権堂地区の新たな再開発で意見交換会

8日、市議会まちづくり対策特別委員会で、権堂地区再生計画について、権堂まちづくり協議会や権堂駅周辺再開発推進協議会(仮称)の皆さんと意見交換会を行いました。

市では、権堂地区地元の皆さんの要望にこたえる形で、権堂地区再生計画の改定版を策定しています。

中心市街地の一つの核である権堂地区に賑わいを取り戻すため、イトーヨーカドー長野店を1万坪規模の大型商業施設・ショッピングセンターに改編する再開発事業を突破口にしてまちづくりを見直す計画です。
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権堂地元=「大型商業施設を突破口に賑わいを」と構想されるのだが…

冒頭、権堂まちづくり協議会の市村信之理事長は、「前向きな意見交換をお願いしたい」と述べ、権堂駅周辺地区再開発推進協議会(旧権堂まちづくり研究会)の渡辺和夫理事長は、「(長野電鉄)権堂駅周辺を突破口に、権堂に賑わいを取り戻したい」と話しました。

まちづくり長野の腰原照夫タウン・マネージャーから、1000㎡以上の大規模小売店の売り場面積や出店数の推移を示し、大型店が郊外に進出し、中心市街地の空洞化が進んでいる現状と、中心市街地における商業施設の老朽化の現状から、中心市街地・権堂地区への大型商業施設の新たな展開が必須であるとする報告が行われました。

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長野市商圏の縮小と再編に対する危機感は共有するが…

また、現在、641,186人と推計される長野市の商圏人口(H27年長野県商圏調査結果による)は、人口減少により2040年には506,537人までに減少(21%の減)することが予測され、須坂市や千曲市で浮上しているイオン大規模施設が進出した場合には、長野市商圏の59%、378,179人が他市に吸引され(経済産業省の修正ハフモデルによる試算)、長野市商圏の大幅な縮小と再編は必至であり崩壊の危機にあるとの認識を示しました。

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この点は共有します。

そのうえで、権堂地区再生計画の見直しによる新たな構想案に基づき、地権者の権利意向を把握し、再開発街区の再開発事業のフレームづくりを進め土地利用計画(事業計画)の素案作りに向かいたいとしました。

H29年度では、事業者において住宅・商業デベロッパーアンケート等による事業性の検証(市場評価・事業参画意向など)に取り組むとともに、権利者においは意向調査・確認を進め、まちづくり計画素案と拠点施設の素案を作成したいとの考えを示しました。

想定される「大型商業ゾーン」の約200人の権利者の意向調査では、67%の地権者から賛同の意向を得ていると強調され、空き店舗も1店のみにまで減少していることが強調されました。

しかしながら、通行量は減少しています。

”大型商業施設ありき”で権堂に賑わいを取り戻すことができるのか

意見交換会は、権堂地区の再生・まちづくりに取り組む皆さんの率直な生の意見をお聴きし、特別委員会としての調査検討の参考にするため企画されたものですが、議会側には、大型商業施設を核とする再開発事業の在り方、税金投入の在り方に対し、その将来性や実効性に疑問を抱く意見が少なくないことから(私自身もその一人ですが)、「前向きな意見交換」になったかどうかはいささか疑問との印象は残ります。

私としては現場の皆さんの切実な願望や熱意は受け止めたいと思います。

問題は、中心市街地全体を見据えて、権堂地区をどんな“まち”にしていくのか、そのためには何が必要なのか、問題意識というか課題の共有が十分にできていないことにあるのではと考えます。

再生計画改訂版に、そこが描かれているということなのでしょうが、改定案をまとめた第7回目の「評価・検討部会」では、「大型商業施設ゾーンについて住宅ゾーンとの複層化を求める意見」や「アーケード通りを将来どうするのかという検討がなく、権堂の街をどうするのかという一番元の検討がなされていないのではないか」といった意見が出されています。

意見交換の際にも、「大型商業施設ができて、権堂のまちづくりが終わってしまうのでないか」との意見も出されました。

「イトーヨーカドーありき」で進む「再開発事業」への漠とした不安があるということではないでしょうか。

意見交換会での論点の一つは、イトーヨーカドーが長電から土地を取得する考えがあるとの情報が示された点です。

フライング発言だったのでしょうか。

確認を求めたところ、最終的には「再開発事業による保留床の買取」を意味するものとの考えに修正されました。

地権者である長野電鉄側も「長電としては地権者・権利者として再開発事業に参加することが基本」との考えを強調はしましたが、釈然としません。

現在、イトーヨーカドーとテナント契約を結んでいる長野電鉄と、デベロッパーであるイトーヨーカドー側(セブン&アイ・ホールディングス)との間で、どのような交渉が水面下で行われているのかは“闇の中”です。

セブン&アイ・ホールディングスが、武蔵小杉グランツリーのように、土地を購入し、自社展開する考えがあるのであれば、大歓迎なのですが…。

中心市街地全体を俯瞰した商業施設の在り方が問われる

私は、イトーヨーカドーの土地取得の考えを確認するとともに、H24年にまとめられた「権堂地区再生計画」の評価・検証が行われ、計画の見直しが進んでいるわけですが、そもそも当初の計画がうまくいかなかった原因は何なのか、また、長野駅ビルの「ミドリ」の商業展開により駅前への一極集中が進む中、中心市街地全体、あるいは旧SBC通りのイオンなど一回り膨らませた圏域の中で、権堂地区をどう位置づけるのか、権堂に地区に必要な商業施設とは何なのか、を質問しました。

これに対しては、「権堂でなくてもよい」「イトーヨーカドーでなくてもよい」といった意見が出される一方、「大型商業施設を突破口にしたまちづくり」が強調され、いささかかみ合いませんでした。

私は、権堂地区に商業施設は不可欠であると考える一人ですが、マンションが増加し“まち中居住”が進む中、“人が住まうまち”を基本に考えてのことです。

しかし、過大な商業施設を展開し、税金を投入することには、極めて慎重な立場です。

もう少し、建設的な意見交換をしたいところです。

権堂に求められる賑わいとは何なのか?長野駅と善光寺を結ぶ圏域の中で、観光客に何が必要なのか、地域に住まう市民にとって必要なまち資源とは何なのか?中心市街地全体を俯瞰し、必要な拠点施設をどう配置するのか?できるのか? 熟考しなければなりません。

施設が老朽化するながの東急(築51年)やAGAIN(築47年)、シーワン(築37年)の今後の商業施設展開の見通しも定かではありません。築41年のもんぜんぷら座の耐震化の在り方の検討もこれからです。

中心市街地に展開する商業施設の将来的な方向性が不透明な中で、権堂地区で大型商業施設ありきで再開発が進むことには疑問を禁じえないというのが、率直な想いです。

*信濃毎日新聞の報道より(5月9日付)
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6月中には、中心市街地活性化基本計画の改定(国に報告)も行われる予定で、この中に権堂地区の新たな再生計画も盛り込まれることになります。

特別委員会の中で調査を依頼している空き店舗の解消の内実、通行量の変化、権堂周辺の人口動態の現状と見通しなどの検証をはじめ、中心市街地全体の活性化における権堂地区の特性と位置付け、中山間地域のまちづくりとのバランス、税金の使い方といった視点でしっかりチェックしたいと考えます。