「人口増」を看板とする人口減少対策とは何か【3月議会の質問より❶】

 3月市議会定例会が終わってからのアップとなりますが、一般質問の質問を市側の答弁を交え、随時報告していきます。

 まずは「人口増を看板とする人口減少対策とは何か」です。
 ただし、人口減少問題を根源的に取り上げたものではなく、むしろ市長の政治姿勢の問題として取り上げたテーマです。
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2060年に30万人確保…「8万人の減少に止めたい」が基本戦略

 人口減少にいかに歯止めをかけるかは重要な政策課題です。
 長野市のみならず全国の自治体に問われている重要課題です。

 国立社会保障・人口問題拳銃所の推計では、長野市人口は2060年には25万人を割り込むという厳しい数字が示されました。

 これに対し、長野市が策定した「人口ビジョン」は、2060(H72)年には、高度経済成長の入り口にあたる1955(S30)年と同程度なる人口規模=30万人の人口を確保するとことを目標とし、45年後30万人口に向け、当面5年間の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。

 8万人の人口減少に止めるというのが総合戦略なのです。第五次総合計画も、この将来人口を根底において策定されることになります。
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「人口増推進」…幻想振りまく無責任な行政姿勢では?

 にもかかわらず、長野市は「人口減少対策課」の名称を4月から「人口増推進課」に改める方針を示しました。

 名は体を表します。

 市行政の目標として、「人口増」を実現する「ビジョン」や「創生総合戦略」になっているのかと問えば、決してそうではありません。

 「頑張れば人口増に転じることができる」、そんなできもしない幻想を行政が市民に振りまくことが、市民に対する行政責任といえるのか、私は極めて強い疑問を抱きます。
 市長がよく口にする「元気玉」よろしく、市長の気合と願望で人口を増やすことはできないのです。

 しかも、合計特殊出生率が「2.07」となっても、人口増への転化に厳しい見通しを示す専門家もいるのです。

 思い出すのが、「人口減少社会への反抗宣言」改め「人口減少社会に挑む市長声明…人口減少への反撃」です。市長の思慮のない思いつきで朝令暮改となったものです。
 市長の独断専行の失敗を繰り返すのですかと問いたい想いです。

「人口減少に歯止めをかける」…率直なメッセージ伝わるネーミング必要

 行政の「課」のネーミングに、そこまで目くじらを立てなくてもいいのはないかとの声も聞こえてきそうですが、ネーミングの背景に、市長の思いつきと思い込みで、結果、市民に幻想を振りまくような手法と発想は、市民に対する真摯さという点で基本的な政治姿勢が問われていると考えます。

 私は、「人口減少に歯止めをかける。住み続けたい長野を市民とともにつくる」、そんなメッセージが素直に伝わる政策・施策、担当課のネーミングが必要であると考えます。

 「人口減少対策課」という現状のままでよいではないか。「人口増推進課」という課の命名の背景にある、市長の政治姿勢を問う観点から質問しました。

「前向きに考えた」とする市長とは平行線

 市長は、「人口増推進課への名称変更は、人口減少対策をさらに加速化し、重点的に取り組む姿勢を内外に示すもの」と述べるとともに、「名は体を表すという議員の指摘通り名前には意味がある。市民をはじめ多くの方に将来的にプラスに転じていきたいといった意志をわかってもらうためにも前向きな名称が必要と考える」「議員からも様々な意見をいただいているが、理解をお願いしたい」と答弁、平行線のままに終わりました。

 人口減少に歯止めをかけたいという強い意志は共有するものですが、人口増推進と言いながら、人口ビジョンや総合戦略の目標を見直すわけではありませんから、やはり無責任とのそしりは免れないのではないでしょうか。

 私自身は、例えば「人口減少挑戦課」であるとか、あるいは特化して「移住定住促進課」という名称のほうが、市民にもわかりやすく、移住定住を望む首都圏の住民にとってもわかりやすいと考えます。

人口減少しても破たんしない地域社会づくりの視点、大事にしたい

 「長野市版創生総合戦略」は、「地方創生」を掲げる安倍政権の下で自治体が作らざるを得なくなった計画とはいえ、人口減少を確実に食い止める効果をもたらすことを願う一人ではあります。
 もっとも、国の指導で「重要業績評価指標」(KPI)を設定することについて、専門家からは異論も指摘されています。

 「人口ビジョン」を踏まえた長野市版の総合戦略は、「次代を担う若者の希望の実現」と「多様な地域の魅力の発揮」を重点ポイントとし、「仕事の創出と確保」「移住・定住・交流の促進」「少子化対策・子育て支援」「住みやすい地域づくり」「広域市町村連携」の5つを目標に定め数値目標も設定しています。H27年度からH31年度までの5カ年計画です。

 いわば、若者の雇用確保と子育て支援に重点を置く戦略となっている点が特徴です。

 一方で、国が先導し都市間競争を煽っている側面も無視できません。
 人口減少の時代的な流れは変わらないのですから、地方が移住・定住で限られた人口のパイを奪い合うような構図にしない視点を地方が持つことが必要です。

 むしろ、人口が減少しても破たんしない持続的な地域社会、魅力的な地域社会づくりを目標にしたいものです。

 実効性のある戦略、そして施策展開となるよう厳しくチェックしていきたいと思います。