国民健康保険料引き上げ…3案で検討

 1月10日、新年初めての市議会会派総会を開き、市側から重要案件の報告・説明を受けました。

3月市議会定例会に向け、課題山積状態

 この日の報告・説明では、
 ➀国民健康保険料の改定
 ➁都市計画マスタープラン案や公共施設等総合管理計画案、市水道事業経営戦略案などのパブコメの実施
 ➂合併地区への土木事務所・産業振興事務所の設置による組織再編
 ➃建設工事の入札における積算疑義の申し立て手続きの実施
 規則による区長の位置づけの明確化
 ➅広域連合のごみ焼却施設建設に伴い整備されるリサイクルプラザと(仮)市健康レクリエーションセンターの利用料金
 ➆市まち・ひと・しごと創生総合戦略の進捗状況
などについて、市の考え方が示されました。

 市水道事業経営戦略案には、水道料金の引き上げ(新年度実施)が含まれます。

 【追加・関連】➡170113「行政連絡区の代表者=「区長」の呼称を規則に明示」

まずは、国民健康保険料の引き上げについて報告

 長野市の国民健康保険料はH21年に改定されて以来7年間据え置かれてきましたが、国保財政のひっ迫から、大幅に保険料率を見直し、H29年度から実施する考えを示しました。

《見直し内容の柱》は、次の3点

 ➊賦課限度額を法定の限度額に引き上げる(81万円⇒89万円)

 ➋軽減判定所得の基準額を国の見直しに合わせ改定する

 ➌保険料率を引き上げる

 …➌の保険料率の引き上げでは、3つの案を作成し、1月17日から24日の間に市国民健康保険運営協議会に諮り、答申を得て、3月市議会で条例改正案を提出、新年度4月1日から施行するというものです。

破たんする国保財政

 長野市の国民健康保険事業(国民健康保険事業特別会計)は約320億円の財政です。

 被保険者数の減少と一人当たり医療費の増額により、収入不足分を基金や繰越金、市一般会計からの繰入金(基準内と基準外)で何とか凌いできましたが、H27年度決算では単年度経常収支で12.6億円の赤字となり、H28年度当初予算段階で基金が底をつき、さらにH29年度予算編成では、約19億円の収入欠損が生じるとされています。

 H29年度予算案の編成では、約406億円の保険給付費を想定し、そのために確保すべき保険料を約90億円としたうえで、収納率92.1%を勘案すると約98億円を保険料として見込まざるを得ないとします。

保険料引き上げ…3案で検討

 保険料率の見直しでは、保険料収入総額➊72億円、➋70億円、➌67億円の3つの案で検討するとしています。
SN00113
 一人あたり医療費の増大(約36万円)が背景にあるとはいえ、受益者負担である保険料の引き上げで、一時の財政の安定化を図るといった対処療法には限界があると思えてなりません。
 

モデル世帯の負担額は…

 夫67歳・所得105万円(年金)、妻64歳・所得40万円(年金)の2人世帯(介護分1人、保険料軽減非該当)のモデルでは…
➊案で27,250円、➋案で22,240円、➌案で13,470円の引き上げとなります。

 夫45歳・所得226万円(自営業)、妻40歳・所得なし、子ども2人の4人世帯(介護分2人、保険料軽減非該当)のモデルでは…
➊案で59,710円、➋案で49,600円、➌案で29,250円の引き上げとなります。
SN00114
 運営協議会では、国保被保険者の受忍度・許容度がどの辺りにあるのかが論点となりそうです。

 しかしながら、こうした負担増の提案に、3案で検討とはいえ、「仕方ない」といえる状況にはありません。

 保険料引き上げやむなしで審議が進む慌ただしいスケジュールにも異議ありといったところです。

まずは国保会計の現状と見通しを広く周知すべき

 7年間保険料を据え置いてきたことは無論「了」とするところですが、赤字転落・収入欠損という危機的な状況について、市民の理解を得る努力をキチンとしてきたのか、いささか疑問といわなければなりません。

 一議会人として現状認識に対する危機感が希薄であったことも大いに反省しなければならないのですが…。

 市の説明に対し、保険料の見直しに合わせ、県への事業移行を見据えた財政推計(国県支出金の見通し、市一般会計からの基準内繰入金・基準外繰入金、さらに県の標準保険料率の見通し)の提示を求めるとともに、国保財政の現状について広く市民に周知することを求めました。

 また、保険給付費の増大の推計積算根拠(過大に見込んでいないか)も明らかにしていくことが問われていると考えます。

 さらに、H29年度予算案の編成にあたり、国保特別会計の収入欠損額19億円を、一般会計からの基準外繰入金(財政調整基金の活用など)で対応できないのか、財政措置の有り様についても検証したいと思います。

H30年度、国保事業の県への移行…求められる国庫負担の抜本的拡大

 市町村が事業主体であった国民健康保険制度はH30年度から県に移行することになっています。

 「都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担い、制度を安定化させる」ことが狙いとされています。

 しかしながら、都道府県単位になったとしても、現在のような国保被保険者の年齢構成や財源構成、経済状況が続けば、将来にわたって安定した国民健康保険事業の運営は必ずしも約束されていないと考えています。
 県が示すことになる標準保険料率により、長野市の保険料はさらに引きあがることが予想されます。

 国民健康保険への国庫負担率はかつての50%から25%に削減されてきています。今のままでは、国庫負担が大幅に拡充されない限り、市町村が担おうと県が担おうと国保財政の厳しさに変わりはなく、保険料に転嫁せざるを得ない状況が続きます。

 保険料が引き上げられることにより、医療機関への受診が抑制され、健康寿命の延伸に暗い影を落とすことが大変憂慮されます。

 医療費を削減するための受診抑制が国の狙いではありますが、市民の健康維持とは真逆の方向です。

 「自助」が強調・優先され、「公助」が後退・軽視される社会…間違っていませんか!!

 国保運営協議会の動向を注視しつつ、現状と課題をしっかりと吟味し、条例改定案が提案される3月市議会定例会に臨みたいと考えます。

 3月議会では、水道料金の引き上げも提案されることになります。