市立公民館のコミセン化…「交流センター」の利用制限緩和を質す【9月議会の質問より➊】

市立公民館について、社会教育法の適用を除外し、地方自治法に基づく公共施設として公民館の在り方を抜本的に見直す条例案が9月市議会定例会に提出されています。

条例案は、6月議会に提出予定でしたが、いわゆる公民館のコミセン化にあたっての対象公民館の選定に時間を要したため、9月議会の提出となったものです。

今年の3月議会において、市立公民館のコミュニティセンター化の課題を質してきましたが、今回は、その延長戦です。

市教育委員会では、社会教育法第20条に基づき設置・運営されている市立公民館(全29館)を社会教育法の適用を除外し、市長部局の所管となるコミュ...

私の質問のやり取りが14日付の信濃毎日新聞で報道されました。最初に掲載します。

9月14日付の信濃毎日新聞の北信面より

公民館をコミュニティセンターへと見直す新しい施設は「交流センター」という名称です。

3年間をモデル事業期間として、直営の柳原、小田切公民館、指定管理の長沼、篠ノ井公民館、計4つの公民館を対象とします。いずれも、住民自治協議会の合意と理解を得てきたとされます。

私は、地域づくりにつながる物販や放課後の子どもの学習の場を求める地域住民の意向等を踏まえ、学びを通したまちづくりの拠点としての役割を重視して公民館の役割を見直すこと自体は、時代の求めであると考えています。

そうした問題意識に立ちつつ、コミュニティセンター化したとしても公共施設であることを重視し、まちづくりに結びつかない民間事業者の施設利用には明確に制限をかけるべきであると質してきました。

3月議会で教育次長は、「条例・規則において施設利用の目的を明確に示すとともに、地域づくり、市民福祉の向上、生涯学習の推進を最優先とし、営利活動のための施設利用や販売行為などについて制限を設けていく」「併せて、運営審議会や運営委員会を引き続き設置し、住民本位の運営を原則とする」と答弁してきました。

まちづくりに資さない民間利用の制限を条例で明示的に規定を

私が問題視したのは、教育次長が「条例・規則において…営利活動のための施設利用や販売行為などについて制限を設けていく」と答弁したにもかかわらず、条例案には反映されていないこと、さらに、作成中とされる「施行規則」の中でも、「販売行為等の禁止」は盛り込まれるものの、民間事業者のセンター利用の制限の明示には至っていないこと、この2点にあります。

➡長野市交流センターの設置及び運営に関する条例案[まだリンクがはれていません]

具体的には、条例案第10条の「利用の制限」の規定の中に明文化することを求めたものです。

なぜ、民間利用の制限の明示が必要と考えるのか

理由は、答弁の一貫性ということもさることながら、時間制利用となる交流センターでは、民間事業者への貸し出しは通常料金180円の3倍、540円に設定され、一般的な民間施設の貸館料金に比べ格安となっていることから、研修会等をはじめ民間のセンター利用に拍車がかかり、結果として地域住民の利用が制限される事態に陥ってしまうことが十分に予想されるからです。

例えば、東部文化ホールと併設の柳原公民館のように、ある程度の駐車場が無料で完備している施設は民間利用に拍車がかかることは容易に想像できます。安茂里公民館もそうです。

通常の貸館は民間に委ね、公共施設である交流センター利用は地域住民に開かれた施設、地域のまちづくりに資する施設として一貫させることが重要であると考えるからなのです。

公民館のコミュニティセンター化は時代の流れとは言え、民間開放については、長野モデルとなるような施設の在り方を追求すべきと考えるからです。

「営利のみを目的とする利用はできないもの」と解釈

この質問に対し、教育次長は「社会の変化や市民ニーズを踏まえ、施設利用の制限を緩和することで地域の活性化につなげ、多種多様な活動の場として住民本位の柔軟な利用利視点から条例案を検討した」と前置きしたうえで、「交流センターの利用については、営利のみを目的とするものを制限し、住民の使いやすさを最優先とし、地域住民の利用がはじかれることのないよう条文を整理した」と答弁しました。

条例案第2条の「設置目的」により、「民間事業者が使える場合は、地域づくり、生涯学習など、地域の活性化、住民福祉の増進に資する場合に限られ、営利のみを目的とする活動には利用できない規定になっている」とし、また第8条で「設置目的に沿わない利用は、申請受付の段階で許可しないものとしていること」、さらに第10条では「公序良俗に反しないこと」「施設を損壊または滅失しないこと」など公共施設の一般的な制限を定めているとしました。

すなわち、「利用の制限」を規定する第10条には盛り込まないが、「設置目的」により「営利のみを目的とする活動には利用できない」と解釈する規定であるということを強調したものです。

具体的な事例として、「地元商店会の会議やイベント、司法書士会等による相談会などは利用可であり、地域づくりに結びつかない民間事業者の販売促進等の会議は利用不可である」としました。

つまり、自社利益のみのための研修会や講座の開催は不可であるということになります。

利用許可取扱要領を別途定める

営利目的の施設利用は、個々のケースごとの判断を要することから「利用許可取扱要領」を別に定め、適正な運用に努める」としました。

また、交流センターの制度について、より分かりやすい案内チラシを作成し周知に努める」ともしました。

質問の所期の目的は達成と受け止め

条例上に明記はされていないものの、「民間の営利目的のみの利用はできない」ことを明確にするという意味では、所期の目的を達成できたものと受け止めています。できれば条例の「利用の制限」の中に明示的に規定できればなおよかったものと感じてはいます。

かなり、しつこく、くどい質問だったのかもしれません。しかし、「後悔、先に立たず」で「こんなはずではなかった」とならないように釘をさし、答弁・議事録として明確にしておきたいというのが狙いです。将来を見据え、交流センターが学びを通したまちづくりの拠点、地域コミュニティの拠点の一つとして発展していくことを願っての質問です。

しかしながら、実際の利用制限は交流センターの申請受付段階での判断に委ねられ、運用上の課題となることから、解釈次第或いは運用次第でどんどん広がってしまう懸念が100%晴れたわけではありません。

作成するとした「利用許可取扱要領」で、個別具体的な事例を明確に示すことを求めていきたいと考えます。「施行規則」のチェックも欠かせません。

条例案が審議される18日の経済文教委員会で、さらに議論されることを期待したいと思います。

来年4月から4つの公民館が交流センターに移行し、モデル事業期間の中で課題を洗い出したいとしています。特に市街地で駐車場等が完備している施設における運用状況をチェックしていきたいと考えます。

交流センターでは「成人学校」が「教養講座」に、なぜ?

交流センター化にあたっての二つ目の問題は、「成人学校」を「教養講座」に名称を変えて運営するという点です。次回に続きます。

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