旧統一教会との関わり…「市政に対する疑念生じた」と市長陳謝
今年1月に旧統一教会=世界平和統一家庭連合関連団体である「長野県平和大使協議会長野支部」の会合にビデオメッセージを送ったことが判明している荻原健司・長野市長は、7日からの一般質問に対する答弁で、「政務活動の一環として行ったものだが、市政に対する疑念を生じさせてしまったことについて議員や市民に深くお詫びする」と陳謝し、「今後は社会的に問題が指摘されている団体とは関わりを持たない」と表明しました。
市長はこれまでに、昨年の市長選で街頭演説会場に旧統一教会の関係者がいて、応援を受けたとの認識があり、「お返し」だったと述べてきています。また関連団体が関わる自転車イベントであるピースロード実行委員会に対し賛同の意思を示してきています。
旧統一教会の活動が、自民党政治家に深く関与してきている実態がすでに明らかになっていますが、様々な関連団体を通して、自治体や市民社会に深く浸透していることに危機感が募ります。
市行政として、首長として、政治家として、旧統一教会との関係を断絶し、市民を被害から守ることが喫緊の課題です。
旧統一教会関連団体に市有施設4回貸出、寄附・名義後援はなし
市は9日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)及び関連するとされる団体からの寄附等に係る調査結果を報告しました。
H29年(2017)度~R3年(2021)度の過去5年間にわたり、市各部局及び外郭団体を対象に、寄附の受領、イベントなどの共催・後援、市有施設の貸出しを調べたものです。
なお、関連団体は、国際勝共連合、世界日報社、世界平和女性連合、世界平和連合、天宙平和連合、平和大使協議会の6団体とします。
長野市への寄附やイベントなどの共催・後援に関しては「なし」としたうえで、既に報道されている市社会福祉協議会への世界平和統一家庭連合から手作り布マスク700枚の寄附(R2年4月)が判明しています。
市有施設の貸し出しでは、世界平和女性連合や平和大使協議会など3団体に計4回貸し出していることが明らかになりました(下記の通り)。
相手方 |
実施日 |
内容等 |
世界平和女性連合 |
H30.9.26 |
施設名:吉田公民館 内 容:ボランティア活動に当たっての会議 |
平和大使協議会 |
R3.3.27 |
施設名:若里市民文化ホール 内 容:設立1周年記念大会 |
R4.3.25 |
施設名:若里市民文化ホール 内 容:平和ビジョンセミナー |
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PEACE ROAD2021 in Japan 長野大会実行委員会(※) |
R3.7.18 |
施設名:セントラルスクゥエア 内 容:グランドフィナーレ会場 |
また、市消費生活センターに対し、「家族が入信しており脱会させたい」「過去に多額の献金をしてしまった」といった内容の旧統一教会関連の相談がR3年度に1件、R4年度に2件寄せられたことも明らかにしました。消費生活センターにおける被害対応も強化されることが待ったなしです。
市有施設利用基準の早期見直しを
旧統一教会への市有施設貸出しは「公序良俗に反する事業活動を行う団体」として貸出しを許可しないことが、「旧統一教会関連団体との関係を断つ、一線を画す」とした市行政の対応として必要であると考えます。しかしながら市長は「社会的に問題が指摘されている状況を考慮すると利用許可は好ましくないが、許可基準に照らすと自治体独自の判断は難しい。国において基準や指針が示されることが必要。今後、国・県の対応を見ながら、本市の対応を検討していきたい」と述べるにとどまりました。
国における公共施設の利用基準等の見直しが行われることが必要ですが、自治体においても、一線を画しきれるガイドライン等の作成が早急に求められるところです。