6月議会の質問より➍子どもの権利条例制定と子どもの意見表明権の保障を質す【その1】

私はこの間、市独自の子どもの権利条例により、子ども達に「意見表明することができるよ。守られているよ」というメッセージを届け、権利の主体としての子どもの育ちを支えていくことが大きな課題であることを強調し、条例制定を求めてきた一人です。

しかしながら、加藤前市長並びに荻原市長は「県の未来を担う子どもの支援に関する条例により、子どもの人権救済のための調整機能がすでに確立されており、県全体での子ども支援を総合的に推進し、子どもの最善の利益を実現できていると捉えている。県条例を実質的に活用し、子ども達の権利を守っていく」と強調し、市独自条例は必要ないとの見解を表明し続けてきました。

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私は、これまで何度も「子どもの権利条約」に基づく「子どもの権利条例の制定」について質問し、条例制定を求めてきました。 子どもの権利条約とは...

ところが一転、本年3月定例会で市長は新友会の議員の質問に、子ども基本法の4月施行を見据え「安心して子育てができる環境の整備が急務であるとともに、誰もが暮らしやすく安心できるよう子どもたちを真ん中に据えた新たなまちづくりの方針が必要」との認識を示し「条例の制定に向け議会と相談していきたい。積極的に進める」との姿勢に転じました。条例制定に前向きな転換は評価するものですが、今日なお、どのように条例制定を進めるのか、具体が見えてきていません。

県子ども支援条例の焼き直しではなく、有意義な市条例の制定へ

私は、そもそも県条例は子どもの人権救済機関を設けているものの、子どもの権利条例であるとは評価していません。子どもにとっての最善利益の実現は謳われていますが、子どもを権利の主体と位置づけ、守られるべき子どもの権利が具体的に明記されていないからです。

市独自の条例制定が、子どもの権利条約に明記される、子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つの権利を守り保障することを明記し、子どもたちへのメッセージ性を重視するとともに子ども真ん中社会におけるまちづくりの指針となることを求め、市長の条例制定に向けた転換の真意と、「議会と相談して」とは、議会に対し具体的にどんなアクションを想定しているのか、その具体策を質しました。

市長…子どもは共に生きる市民、子どもを社会の真ん中に

市長は、市独自条例の制定の意義について「子どもを持ち育てることに不安やためらいが生じかねない社会状況の中で、子どもを持ちたいと望む人の願いがかない、安心して子育てができる環境の整備が急務であると考えている」との認識を示し、「こども家庭庁の創設やこども基本法の制定など、国がこどもまんなか社会を力強く推進している中、子どもを将来を担うという存在だけではなくて、共に今を生きる市民であるという考えの下、社会の真ん中に据えつつ、子どもの権利についてしっかりと議論をすることで、社会全体で子どもを支えていく機運の醸成を図っていく必要があると考え、議会の皆さんと力を合わせて子どもの権利について取り組むこととさせていただいた」と述べました。

➡この点については、異論はありません。「子どもを権利の主体として、社会の真ん中に据える」ための条例づくりとなるよう、議会の関わりが問われることになります。

議会に対するアクション…議会との協働作業、具体論なき答弁に終始

➡私は、子どもの権利条理制定を広く市民に門戸を広げながら、議会と行政の協働作業で進めることが肝要であると考えます。

こうした観点から、「議会と相談して」の中身を問いましたが、答弁では「行政がリードし、必要に応じて議会の意見を聴く」程度の姿勢にとどまりました。

➡市長答弁…「子どもの権利についての基本方針を条例という形でまとめる場合には、他の市町村の例を見ても、様々な手法や形式がある。検討すべき主なこととして、条例にどのような内容を盛り込むことが子どもたちにとって必要であるのか。また、子どもや若者を含めた多様な市民の参画の仕方、あるいは広く子どもの意見を聴取する方法などと認識する。条例の制定にあたっては、丁寧にしっかり議論し検討していく必要がある」としたうえで、「本市独自の子どもの権利に関する条例の制定に向けて、まずは他市町村の条例を調査し、内容などについて研究すると同時に、どのように進めていくのか、その手法、スケジュールを含めて議会の考えなども聞き、相談をさせてもらって、条例の制定に向けた取組を進めていきたい」

穿った見方をすれば、「調査研究は市行政で、条例制定の手法やスケジュールは議会と相談」とも取れます。これでは結局、市側が原案をまとめ、パブコメと同様に議会の意見を聴く従来の手法と変わらないことを懸念します。議会との協働作業にはなりません。

共同のプロジェクトチーム・研究会や市議会特別委員会の設置などを提案

私からは、「議会と相談して」の姿勢を内実のあるものにするために、例えば市行政と市議会が合意の上で共同のプロジェクトチーム、あるいは共同研究会をつくって進めることや、議会と相談して特別委員会をつくり検討することなどを提案しました。

市長は、「行政が案をつくり、“これでどうだ”という形ではなく」と述べましたが、具体的な提案には言及せず(言及できず?)、「子どもたちも含めて幅広く意見を聞きながら、みんなでつくる条例を目指していきたい」と述べるにとどまりました。

「みんなでつくる条例」が具体的に体現されるよう、引き続きチェックと提案が必要です。

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