうる政策・施策の展開こそが市政への信頼度を高め、幸せを実感できるまちづくりの支えになると確信します。1年を振り返りつつ、市長の課題認識、問題意識を伺います。

第二に、公約実現の一環である新産業創造に関してです。産業振興や雇用創出を図るため創設された新産業創造推進局のもとで、スマートシティNAGANO基本計画に基づきながらNAGANOスマートシティコミッション(NASC)、スタートアップ成長支援など、模索が始まっているところですが、その全容と事業化の見通しが見えてきません。時間のかかる試みであるとしても、目的、経過や成果が「見える化」によって市民と共有されることが重要です。見解を伺う。

 併せて、地域未来投資促進法を活用したMウェーブ南区域における新産業用地開発の進捗状況と課題、さらに市外への施設整備の展開が続く市内既存事業者の地元での事業展開に応える方策を講じることが重要でしょう。固定資産税をはじめ自主財源を確保し拡大する直近の手立てあると考えます。所見は。

第三に、公共施設等の有料化について。市長は市民新聞のインタービューで「無料で使えた施設について、市民負担のバランスを考慮したうえで有料化を考える時期かもしれない」と述べました。市ではこれまでに「市民サービスの利用者負担に関する基準」を定め、放課後子ども総合プランの有料化をはじめ、市民に負担を求めてきた一方、有料化に伴うサービスの質の向上は十分に達成できていないのではないですか。市政は健康で暮らし続けられる市民生活の砦としての役割をしっかり担うことが必要です。極めて慎重な対応が求められます。社会体育館の有料化を念頭に置いた発言なのでしょうか。真意と有料化の対象拡大に関する考え方を質問します。

2.コロナ禍において長期化する原油価格・物価高騰高に対する事業者支援、生活者支援の拡充について

(1)物価上昇率は、第二次石油ショック以来の大幅上昇で、2人以上世帯の家計の負担は、前年度から12万円超増えるとの民間試算もあります。家計への負担、生業への負担が急増し、地域経済全体の不安定さに拍車がかかる状況です。暮らしを底支えすることが喫緊の課題です。原油価格・物価高騰に対し、11月専決補正予算や12月補正予算において、国・県と連携した支援策が講じられているところですが、物価高騰等の長期化を見据え、支援策の継続と拡充が必要です。質問します。

一つに、「まいさぽ」における生活福祉資金の特例貸し付けについて、R5年1月からの貸付金の返済開始にあたり、生活再建を最優先とし、償還免除要件の拡大見直し、償還猶予期間の延長拡大を図ること。

二つに、市民税非課税対象とならない年金生活者世帯等、支援の隙間にある市民への支援を検討・実現すること。

三つに、学校給食費の食材費高騰に対する負担を保護者に求めることなく、高騰分の補填を継続するとともに、児童生徒の健康維持に特段の配慮を講じること。

四つに、指定管理者施設におけるサービスの維持・向上を図る観点から、原油価格・物価高騰にかかる諸経費の増大分を補填すること。また新年度における指定管理料の増額を適正に図ること。

五つに、建設工事や清掃等の委託業務に関し、資材等の高騰による契約価格の適正な見直しを図り、工期を守りながら質の高い工事等保障する対策を講じること。

3.新型コロナウィルス感染症対策について

コロナ感染は第8波にはいり、冬季を迎え季節性インフルエンザとの同時流行への十分な備えが求められるところです。5点質問します。

一つに、同時流行に備え、医療機関と連携し、万全の体制作りが進められていますが、県算定による2162人の受診者数に対し、対応可能医療機関の不足状況をどのように整備するのか、特に土・日の診療体制の如何についての対応を伺います。

二つに、感染者の全数把握の見直しに伴い、重症化リスクが低いとはいえ、自宅療養の無症状・軽症者の容態急変に即応できる態勢は、どのように整備されているのか。健康フォロアップセンターは24時間体制で外部委託に移行するが、即応性を含め、どんな体制なのか、伺います。

三つに、高齢者施設、保育園に限定することなく、エッセンシャルワーカーに対し、抗原検査キットを無償提供し予防的措置を講じること。また、家庭における検査キットや解熱鎮痛薬等の準備、換気の徹底を推奨するチラシの全戸配布や市民を対象に市独自に抗原検査キットの申込等による斡旋制度をつくることを提案すしますが、見解を伺います。

四つに、ワクチン接種を推進するとともに、公費負担の継続を国に働きかけることを強く求めます。見解を伺います。

五つに、アナフィラキシーショックへの万全な緊急対応策がワクチン接種現場で的確に講じられること、また、副反応に対する十分な医療的ケアも求められます。集団接種会場における緊急対応、医療機関における万全な緊急対応について、改めて周知し、市民の命と健康を守ることが重要です。対応を伺います。

4.行政DX推進の課題について

(1)行政DXの取り組みは、デジタル手続法をはじめとする国の法制度により避けて通れない課題であり、行政事務の効率的運用、意思決定の迅速化、市民サービスの向上に資するものであることが大きな目的であると認識します。一方で、デジタルデバイド(情報格差)への対応が大きな課題です。そこで質問します。

一つに、マイナンバーカードの取得促進について。マイナンバーカードの取得は本来、法的にも任意です。しかし、国では健康保険証や運転免許証など、事実上の義務化の動きを強めています。普及率が伸びない大きな理由は、メリットが感じられない、個人情報が国の一元的・強制的な管理につながるのではないか、情報漏洩するのではないかという不安が根強く残るからです。国の制度への信頼が希薄であることが背景にあります。

マイナンバーカードの取得促進にあたり、任意性を尊重することを強く求めたい。見解を伺います。併せて、長野市の「行政DX推進計画」では、交付率についてR8年度で63%を目標としています。見直しを考えているのか、伺います。

 二つに、行政手続きのオンライン化、市民と行政の双方向性を意識した情報発信の仕組みの構築等にあたり、デジタルデバイド(情報格差)の解消に向けた取り組みの現状と課題について。

「誰一人残さない、誰もがデジタル化社会の恩恵を享受できる社会の実現」は、インターネットの利用状況など現実を踏まえると、今日的にデジタルデバイドへの対応は必要不可欠。情報リテラシーの向上に向けた取り組みも必要ですが、デジタルデバイドに配慮し、非ICTの行政手続き、コミュニケーションを併用することを基本にすべきではないか。具体策を質問します。

三つに、行政DXの推進が職員の減員につながることはないのか。デジタル化、DXにおいても、最後の砦はヒューマンパワーにあると考える。所見を伺う。

5.若者、学生のまちづくりについて

(1)会派で愛知県新城市の「若者議会」の取り組みを視察しました。若者議会はいわゆる「子ども議会」などとは異なり、「若者条例」「若者議会条例」に基づき、市の諮問機関(審議会)として設置され、若者が活躍できる街にするため、予算提案権を持ち、予算の使い道を若者自らが考え政策立案し、議会の承認を得て市の事業として実施されるものです。これまでに利用率の低かった図書館のリノベーションを実現し、市民にも喜ばれているとことです。開設から8年で300人の委員が参画し、卒業生を中心に若者議会連盟が組織され、市の活性化に向けた取り組みが進められています。1期生からは議員第1号も誕生しているそうです。

(2)若者の市政参画をすすめること、政策形成過程において、イベント的に意見や要望を聞くだけでなく、若者、学生が主体的、継続的に参画できる仕組みが必要と考えます。若者を対象とした(仮称)SDGs未来会議の設置の検討が進んでいるものと推察しますが、若者議会のような制度設計を参考にした取り組みを提案するものです。見解を伺います。

(3)若者・学生のまちづくり、またDXの推進という観点から、信州大学情報系学部の新設誘致は大きな弾みとなるものです。進捗状況と、財政支援を考えていくうえで、枯渇している大学整備基金への積立等の考えを伺います。

6.公共施設マネジメント、社会体育館等の在り方について

(1)一律廃止・民間譲渡とされた公民館・交流センターの分館について、一律廃止方針を撤回し、築年数や利用状況に応じて個別に将来の在り方を判断していくこととなりました。方針転換を評価するものです。「公共施設20%削減に固執せず、築年数の新しい施設や利用の高い施設は維持管理経費を抑えつつ、できる限り長く使う」との姿勢を、改めて全施設の見直しにあたり一貫していくことが重要であると考えます。

(2)中部勤労青少年ホームの体育館も同様です。先に市民から体育館の存続と「健幸増進都市」に向けた体育館の活用について要望されています。築年数の比較的浅い中部勤青ホーム体育館の社会体育館化を含めた存続、社会体育館・学校体育館を含めた管理体制や予約システムの一元化も要望されたところです。多くは申し上げませんが、基本的に賛同し、廃止方針の見直しをはじめ市の対応を求めるものです。見解を伺います。

(3)日常生活におけるスポーツを通した健康維持は「健幸増進都市」の大きな支えとなるもので、お金で換算できない大きな効果があります。社会体育館の有料化は、少なくとも、利用者ニーズに応え体育施設等の整備、利用しやすい環境づくりを最優先し、その後に慎重に検討されるべきです。見解を伺います。

7.不登校児童生徒に対する居場所の確保、学びの保障について

(1)不登校児童生徒の増大は、いじめ認知件数の増大と合わせ、学校現場の大きな課題となっています。私は、学校、保護者、そして何より子どもに、「不登校は問題行動ではないよ」「学校は休んでいいんだよ」「学校への復帰がすべてではなく、多様な学びの場で成長していいんだよ」というメッセージが共有され、多様な居場所、学びの場を支援していくことが大切であると考えます。教育機会確保法を踏まえつつ、2点質問します。

一つは、働き方改革が喫緊の学校現場で、子どもに十分に向き合い、子どものSOSを受け止められる環境をつくること。そのためには、教員の意識改革と合わせ、スクールカウンセラーやソーシャルワーカー等の十分な配置が必要でしょう。現状と考えを伺います。

二つは、学校以外の居場所、学びの場の確保と拡充が必要です。個々の状況に応じた支援体制が必要です。中間教室の増設と運営人材の拡充とともに、民間フリースクールへの支援、例えば、フリースクールに通う保護者への経済的支援、フリースクール開設・運営への助成の創設など検討できないでしょうか。

市長も不登校対策への意欲を示し、中間教室の現状に触れ改善が必要との考えを示しました。前向きな答弁を期待しつつ質問します。

8.放課後子ども総合プラン事業の「ながのこども財団」への移行について

(1)現在、財団への移行準備が着々と進められています。私はこの間、子どもファーストで子どもの利益につながる事業展開を大前提に、移行期に鑑み、現在の支援員の皆さんの安定的な雇用移行・継続を最重点とし、現行の賃金・労働条件を上回る処遇改善を提唱してきました。当初のたたき台に比べ、基本勤務時間については各施設の実態に応じ4時間から5時間に拡大することをはじめ、時給を支援員990円から、子育て支援員の時給1034円に合わせ引き上げ、社会保険の選択的適用拡大による雇用の安定など現場の意見・要望に沿った改善策に修正・補強されてきたことを評価します。そのうえで、質問します。

(2)1点目は処遇改善について。

①現状値で固定的に考えるのではなく、最低賃金の引き上げ、ベースとされる市会計年度任用職員の時給単価の引き上げ等に応じ、的確・適正に改善を図ること。

②資格の有無による手当等の措置による賃金の格差はやむを得ないとしても、資格のない支援員と補助員との間に差異を設けず、また、毎日シフトに入る常勤的職員とスポット勤務の非常勤的職員との差異を設けないこと。併せて、職員のスキルアップをサポートする支援体制を構築すること。

③現在の社会福祉協議会と同様に労働契約法が適用される職場であることから無期雇用転換ルールなど法順守を徹底すること。

2点目は施設の運営について。

子ども40人に対し2人の支援員の配置基準とされますが、施設ごとの実態に合わせ、柔軟な職員配置をめざし、チルドレンファーストで子ども達に向き合える環境整備を図ること。特別な支援や医療的ケアの必要な子どもに応じ十分な専門的職員の配置に留意すること。「おやつの提供」について統一ルールをつくること。また、面積基準を満たさず、プラザへの負担が増大している施設について、十分なスペースが確保できるよう、法人移行前に施設整備など抜本的に改善策を完了させること。

3点目は、児童館・児童センターにおける午前中の時間活用について。

未就園児が保護者と集い遊べる場とすることが検討されています。趣旨に賛同しますが、既存の保育園で行われている地域子育て支援センター(18カ所)、子ども広場とのすみ分けをどのように考えるのか。保護者にとって選択肢が増えることは望ましい処ですが、乳幼児に対する専門的スタッフの有無など環境に大きな違いがあり、保護者にとって、そして何よりも乳幼児にとって最善の利益につながるのか、懸念します。あぶはち取らずにならないか。既存施策とすみ分け、スタッフを十分に整えるということであればよいのですが、十分なニーズ把握の状況と態勢づくりの如何について質問します。

4点目。十分な処遇改善策を講じ、子ども達にとって最善・最適な放課後の居場所を維持していくためには財政的な裏付けが必要です。午前中の開放・運用となればなおさらです。法人の自主財源としてクラウドファンディングも提起されていますが、たやすいこととは思えません。「それでは利用料金の引き上げを」と安易に考えているとは思いませんが、利用料金の引き上げによらない施設運営を求めます。「すべての子どもの健やかな成長を支援する」ことを新法人の目的とすることからも、利用料金の設定・引き上げがすべての子どもの成長支援に阻害要因とならないことが大切なのではないでしょうか。見解を伺います。

5点目。新たな法人のもとで運営される放課後子ども総合プラン事業について、市のマネジメントを強めることになりますが、予算措置や施設の運営に関し、議会のチェックがしっかり及ぶことが必要です。議会の関与・チェックがどのように行き渡るのか、見解を伺います。

9.バリアフリーマスタープランと観光バリアフリーの取り組みについて

(1)先月、観光バリアフリーをテーマに伊勢神宮を擁する観光都市・伊勢市を視察しました。伊勢市では、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進委関する法律」(バリアフリー法)に規定される「移動等円滑化促進指針」(バリアフリーマスタープラン)を策定し、「先導的共生社会ホストタウン」に認定され、ユニバーサルデザインのまちづくり、心のバリアフリー、「行けるところから行きたいところへ」を掲げた観光バリアフリーの取り組みが進められています。NPO法人「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」の「伊勢おもてなしヘルパー」の皆さんとのヘルパー体験・意見交換も行ってきたところです。

伊勢市の取り組みを参考に、長野市の取り組みを俯瞰しながら、質問します。

(2)バリアフリーマスタープランについてです。バリアフリー法及び「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」(ユニバーサル社会実現推進法)などに基づく長野市のバリアフリーの推進、ユニバーサル社会の実現に関する計画は、長野市障害者基本計画に課題が包括的にまとめられているものの、移動環境や住環境の整備を始めとするハード面、「心のバリアフリー」のソフト面でのバリアフリー促進などの具体的な施策展開は部局ごとの計画による構図となっています。ユニバーサル社会実現推進法で努力義務とされる計画策定については、「既存の諸計画に反映させ整備」していく方針とされ、バリアフリー法に基づく「移動等円滑化促進方針・基本構想」もその趣旨に踏まえ、それぞれの計画に反映させるとします。率直に言ってバラバラ感が否めず、それぞれの個別計画策定にあたり法の趣旨・目的を踏まえサポーとしあう相互連携が希薄で、筋が一本通っていない印象です。部局連携が必要な政策だけに横櫛がしっかり通ることが重要です。以下、提案を含め質問します。

(3)一つに、個々別々な施策展開から、より一体的な施策展開に図るため、バリアフリー法、ユニバーサル社会実現法、さらに障害者差別解消促進法をも踏まえ「ユニバーサル・マスタープラン」を策定し、総合的・一体提な施策展開を提案します。国に倣い「ユニバーサル社会推進会議」的なテーブルをつくり、部局横断を図る第一歩とすることも検討されてはいかがか。

併せて、「移動円滑化促進方針・基本構想」を作成し、移動円滑化促進地区整備計画につなげていくことを提案します。

二つに、「障害者基本計画」に盛り込まれた、「住民、生活関連施設を利用する高齢者、障害者等、その他関係者の意見聴取を一元化し、アンケート調査や評価・見直しも一体的に進めること」「心のバリアフリーの推進に関する計画に必要な施策を反映させること」について、進捗状況と今日的課題を質問します。

三つに、「行けるところから行きたいところへ」、観光都市としてバリアフリー観光を広げる問題意識、観光庁の「心のバリアフリー認定制度」の活用状況と今後の課題について、見解を伺います。

10.災害時における災害廃棄物処理とアスベスト対策について

(1)アスベスト(石綿)は粉塵を吸い込むと30年から40年後に肺がんや中皮腫などを引き起こすことから「静かな時限爆弾」といわれ、健康被害を防ぐことが大きな課題となっています。アスベストによる健康被害に対する補償を国や建材メーカーに求める建材アスベスト訴訟が全国各地で争われ、社会問題ともなっています。

去る9月、R元年台風19号災害で、被災家屋のアスベスト対策に取り組んできた県アスベスト対策センターとNPO法人東京労働安全衛生センターの共催で「台風19号災害におけるアスベスト対策に学ぶ」報告・シンポジウムが市営長沼体育館で催されました。長野市の後援もいただき、環境部からはパネラー派遣を含め全面的に協力いただきました。ありがとうございました。

今回のシンポジウムは、災害時のアスベスト対策について、長野市行政や被災住民の取り組みを振り返り、教訓や課題を出し合い、対策の必要性を再確認するとともに、全国に広げていくことを狙いとしたものです。

今日、大雨による甚大な災害が相次ぎ、被災からの復旧復興過程におけるアスベスト対策が十分に講じられること、また、老朽化した建築物の解体・更新がピークを迎える中、吹付や建材に含有するアスベストの飛散・ばく露による健康被害の発生が危惧され、的確な対策の早期具体化が問われています。

(2)このシンポジウムでは専門家をはじめ長野市からも被災住民からも、大規模災害の経験を踏まえた課題として「平常時における準備が大切」が強調されました。シンポで出された意見等を踏まえ、3点質問します。

1点目。長野市からは、災害時のアスベスト飛散防止の手順書の作成や飛散調査に関する業界団体との協定締結、専門技術職員の派遣制度の重要性が指摘されました。いずれも必要不可欠な課題であると認識します。環境省の「災害時における石綿飛散防止に係る取扱マニュアル」の改定を踏まえた対応、専門的な職員の育成を含めて、改めて前述した課題の認識と取り組みの進展状況を質問します。

2点目。吹付など危険性が最も高いレベル1アスベスト使用に関しては、台帳が作成されているところですが、アスベスト含有建材等のレベル2、レベル3についても、固定資産台帳や建築確認申請等を利用した建物データベース化を図れないか、見解を伺う。

3点目。災害廃棄物処理計画は地域防災計画の改定を踏まえ、見直しを図るとされています。地域防災計画において、アスベストリスクの課題を対応の基本を明記するともに、災害廃棄物処理計画において、アスベスト対策を明確に位置づけることを提案します。また、災害時における廃棄物の分別について、国が9分別を指導する中、混乱する現場では6分別で合意してきた経過があります。災害実態に即した分別基準、水害や地震など災害態様に応じた災害廃棄物の仮置場の指定の拡大(現在、37カ所)を図ること、地域における「勝手置場」の在り方の整理等が必要であると認識します。市の認識と対応について伺う。

11.市営住宅の入居要件から連帯保証人を不要とすることについて

(1)県は県営住宅の入居要件としている連帯保証人について不要とする方針を示し、県議会11月定例会に条例改正案を提出しています。私はこれまでに、保証人に関する規定を削除する国土交通省の「公営住宅標準管理条例」の見直しに伴い、保証人の確保を市営住宅の入居に際しての前提とすることから転換させ、条例を改定することを提案してきましたが、市は「連帯保証人は必要」との姿勢を変えず、今日に至っています。2019年4月からは、県社会福祉協議会の「あんしん創造ネット」を活用して、連帯保証人を必要とせずに市営住宅への入居が可能となったものの、保証料1万2,000円が必要で、依然としてハードルは高いものとなっています。

(2)家族との死別や身寄りがいない高齢者や生活困窮者の市営住宅への速やかな入居を可能とするため、県条例の改正を受け、長野市も市営住宅の入居要件から連帯保証人を不要とする条例改正を改めて求めます。

また、県では自立支援を受ける人が入居する場合に、一括で支払う家賃3か月分の敷金を「まいさぽ」と連携して分割納入できるようにするともされます。市の認識と対応方を伺います。

12.水道事業の広域化について

(1)上田長野地域の水道事業広域化について、このほど市内4カ所で市民説明会が開かれました。私もトイーゴ会場に参加しましたが、参加状況は寂しいものでした。一概に関心が低いと断じることはできませんが、市民生活に直結する問題だけに市民の関心喚起が問われています。今年度中には方向性を取りまとめるとされていますからなお更です。市民の意見等も含めて市の受け止めと評価、市民の関心喚起の手立てについて伺います。

(2)説明会では、広域化により、水道料金値上げの抑制効果、緊急時の対応強化、専門人材の確保・育成などの効果、メリットが強調される一方、窓口の集約化によるサービスの低下や、分離される下水道事業の効率低下など課題、デメリットは指摘にとどまり、サービス水準の維持をはじめ、課題解決の方向性の説明が希薄です。課題解決の方向性について、市水道局としての考えを伺います。

(3)水道料金の値上げ抑制は広域での料金統一が前提となっていますが、先行自治体では料金の統一が大きなハードルになっています。市としての見通しについて伺います。

(4)また、専門人材の確保の効果について、企業団方式となる場合に市水道局職員の安定的な身分保障、技術スキルの継承はどうなるのか、伺います。

13.市職員の定年延長と会計年度任用職員の処遇改善について

(1)来年度から市職員の定年延長が段階的にスタートします。定年延長制度にかかる骨格部分は職員労働組合との協議に合意し、今議会に条例改正案が提出されています。基本的な事項について質問します。

(2)定年延長の段階的な引き上げに伴い、

①管理職の役職定年をはじめ、暫定再任用職員、定年前再任用短時間勤務制などが導入されることから、該当職員の意向調査を徹底し、専門性も活かし適材適所を図ること。

②オリンピック時の大量採用職員の退職時期と重なることから、年齢構成を是正し、活力ある持続的な職員構造とするため、現在の約80人規模の新規採用枠を堅持し必要定員を維持すること。

③正規職員の定年延長に伴い会計年度任用職員がはじき出されないよう雇用継続に最大限配慮すること。

④定年延長制度の具体的な運用にあたり、職員労働組合と継続協議となっている事項等について真摯に協議を重ね合意すること。

以上、見解を伺います。

(3)長野市の正規職員は2800人、会計年度任用職員は1400人です。3分の1が非正規職員、市役所の仕事は会計年度任用職員抜きには成り立たない現実にあります。故に、同一労働同一賃金の観点からも会計年度任用職員の安定的な雇用と処遇改善は不可欠です。

現在、パートタイム会計年度職員の勤務時間の設定見直しの検討が進んでいると聞き及びます。

最低賃金の引き上げ、国・県の人勧により、事務補助職員では時給944円から970円に引き上げられることに伴い、5時間45分パート勤務の場合に扶養範囲を超えることから、この勤務体系を見直し、7時間15分勤務と新設する4時間勤務にシフトさせるものです。これにより、4時間勤務となる5時間45分勤務のパート職員は10万円以上の年収減となります。多様な働き方を否定するものではありませんが、公務職場もワーキングプアからの脱却を図り、一人当たり最低200万程度の保障が求められていることに逆行する流れにつながりかねないと懸念します。ましてや、定年延長により暫定再任用職員制度が導入され、会計年度任用職員の継続的勤務はより不安定になります。

パート職員の意向を尊重し、仕事に応じたフルタイム勤務への転換をはじめ、扶養範囲にこだわらず社保適用の職員の雇用継続等に配慮を求めます。

最後に昇給制度について。本市では一般事務補助職員にとどまらず、保健師・調理師・図書館司書などの専門性の高い職務においても昇給制度が適用されていません。早急に改善、昇給制度の実現を求めます。それぞれ対応方を質問します。

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