社会体育館の有料化…スポーツ施設の使用料見直しを予告

 長野市では、スポーツ施設の使用料金について、H9年以降大きな改定をしていないとし、来年度からスポーツ施設の使用料金を見直す考えを示しました。
 11月17日の議会会派への説明で明らかにしたものです。

 ”そろばん勘定”だけで、「スポーツを軸としたまちづくり」が進められるのか?!と思います。

ホワイリング(真島総合スポーツアリーナ)

ホワイリング(真島総合スポーツアリーナ)

料金改定の背景と目的

 H20年に策定された「行政サービスの利用者の負担に関する基準」では、スポーツ施設は管理運営費の50%を受益者負担とするよう類型化され、市行政改革大綱実施計画ではH27年度からの実施を目標にしてきたとします。

 現状では、スポーツ施設の管理運営費が全体で約9億6千万円に対し、料金収入は約2億1千万円で、負担割合は約22%。
 「良質なサービスの継続に支障が出かねないため、適正な負担に向けた料金改定をお願いするもの」とされます。
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 増収となる料金は、施設の用具更新、老朽化の解消、トイレの洋式化など、利用者の身近な環境改善にも充てるとともに、市や指定管理者が行うスポーツ教室等のソフト充実を図るとします。

 具体的な事業事例として、長野運動公園体育館のトイレ洋式化や、社会体育館の照明交換、バレーの支柱や卓球台、ラインの更新、プールの濾過機改修、濾材交換、テニスコートのネット・ワイヤー交換、人工芝の張り替えなどを示しました。

使用料見直しの考え方

 H20年11月の「利用者負担に関する基準に基づく見直し方針」における「スポーツ施設の考え方」が改めて示されました。
 基本的な考え方として再提起された内容です。

★総合運動場などの大規模施設は50%の負担に近づける
 現行で有料となっている総合運動場(長野・南長野・真島)や総合球技場、野球場などの高機能な大規模施設は、税負担の均衡及び施設間の負担均衡を図るため、基準に基づく負担割合50%に近づけるよう改定。同種・同等施設は統一する。

★中小規模施設も50%に近づける
 同じく有料の千曲川リバーフロントスポーツガーデン、青垣公園プール、屋外プール、テニスコート(城山・御厨)などの中小規模施設も、原則50%負担に近づけるよう改定。同種・同等施設は統一する。

★現在無料の社会体育館を有料化
 村山スポーツセンター、昭和の森公園フィットネスセンター、社会体育館など、現在無料の施設は、基準に沿って有料化を検討。無人施設のため、料金徴収方法を合わせて検討する。

★河川敷運動場などは無料を継続
 施錠設備のない無料移設である屋外運動場や河川敷運動場は、現行のまま無料を継続する。

★ボブスレー・リュージュパークは現行据え置き
 競技人口が少なく、利用が極端に限定されるものの、オリンピック競技施設として存続を図っていくため、現行料金で据え置く。施設の休廃止を含め検討する。

【参考】H27年度の体育施設の使用料金一覧

クリックして86330.pdfにアクセス

12月中旬のスポーツ振興審議会で答申

 今後、12月中旬に予定するスポーツ振興審議会や議会の意見を聞いた上で、3月議会で条例改定案を提案したいとしています。

総合運動場など2倍近くの使用料引き上げが予想

 市側は、具体的に引き上げる使用料金体系を示していません。
 しかしながら、現行での受益者負担率をみると、有料施設では24%の負担率とされ、50%に負担率を近づけるとなれば、使用料は2倍近いものとなることが予想されます。

社会体育館の有料化は不透明

 無料施設の場合は、収入として照明代や市外利用など0.1億円で、管理運営費1.2億円に対し、負担率は6%。利用状況を考察しないと有料化の幅(いくらに設定するのか)は、予想できていません。

“そろばん勘定”だけで「スポーツを軸としたまちづくり」を進められるのか!

 H20年に策定された「行政サービスの利用者の負担に関する基準」の具体化について、利用者負担の引き上げとなり、市民活力の喪失につながりかねないことから、異議を唱え続けてきた一人です。
 そして、異議を唱えつつも、過度な負担にならない利用料金水準について、具体的な提案をしてきたつもりです。

 今回、スポーツ振興審議会に行政事務局サイドがいかなる素案を提示するのか定かではありませんが、前記したようにかなり大幅な使用料金改定が十分に予想されます。

 総合運動場や野球場を個人やサークル・クラブの団体で、また専用で利用する市民にとって、果たしてスポーツの底辺を広げ振興していくことにつながるのか、今のところは甚だ疑問です。
 大規模施設の競技利用では、「他自治体と競合するものは、可能な範囲で改定」とされています。全国的な競技大会やプロスポーツは別枠扱いとなっています。誘致が必要なことは理解しますが、市民には負担を求め、全国大会やプロは別扱いというのは、本末転倒ではないでしょうか。

 何よりも、社会体育館の有料化は重大な問題です。社会体育館を使用する市民は、地域のサークルやクラブが主体と思われます。市民の健康増進や健康長寿の観点から考えれば、そろばん勘定では推し量れない効果があります。

 ましてや、「有料化してから施設の環境改善」という論理は、「スポーツを軸としたまちつくり」の名が泣きます。

 市民の健康増進、健康長寿のための1億円と考えるべきなのではないでしょうか。

 バレーの支柱や卓球台などの更新は、速やかに行われていなければならない問題です。放置してきている現状をどのように総括するのでしょうか。

 因みに、最近、裾花体育館の卓球台の更新を要望されました。「台が破損していて使えない、ネットもポロポロ、何とかして」といったものです。

体育館の無料使用は継続へ

 スポーツ施設の使用料見直しを市議会が是とするのか、議論はこれからです。
 
 大規模施設等の使用料は、引き上げ幅が見えていませんが、少なくとも過度な負担にならないよう求めて行きたいと考えます。

 社会体育館の使用料も、いくらで有料とするのか定かではありませんが、無料を継続するよう求めていく考えです。

 皆さんのご意見を待っています。

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