どうなる?どうする?若穂の路線バス

「どうなる? 若穂の路線バス 長野市の公共交通は~長野市公共交通ビジョンから若穂の路線バス、地域の足を考える」…11日(土)夜、若穂支所で開かれた市政出前講座を活用した第17回わかほ塾のテーマです。
屋代線が廃止され、今度は路線バスが廃止され、「魅力のないまち」(参加者の発言)が強く懸念される中、住民の皆さんの危機感が溢れた集いでした。
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地域住民主役の運行モデル…、十分な時間と住民合意が不可欠

6月市議会の共交通対策特別委員会で、「廃止された保科温泉線の新たな運行形態の検討の協議が進んでいない。ビジョンをまとめた上で対応したいと考えているのかもしれないが、若穂沿線の住民にとっては切実な問題。来年度予算編成を考えると11月頃には方向性を出していくことになるが、あまりに時間が短い。拙速にならないことを強く求める。保科温泉線の運行継続は、ビジョンが打ち出した地域住民が主役となった運行維持、運行維持基準や最低運行保障のモデルとなる。1年間限定の廃止代替バス運行という期限にこだわらず、地域住民が主役となった協議・検討に心を配るべき」と注文を付けてきていることもあり、沿線住民の皆さんの意見を聴くため、参加してきました。

路線バスの維持…47%の中学生が進学志望校に影響

若穂地区住民自治協議会の保科温泉線バス対策プロジェクトとわかほ塾運営委員会が主催したもので、約90人の住民が参加。長電バス・保科温泉線の廃止を受け、市が今年4月から1年間を目途に運行している廃止路線代替バスの「今後」について意見交換が行われました。

7月13日付の信濃毎日新聞、14日付の長野市民新聞に報道されました。

市の交通政策課が6月に策定した「長野市公共交通ビジョン」の概要と、廃止路線代替バス・保科温泉線の利用状況と「新たな運行形態への移行の進め方」について説明。
また、集いでは、若穂地区住民自治協議会が利用者や若穂中学校の生徒・保護者を対象にしたアンケート調査の結果が報告されました。注目のアンケート結果です。

利用者アンケートでは、「現在の路線バス運行」について、「大変満足」13%、「まあまあ満足」52%の一方「不満」が35%。1日の運行本数や朝夕の便数、最終便の運行、電車との乗り継ぎなどが不満の理由に挙げられました。
「路線バスの存続活動への関心」では、「とても関心」69%、「まあまあ関心」が28%と、97%の住民が「関心がある」と答えている点が注目です。

中学生へのアンケートでは、「高校進学に路線バスを使うか」との問いに、「利用したい」24%、「ときどきは利用するかもしれない」43%で、67%の中学生がバス利用を考えていることがうかがえます。

また、「路線バスの廃止や縮小、運行状況によっては志望校変更も考えるか」との問いに、「考える」が12%、「検討材料にする」が35%で47%が志望校への影響を考慮せざるを得ないと回答。

一方、保護者は「中学卒業後の進路にバス路線は重要な条件か」の問いに、「大変重要」47%、「ある程度重要」が50%を占め、高校進学を迎える当事者にとってバス路線の維持存続が重要であることを浮き彫りにしました。

路線バスの存続問題が子どもの教育の機会均等に及ぼす影響への懸念が如実に表れています。

ビジョンに対しては、運行維持基準の考え方に対する質問や、パークアンドライド・サイクルアンドライドの拡充などを求める意見が出されました。

市…保科温泉線は運行形態を変えて維持が基本、廃止ではない

やはり、焦点は保科温泉線の運行維持です。

市側は、「競合する民間路線があるため、今のまま残すことは難しい」とし、利用者ニーズに合った運行形態、経費・収入のバランスに配慮し、いつ、どこに行きたいか、具体的なニーズを収集把握し、地域と市で運行案を協議、来年4月1日には新しい運行形態を開始したいとしています。
ビジョンに示した「NPO法人等による有償運送」も選択肢の一つなのでしょうか。この点は不明です。

保科温泉線の便別利用状況では、平日で朝夕の通勤・通学時間帯がジャンボタクシーの定員9人を超え、土日では保科温泉の利用者を中心に朝夕で9人を超えています。
乗合タクシー方式では、最大利用者に対応できない状況が浮かび上がります。

また、停留所の乗降者数からは、若穂病院、日赤病院といった通院利用に着目する必要がありそうです。

保科温泉線・廃止代替バスの継続について、市側が、アルピコ交通の路線バス「日赤経由の松岡線」と競合することから「困難」とすることについて、「アルピコ交通が不採算路線とする「大豆島線」と統合し、路線を残す工夫はないのか」、「8路線ある市の廃止代替バス運行は、既に何年間も継続している。なぜ、保科温泉線だけ1年なのか」、「路線バスを使って若穂病院に通院し、市街地にも出かけている。高齢者の足を守ってもらいたい」、「高校生の通学援助として学生パスポートは考えられないか。若穂団地から市街地へのバス通学では1日1400円かかる。負担が重い」「これ以上、便数を減らさないでほしい。アルピコ交通の大豆島線の路線延長は考えられないのか」
といった意見が相次ぎました。

障害者施設を運営する法人からは、「路線バスは障害者の自立を支えている。一緒に路線の維持を考えたい」との意見や「自分の会社はマイカー通勤を禁止している。こうした動きを広げるための手立てを講じてもらいたい」といった意見も出されました。

路線バスとして存続できないか、多角的な検討も

アルピコ交通「大豆島東線」の若穂・保科地区への路線延長や、 日赤経由の「松岡線」の若穂地区への路線延長も検討する価値はあると思います。
しかし、長電バスで不採算となった路線を別の交通事業者が引き継ぐには、それなりの収支見込みがなければ難しいでしょう。また、路線の延長は、運行時間が伸びるため、運転者の新たな確保も必要となります。
しかし、乗り継ぎ中継地点を確保し、路線を一体で確保する方策も検討されるべきだと考えます。ダイヤ編成と乗り継ぎ運賃の検討は当然のこととして。

さらに、長電バス「保科温泉線」の路線運行区間(停留所)ごとの収支を明らかにし、収支の悪い区間を「廃止代替バス運行区間」として維持できないか、といったアプローチは難しいのでしょうか。

「新たな運行形態」の検討にあたり、「新たな」の部分だけにのめり込まず、路線バスとして維持できる方策がないのか、幅広く多角的に検討する必要があると考えます。

若穂地区内・生活圏域の移動、生活圏域と市街地の移動を一体で再構築

今の段階で「これだ!」という決め手があるわけではありませんが、若穂地区、もっと広げれば河東地域の生活圏域での移動ネットワークと、河東地域と市街地を結ぶ移動ネットワークを一体のものとして考えていくことが重要です。あたりまえのことですが…。

冒頭に記したように、ビジョンを策定し、交通空白地域における地域公共交通ネットワークの再構築の最初のケースです。拙速に進めず、「住民が主役」の基本を活かし、住民合意を大切にしながら、「モデル」となるような取り組みにしたいと強く考えます。