いよいよ動き出す…児童館・児童センター等の有料化

 9日の市議会・会派総会で、放課後子ども総合プランの利用者負担の導入について考え方が示されました。

 私自身は私鉄の交通政策フォーラムに出席のため欠席した総会ですが、事前に子ども政策課からレクを受けました。

 これまで無料で実施してきた児童館・児童センター、こどもプラザの有料化が、いよいよ動き出すことになります。

 既に4月7日の会派総会で、市長から、「市議会と密接な協議必要とする重要施策16案件の一つ」として示されていたものです。
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無料継続を主張…正念場

 児童館・児童センターの有料化の考えに対し、子育て支援の観点から政策的に無料を継続すべきと主張し続けてきた私にとっては、正念場です。

 議会内には、「有料化やむなし」みたいな空気があり、負担割合に言及し、“落とし所”を探るような意見もありますが、まずは入り口からしっかりとした議論を働きかけていきたいと考えます。

6月に諮問、年度内に答申を得てH30年4月導入

 6月2日の社会福祉審議会に諮問し、保護者アンケートを実施した上で来年2月頃までに答申を得て、利用者負担を導入する場合は、H29年度上半期で周知徹底し、H30年4月から実施する考えを示しました。
 有料化を定める「徴収条例」の議決は、来年の6月議会か9月議会に想定されています。

一旦は見送られた有料化、ただし時間延長に有料化導入

 児童センターの有料化は、H21年に社会福祉審議会から「経費の一部負担は適当」とする有料化答申が出されたものの、放課後子どもプランの全校区実施を優先させ、政策判断として利用者負担導入を見送り、従来通り無料で実施されてきています。
 審議会の有料化答申は、利用者アンケートで7割の保護者が「ある程度の負担はやむを得ない」と答えたことを拠り所としていたように思われます。

 また、開館時間延長の要望に対応するため、延長利用料金=1時間700円を設定、H24年4月から実施されました。
 延長利用分の有料化はやむを得ないと判断し私も賛成してきた経過はあります。

「利用児童は限定的で、税負担として不公平」…だから有料化

 有料化の本格検討の背景には、一つに、H28年度4月から、市内全54小学校区で「放課後子ども総合プラン」が実施されたこと。二つに、「税負担の公平性の確保」を徹底することが挙げられています。

 有料化を見送った際の課題が解決されたことから、改めて「税負担の公平性の確保」の観点から有料化を検討・導入しようとするものです。

 H26年度で児童数21,160人に対し、放課後子ども総合プランに登録している児童は6,784人で登録率は32.1%、全児童の約3分の1。さらに、平日の平均利用率は46.4%で、登録児童の5割になっていることから、実際に利用している児童は全児童の15%、6人~7人に1人の利用に限られていて、税負担の公平性が確保されていないという理屈が強調されます。

 しかし、数字には、特に平均利用率という数字にはマジックがあります。6日間の開館日のうちうち、毎日利用している児童数、2日間利用している児童数など、家庭の事情による詳細な利用実態は、これらの数字からうかがい知ることはできないのです。

 児童毎の利用実態の把握について質問したところ、「センターでは確認されているが、統計はない」とのこと。手間ではありますが、子ども政策課として把握し情報提供するよう求めたところです。

利用者負担は事業運営費の2分の1を想定

 厚労省の放課後児童健全育成事業では、利用者負担と行政負担(国・県・市)をそれぞれ1/2と想定していること、また、長野市の利用者負担に関する基準(H20年11月)では利用者負担50%の類型に属すること、さらにh21年2月の社会福祉審議会答申で「利用者対象が限定されることから、事業運営費の凡そ半額程度を上限に定めることが適当」とされたことなどを上げ、2分の1負担の導入を意図しているようです。

 H26年度決算では、放課後子ども総合プランの総事業費が6億9,790万円で、登録児童一人当たりの経費は月額8,573円、その1/2負担で4,287円と試算されています。
 これらの数字をベースにして審議会では審議されていくものと思われます。

 総事業費の内訳の検証も必要となります。

多くの自治体で有料化されてはいるが…

 児童センターは中核市や県内他市の多くの自治体で有料化されている現実はあります。市の調べ(H24年段階)では、中核市では48市中46市で、県内では19市中14市で、利用料に幅はありますが既に有料化されているようです。当時は、この現実に驚いたものです。

 だからと言って、長野市も横並びする必要はありません。子育て支援に対する独自の見識と施策があって然るべきでしょう。

 直近の状況について、施設環境の整備等を含めて把握することが必要です。

経済格差が広がる中、子育て世帯への経済的支援の継続・充実こそが求められる

 子どもの貧困が社会問題となっている今日、また所得格差が広がり共働きせざるを得ない状況が強まる中、児童館・児童センター、子ともプラザの利用ニーズが高まることは必至です。

 そして、子育て世代の強い要望が経済的支援にあることを忘れてはならないと思います。

 利用者が限られていることをもって、税負担の不公平さを強調するよりも、限られている利用者への支援があってこそ、子育て世帯全体の底上げが図られる意義、税金を優先的に使う政策的判断の意義について、広く理解と合意を求めていくことが必要ではないかと考えます。

 私は、利用者が限られていても、必要とするサービスであれば優先的に特化した対応があって然るべきだと考えます。

「有料化ありき」でない慎重な審議を

 審議会では、利用者負担の是非から論点にする考えが示されています。そのうえで利用者負担を導入する場合には、負担割合や激変緩和措置、低所得世帯等への配慮なども検討するとされています。

 有料化ありきではなく、経済格差の現実、放課後子ども総合プランを利用する保護者の実態、ニーズ、児童館・児童センターの施設・環境整備、おやつの実費提供のあり方、アドバイザー・支援員の処遇改善、そして、財源の確保、そして市長が打ち出す子育て先進都市を目指す政策的整合性などなど、総合的・多角的に検討されるようチェックと提案を強めていきたいと考えます。

 それにつけても利用保護者の皆さんの声を改めてしっかりと拾いたいと思います。
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