市議会議員定数を39人から36人に削減…賛成多数で可決

3月市議会定例会は初日22日に、長野市議会の議員定数を現行の39人から3人を減員し36人とする条例改正案を賛成多数で可決しました。

これにより本年9月に執行させる長野市議選は定数36人で争われることになります。

議員定数の在り方を巡っては、議会として絶えず検証し市民の皆さんに理解してもらうことが重要です。

長野市議会の議員定数はH17(2005)年の合併を経てH19(2007)年の選挙において42人から現行の39人に減員。その後、H29(2017)年には、「議員定数の削減を求める請願」や住民自治連絡協議会会長からの「議員定数の適正化に向けた調査研究の要望」を踏まえ、議会活性化検討委員会2016において議員定数の検証を行い、現行定数39人が適正であるとの結論に至ってきた経過があります。

そして、昨年来、H17年以降の人口動態、人口減少の見通しなどを踏まえ、議会活性化検討委員会2019において議員定数の検証を行った結果、人口減少の動向を踏まえ「1万人に1人」を目安に定数36人とする多数意見により、条例改正案の発議(新友会・改革ネット・公明の共同提出)となったものです。

議員定数については明確な基準があるわけではありませんが、中核市においては「人口1万人にあたり議員1人」を一つの目安として検証されてきています。とはいえ、議員1人が代表する人口のみならず、面積、平成の合併による中山間地域の拡大、議会費の割合など総合的に検討されるものです。

地域や職域等に応じた住民の多様な利害や意思をなるべく正確に反映するためのある程度のまとまりのある議員数と議会審議の効率化や合理化といった観点から如何にバランスをとるのか、多数意見による「民意の集中」と少数意見を含めた「民意の反映」とのバランスを如何に図るのかが重要です。

36万人台に減少した人口、さらに人口減少が避けられない中で、改革ネットの会派内協議を重ね、「人口1万人あたり議員1人」を目安とし、定数を36人とすることは止むを得ないと判断し、条例改正案の提出議員となり、賛成してきました。

私自身は、削減がやむを得ないとしても、現在の人口、今の市民・有権者に基づき2人減の37人とし、さらなる人口減少の動向を踏まえつつ、改選以降の議会において再検討していく案を述べてきましたが、代表として会派内の大勢の意見をまとめる責任もあり、原案に同意してきたものです。

しかしながら、課題は残ります。議員の地域性が高い地方都市においては、地域の人口等により、議員の偏在が懸念され、人口の少ない中山間地域の市民の声をいかに汲み取り市政に反映していくのかが問われます。現在取り組んでいる「市民と議会の意見交換会」を中山間地域に出向いて開くことや、議会としての市民モニター制度の導入など、議会としての政策・施策提案につながる取り組みをさらに改革していくことが重要です。

そして、何よりも、議員一人ひとりが拠点となる地域性に依拠しつつも、市域全体、市政全体を絶えず俯瞰し、市行政を監視評価するとともに、すべての市民のための政策立案を進め、市民の信頼と負託に応えていくことが不可欠であることを肝に銘じたいと考えます。

最大会派の新友会議員は条例の賛成討論で「インターネットやSNSなど広報媒体が広がり、中山間地域の住民の声は反映できる」趣旨を強調しましたが、高齢化・過疎化が深刻な中山間地域の現実を踏まえた発言とはいいがたく、「だから削減は必要」とする論理に同意するものではありません。

議員定数の検証を行ってきた議会活性化検討委員会が「総意」として「中山間地域を含めた意見や要望等の集約方法、或いは市民と議会の意見交換会の在り方など、引き続き検討を進めていく課題がある」とした集約を反故にする意見といわなければなりません。定数削減条例については「同床異夢」です。

本会議では、改革ネットを代表して鈴木洋一幹事長が、議員定数削減条例の賛成討論を行いました。市民参加の機会の拡大を強調しました。下記に掲載します。


議会第3号 長野市議会の議員の定数を定める条例の一部を改正する条例案に対し、賛成の立場から討論する。

平成29年7月、長野市住民自治連絡協議会会長から、議長あてに、議員定数の在り方に関わる要望書が提出された。また、市民からは「議員が多すぎる」、「報酬が高すぎる」等、厳しい意見が寄せられている。

一方、形式的な議員定数削減は、地方公共団体の二元代表制を担う議会機能の低下につながることが懸念されるため、市民参加の機会拡大等による議会の機能強化と併せて定数問題を考えていかなければならない。

1.議会の機能強化

龍谷大学の土山教授は、議員定数について「どんな規模の自治体であれ、市民の多様な意見を拾い上げ、市政に反映していくことは、市民に最も近い地方議会としての重要な機能である」とし、そのため、議員の「代表性」機能を重視すると、代表者の数が多いことが好ましいことになる」としつつ、同時に、「議会への市民参加の機会拡大によって代表性機能の充実を図る必要がある」と述べている。

 人口減少社会において、本市議会が、これまで以上にその役割を果たすためには、本市が直面している課題である、中山間地における過疎化と都市部への人口集中、累次の合併等による市域の広域化、市民生活の多様化や地縁の希薄化等の変化、に対応するため、議会活性化検討委員会で意見があったように、議会が地域に出向き、意見交換会を定期的に開催する等、市民参加の機会拡大策を講じ、議会の機能強化を図っていくことが必要だ。

2.人口動向における規定

明治大学の井田教授が、「全国の自治体議会における人口と議員定数には、ある程度の相関が認められ、人口動向が定数設定における最も強い規定要因となっている」と書いていることや、現在、議員定数については、上限数の制限は撤廃されているものの、1999年の地方分権一括法による地方自治法改正までは、人口区分に応じた法定数を基本としていたことなどを踏まえると、本市議会の議員定数については、人口動態、人口推計に規定されることは妥当であり、適切な判断だと考える。 長野市人口は、本年1月1日で368,717人と既に36万人台へと減少が進み、更に、令和4年2月の「長野市人口ビジョン改訂版」は、長野市の総人口を2030(令和12年)は361,236人、2040年(令和22)年に336,123人、2045(令和27)年には322,177人と更なる減少が続く、と推計している。

3.まとめ

長野市人口は36万人台へと減少し、更に、人口減少が進展していく現状を踏まえると、現在の定数39は、必ずしも適正とはいえないため、議会における市民参加の拡大策等、議会機能の充実について検討することを前提とし、平成18年に議員定数削減の目安とされた「人口一万人あたり一人の議員」との考え方に基づき、次の改選期における議員定数を36とすることは適正である、と考える。以上、賛成討論とする。

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