長野市感染症有識者会議…国・県の方針通り、積極的疫学調査の緩和へ

過去最多の感染者に!

新型コロナ対策の「まん延防止等重点措置」が解除されて1カ月…4月6日、県内新規感染者数は737人、過去最多を更新しました。年明けから続く「第6波」は収束しないまま、大規模催事や新学期開始というタイミングで、感染再拡大の傾向が強まっています。

厚生労働省の専門家会議では、「明確にフェーズが変わり、第7波に突入している」と指摘、「オミクロン株の派生型BA.2に置き換わり、第6波より波が高くなる可能性を考えて、医療体制の準備が必要」と警鐘を鳴らしています。

長野市内でも新規感染者は195人で過去2番目となっています。善光寺御開帳が始まる中、予断を許さない状況が続きます。

6日夜、長野市の感染症有識者会議が開かれ、長野市の感染状況、国・県の「オミクロン株に対する当面の対応」を踏まえた市の対策の見直し、善光寺御開帳に関連したイベントにおけるコロナ対策等について意見交換が行われました。市の見直し方針は今日にも決まる模様です。傍聴しました。ポイントを報告。

➡感染症有識者会議に提出された資料は下記・長野市HPへ

長野市の感染状況…学校・保育所、経路不明が増加、子ども由来による同居感染が顕著

➊R4年4月5日までに感染者数10,873人、死亡者44人(基礎疾患あり38人・なし3人・非公表3人)

➋人口10万人あたり1週間新規感染者数は200人から250人で推移、3月中旬から高止まり。

➌感染経路不明は50人超で約3割、増加傾向に。

➍年齢別では、3月から10歳未満・10歳代が増加、その親世代の30歳代・40歳台で上昇。65歳代以上は低減傾向に。ワクチン効果か。

➎感染経路別では、同居、学校、保育所で増加。飲食店・会食、高齢者施設は少ない傾向に。

❻感染者の療養場所はほとんどが自宅療養。重症者はゼロだが、呼吸器が必要な中等症は一桁台で低減傾向。

➐3回目のワクチン接種は、65歳以上で91.7%、18~64歳は63.2%。12から17歳の3回目接種は4月18日から接種券発送に。5~11歳の1回目接種は871人(4.0%)。

濃厚接触者の特定・行動制限等の緩和…国・県の方針転換に基づき、市の対応も見直しへ

オミクロン株の特徴を踏まえた濃厚接触者の特定・行動制限及び積極的疫学調査の緩和見直しについて、3月16日付厚労省通知、3月29日の長野県の対策方針見直しに基づき、長野市として同様の対策に転換していくことが提案され、医療専門家らからの意見を聴き、異論もなく了承されました。

4月、新年度が始まりました。寒の戻りでしょうか、風も強く「春うらら」といった陽気とならず、コロナ感染第6波も収束どころか、リバウンド拡大が心...

ポイントは…

❶同居感染の場合及び入院医療機関、高齢者・障害児入所施設での感染の場合は、保健所等による濃厚接触者の特定・行動制限を求めるが、事業所や保育所・学校での感染の場合は、保健所からは濃厚接触者の特定・行動制限を求めない。

➋同居感染の場合の待機期間は原則7日間(8日目に解除)だが、エッセンシャルワーカーか否かにかかわらず、4・5日目の抗原定性検査キットによる陰性確認後、5日目から解除を可能にする。抗原定性検査は本人(または会社)が行う。

➌会社など通常の事業者での感染では、出勤を含め外出を制限しない。病院や高齢者入所施設、保育所・学校での濃厚接触者は、待機期間中であっても、毎日検査による陰性確認があれば、業務従事を可能とする。

これまでは、積極的疫学調査として、すべての感染者に対して濃厚接触者の特定・行動制限し、濃厚接触者のPCR検査を保健所のもとで行ってきましたが、今後は感染リスクの高い同一世帯内や重症化リスクの高い方が入院・入所している医療機関や高齢者施設等を対象に集中・限定するという見直しです。濃厚接触者のPCR検査も限定されます。国は見直しについて「オミクロン株が主流の間」とフェーズを限定しているものの、「保健所による対応の可能性を考慮しつつ自治体の判断に委ねる」としています。保健所の業務軽減は必要ですが、自治体任せの責任転嫁ではないか、穿った見方もできるでしょう。

感染リスクの高い同一世帯内での感染者発生の場合でも、検査を行うのは濃厚接触者本人とされます。自己責任論が根底にあるのではないでしょうか。少なくとも、濃厚接触者及び接触者に対する抗原定性検査キットの無償提供を公の責任(行政)で行われることが必要です。

集団感染の場合には保健所が濃厚接触者の特定等対応するとしていますが、感染経路が不明な感染が増えている中で、感染力は強いが重症化リスクが低く、潜伏期間と発症間隔が短いオミクロン株とはいえ、積極的疫学調査を緩和することで、市中感染を爆発的に誘引させることにならないのか、派生株BA.2への置き換わり・流行に備えることができるのか、極めて危惧されます。

とはいえ、専門的知見がなく、有効な打開策を具体的に提案できる状況にはありません。

一人ひとりがマスク着用・手指消毒を欠かさず、大人数での会食等を避ける感染防止策を徹底するしかありません。

ただし、自宅療養の感染者に対する健康観察、濃厚接触者になった場合の検査キットの無償提供、希望者への無償検査の継続・拡充、医療機関の負担増大に対する対応策は、行政の責任でしっかり行われなければならないと考えます。

有識者会議では、医療機関の代表らから市の方針の大枠は妥当であるとしたうえで、「発症者をはじめ濃厚接触者・接触者の診察が増えている」、「無症状感染者の検査は行き届くのか」「治療戦略の変更も問われる。感染傾向の情報提供を」との意見が出されていました。医療機関との緊密な情報共有、医療現場からの要望に対する対応は不可欠です。

感染警戒レベル「5」➡医療特別警報・医療非常事態宣言でイベント中止・延期を検討

長野県は重症化率が低いオミクロン株の特性に合わせ、感染者数よりも高齢者や基礎疾患がある人ら重症化リスクが高い人の感染抑制をより重視して、県独自の感染警戒レベルと医療アラート発出の基準を見直しました。この県の見直しを踏まえ長野市は、「善光寺御開帳関連事業におけるコロナ感染症対策の基本的な考え方」の見直し案を提示、了解されました。

➡4月8日に追記:上記「基本的な考え方」は8日、表現が修正されて正式に決定しました。下記の通り。

現状としては、県内で感染者向けに確保可能な513病床の「確保病床使用率」は4月5日時時点で21.6%と、県独自の医療アラートで「医療警報」を出す25%を下回っており、県が対策を強化する基準には達していません。

長野市はこれまで、6段階ある県独自の感染警戒レベルが緊急事態宣言などにあたる「6」の場合のみ中止や延期の検討要請の方針でしたが、圏域の感染警戒レベルが「5」の場合で、医療アラート未発出と医療警報(病床使用率25%以上)の場合は、リスクの高いイベント開催方法の見直し、飲食物の提供を控え、人との間隔を1メートル以上確保することを要請することに。医療特別警報(病床使用率35%以上)・医療非常事態宣言(病床使用率50%以上)の場合には「イベントの中止・延期について県の要請等を踏まえて検討する」とします。

距離1メートルの確保に関し、御開帳で「密」になっている現状の指摘に対し、保健所長は「1メートル確保は室内での目安。室外では大声を出さないことを重視するもの」と説明する場面も。曖昧さを残すもので、明快な表現で徹底することが必要です。

強制に及ばないよう配慮するあまり、とても回りくどい表現です。

長野市の現状は、警戒レベル「5」で県の医療アラートなしですから、「リスクの高いイベント開催方法の見直しを要請」ということになります。

医療アラートは県域全体の基準とされた点がポイントです。6日現在、県全域では病床使用率は21.4%ですが、北信は29.5%で「医療警報」レベルになっているのです。例えば、北信が35%で医療特別警報レベルであっても県全域で25%未満であれば、イベントの中止・延期要請の検討には至らないということになります。

重症者の病床確保は圏域を超えて県全体で調整するとして、医療アラートの県一本化を決めたものですが、善光寺御開帳や諏訪御柱祭などの大規模イベントが開催されている中では、当該圏域内の病床使用率を上げないため、重症・中等症患者を他圏域に移送することとなり、患者負担が増えること、最悪「命の危険」にもつながりかねません

そうならない対策を求めていく必要があると考えますが、県の対策方針は合理的なようで感染拡大防止に有効に作用するのか、いささか疑問です。圏域内に病床使用率をもっと重視すべきだと考えます。

また、飲食に関しては、「飲食店等において会食を行う場合は、同一テーブ4人以内とし2時間以内とする。5人以上のグループは、1テーブル4人以内となるようテーブルを分けて着席する」ように目安が見直されました。十分に留意したいものです。

長野市保健所では、善光寺御開帳や「大縁日」の関連イベントにあたり、職員手分けで現地確認を進めるとします。

私は、まだ善光寺に足を運んでいませんが、私自身も現地確認していきたいと思います。

さらに、市のコロナ対策の見直しにあたり、PCR行政検査の実施対象、自宅療養者への健康観察・物資の提供、無症状感染者の増加に対する対策、医療機関の負担軽減に対する考え方、BA.2への置き換わり・再流行に対する対応策などなど、疑問が残る点を再整理し、市保健所に必要な対応を求めていきたいと思います。