自治政策講座in東京

5月11日~12日、東京・市ヶ谷の「こくほ21」で開かれた自治体議会政策学会(会長=竹下譲)主催の「第19期自治政策講座in東京」に参加し勉強してきました。

今回のテーマは「災害・貧困対策・教育・議会の改革~新しい課題と自治体の役割」です。
5つの講座を聴講しました。
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自治体議会政策学会は、自治体議員と研究者が、自治体の自立に向けて政策を深め、行政や議会の改革を進める場として1999年(H11年)から活動してきています。
自治体の企画・政策形成や条例づくりの力量を高めることを目的として、行政改革、議会改革への意欲や提言を持つ会員で構成されています。

議会における政策形成の具体的なノウハウというよりも、問題の捉え方・視点を学ぶ処にウェイトがおかれています。

久しぶりにこの学会の自治政策講座に参加することができました。有意義な研修でした。不謹慎な言い方かもしれませんが「面白かった」です。

5月11日…

第1講義 問われる教育行政―小中学校へのアクティブ・ラーニング導入

―5%の子どものアクティブラーニングと95%の子どものアクティブラーニング-
西川 純  上越教育大学教授
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新指導要領で導入が決定した課題を取り上げる。要領の論点整理において「『アクティブラーニング』と『カリキュラム・マネジメント』を連動させた学校経営の展開が、それぞれの学校や地域の実態を基に展開されることが求められる」としている。教育の何が変わるのか、自治体の係わりに何が期待されているのか。これからを生きる子どもたちへの教育の在り方について、「学び合い」を提唱する講師が解説した。

スーパーグローバル大学創設支援事業(8%の19大学を対象)を中心とする大学教育=高等教育再編を頂点に位置付けられるアクティブラーニングは5%のトップエリートの創出事業。
問題は、将来、低成長・不景気が続く中、年収170万円で生活して行かざるを得なくなる95%の子どもたちに必要な教育は、「全ての子どもに仲間を与えること」であり、「協働の学び合い」であると強調された。

国が狙う高等教育再編を念頭において、高校教育、義務教育をとらえなおす視点は必須である。
 

第2講義 自治体の危機管理と復興体制づくり

青山 やすし 明治大学大学院教授・元東京都副知事
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繰り返される地震災害や豪雨災害に対処する危機管理とは。早期避難や避難生活までどのように住民の安全を確保するか。また、災害からの復興を事前から計画し、取り組むのかなど危機管理から復興まで具体的課題を提言。

「地震学火山学は予測しない(できない)」「マニュアルは精緻につくるな」「クレーマーに誠意は通用しない」「仮設住宅はつくり過ぎるな」「安全は指定管理に出せない」「市民活動の力は行政に勝る」など、危機管理の基本は常識を破棄することと指摘。興味深い視点である。

2005年のニューオリンズでのハリケーン被害の復興で、逃げなかった市民が多かったのは識字率が低かったことにあるとされ、復興策にアフリカンの識字率の向上を位置づけた事例などをもとに、社会的排除を如何になくしていくかが危機管理のカギであると強調。ある意味、新鮮な視点である。

5月12日…

第3講義 子どもの貧困にどう向きあうか「未来へつなぐあだちプロジェクト」の実践

秋生 修一郎  足立区政策経営部子ども貧困対策担当部長
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貧困の連鎖に教育の機会や将来の可能性が閉ざされてしまう子どもたち。足立区では、「治安・学力・健康・貧困の連鎖」を4つのボトルネック的課題として取り組んでいる。特に貧困については、「貧困の連鎖」が、より根深い問題であると認識し、2015年度(平成27年度)には「未来へつなぐあだちプロジェクト」を策定した。全国の自治体に先駆けて、地域の貧困対策に取り組んでいる足立区の先進的な取り組みを伺う。

子どもの貧困対策を総合的なプロジェクトとして施策展開されていることが素晴らしい。

担当者の熱意に脱帽しながら興味深くお聴きする。改めてまとめたい。

第4講義 豪雨から社会を守る ―自治体の責務

山田 正  中央大学理工学部教授
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講師は、2015年の関東・東北豪雨災害の土木学会・地盤工学会合同調査団の団長として、つぶさに実態を調査分析し、報告書をまとめた。その巻末に、昨今の激甚化する洪水から社会を守るために必要な6つの提言をしている。住民の水災害の当事者意識の醸成をはじめ、ハード・ソフトの両面で早急になすべきことを明示し解説する。梅雨の時期を前に、現在の意豪雨の実態と対応の問題点や自治体が取り組むべき課題についても指摘。

常総市・鬼怒川の氾濫災害や北海道の大雨災害を事例に、ハザードマップの周知の重要性、気候変動を考慮した水防計画、避難計画の見直しなど示唆に富んだ指摘が展開。

第5講義 議会改革と民主主義の実現

江藤 俊昭  山梨学院大学教授
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中央集権時代には地域経営の執行を担う地方行政手法が重視され、首長の強力な権限がこれを支えた。しかし、地方分権によって、地域経営の自由度は高まり、行政を超えて様々な利害を調整し統合する地方政治の重要性が増した。その役割にふさわしい議会改革とはなにか。住民が積極的にかかわる住民自治を目指す議会のあり方とは。議員の不祥事や議員歳費・政務活動費ばかりが注目される中、本当の民主主義実現をめざす自治体議会への提言を伺う。

議会改革は議会基本条例の制定など、仕組み・形式を作る段階から、住民の福祉の向上を図る政策形成の第2ステージに入っていると指摘。「住民自治の根幹をなす議会」の役割を自覚し、二元代表制のもと、理事者と政策競争ができる議会の質の向上が問われていると強調された。

「PDCAサイクル」は重要な視点であるが、もともと民間の経営手法であり、議会の政策サイクルには、討議(deliberation、discussion)と決定・決断(decision)を重視する必要がある、すなわちPDDDCAサイクルが必要との指摘は新鮮。

「住民自治の根幹である議会」をいかにして作動させていくのか…課題は尽きない。

政務活動費を活用しての研修会参加で、レポートを提出することから、改めて「活かしたい点」などをまとめたいと思います。