屋外市民プール…9箇所から3箇所に統廃合、課題は

 長野市は8月9日の公共施設のあり方調査研究特別委員会で、市内に12ある市民プールの統廃合案を公表しました。

 屋外プールの利用者数の減少、施設の老朽化、人口減少などを踏まえ、屋内プール3施設を存続させる一方、屋外プールの9施設を3施設に集約する基本方針のもと、まずH32(2020)年度に鬼無里・信州新町・芹田・茶臼山の4施設を廃止する内容です。

 今後、統廃合される各地区地元に説明し、来年1月には市民プール個別施設計画案(パブコメ案)をまとめ2月に市民からの意見公募(パブコメ)を実施し、H30年度内に方針をまとめたいとしています。

 皐月保育園の移転改築場所を巡り、「北部市民プール」を廃止し建設地とする案を急浮上させ、地元と利用者に混乱をもたらし”白紙”になるなど、市民プールの統廃合は紆余曲折をたどってきた経過があります。

 ※掲載資料は市議会への説明資料より

全国中核市の比較で施設数3位、水面面積1位

 H29年3月に策定された「市公共施設等総合管理計画」では、市民プールについて、広域的施設のモデル施設群として、市民の意見を反映したうえで、H30年度を目途に統廃合案を作成するとしてきました。

 屋内プール3、屋外プール9、計12のプールを保有する長野市は、人口同規模の全国の中核市(48市)と比較すると、施設数で3位(10万人当たり)、水面面積(1,000人当たり)で1位と保有量が多いことが特徴です。「へぇ~」って感じですが…。

 全国的にはH27年度で3,698プールがあり、H17年度と比較し702箇所(16.0%)減少しているそうです。

 特に屋外プールは、レジャーの多様化や施設に対する満足度の低迷、紫外線を避ける健康意識の広がり等により、利用者の減少が顕著とされます。

 また、監視員をはじめ屋外プール従事者の人材確保も課題となっているとされます。

屋内プール利用は年間67,000人に減少、屋内プールは好調

 市内の屋外プールの利用者数は、H7年(当時7施設)の16万人に比べ、毎年漸減し、H29年度では約67,000人いう状況です。

 一方、屋内プールは旧サンマリーンながのの廃止以前のH25年度で388,369人の利用、旧サンマリーン建設中のH29年度でも、アクアウィングと南長野運動公園内プールの2施設で247,026人の利用で好調が続いています。

 屋内プール3施設は存続し、長寿命化を図るとしています。

北部・中部・南部の3エリアに屋外・屋内プール各1施設配置へ

 市では、交通アクセスや利便性を考慮し、市域を便宜的に北部・中部・南部の3つのエリアに分け、エリア内での施設のバランスを図る観点から統廃合を検討してきました。

 現況の9つの屋内プールについて、利用者状況(➀水面積当たり利用者数、②20年前と近年の増減率)、③施設運営コスト、④改修・改築コストの4つを指標として、それぞれ点数化して総合評価しました。

 そのうえで、城山公園施設の一体的な整備の検討が求められる城山プールや、小学校や中学校の授業でも利用されている鬼無里、信州新町のプール、プール内の大きな亀裂により営業困難となっている芹田など各施設の個別事情も考慮し、統廃合の時期を第1期(統廃合対象施設)と第2期(当面存続施設)に分けた統廃合案をまとめたものです。

まずは鬼無里・信州新町・芹田・茶臼山の4箇所を廃止


 「廃止」する4施設のうち鬼無里と信州新町は、小中学校の授業では使い続けることを視野に市教委と検討。芹田は施設に亀裂が生じており、既に営業を止めている状態にあり跡利用を地元と協議。茶臼山は複合スポーツ施設内にあり、通年利用の屋外多目的運動施設への転用を検討するとします。

 「当面存続」の北部、城山は城山公園の整備方針により統廃合を改めて検討しどちらかを廃止へ、犀南は、茶臼山の廃止(第1期)後の利用状況を見て段階的な廃止を検討するとしています。

 特に北部、城山のいずれかを集約する方針は、城山公園一帯の整備方針と絡んで、なかなかの難問になりそうです。

運営費は年間約2,400万円の減、改修・改築費は10年間で約6億6,000万円の減に

 第1期統廃合により、施設運営費は現状の約6,600万円から約4,200万円に、また向こう10年間を見越した改築・改修費では、現状の約16億1,000万円から約9おく5,000万円に減少すると試算しています。

 削減される経費の一部は、存続施設の機能向上に充てたいとしています。肝心なポイントの一つでしょう。

 また、中核市比較では、8施設となることから、施設数は48市中3位、水面積では4位になるそうです。とはいえ、単純な中核市比較に大きな意味があるとも思えません。地域性もありますから。

学校プールの利活用は「困難」の考え示す

 私は、学校プールの市民開放を検討すべきと主張してきた一人ですが、今回の統廃合案公表の中で、施設面で敷地面積が狭く駐車場も少ないこと、更衣室が狭くコインロッカーの設置が必要なこと、また運用面では、学校夏休み期間中に限定され、こどもプラザ等でも利用していること、防犯面での不安があることなどから、「原則困難」という考え方を示しました。

 確かに学校プールの市民開放には、特に安全面で新たな投資が必要になることは理解するのですが、何か工夫の余地はないものかとも考えます。

 観点は異なりますが、神奈川県や千葉県などでは、学校プールがなく、水泳授業を行っていない市町村もあるそうです。学習指導要領上でも水泳に代わる運動が担保されれば水泳は必須ではないとのことです。

 しかも、今年のように異常気象、猛暑により、健康管理の面から学校プールの利用禁止または自粛が進む中では、学校プールを使用した水泳授業そのものの位置づけの見直しも求められて来るのではないか、むしろ民間の屋内プールを完備するスポーツ施設の誘致と利活用ということも考えるべきなのではと考えてしまいます。

統廃合やむなしか?!…

 統廃合の対象となる地域の皆さんからは異論が出されることは十分に予想されます。

 しかしながら、年間で7月と8月の2カ月間限定利用の公共施設である点をはじめ、利用者数の減少、コスト等を考えると「統廃合はやむを得ない」と受け止めてはいます。

 しかし、統廃合対象地域の皆さんとの跡利用を含めた丁寧な合意形成が不可欠であることは言うまでもありません。

 また、繰り返しになりますが、北部と城山の統廃合問題は、城山公園一帯の整備と絡んで、より丁寧さが求められます

 私的にも、それぞれの施設の現状と課題をより吟味することが必要です。

 そのうえで、存続させる市民プールについて、駐車場の確保・拡充、プールサイドへのテント配置、トイレや更衣室など付属施設の充実、水質管理の徹底、監視員の十分な配置などなど利便性・機能の向上が必須課題となります。

 また、新しくオープンしたサンマリーンながのの利用料金の見直しも問われる課題の一つです。

 さらに、公共施設の在り方という点から考えると、市民プールの統廃合の検討と合わせ、所管が異なり教育委員会マターとなりますが学校プールと水泳授業の今後の在り方の検討も必要になるのではないかと考えます。