免震ゴム偽装による損害金…相当額1,393万円余で清算へ

 6月市議会定例会の総務委員会で明らかにされていた一件です。
 7月4日の市議会会派総会で改めて市側から説明されました。

ブリヂストン社製に交換された免震ゴム

ブリヂストン社製に交換された免震ゴム

3者合意書で決着?

 東洋ゴム工業㈱による免震ゴム偽装による免震ゴム交換工事(ブリヂストン製に交換)及び工期延長に伴う損害金について、施工者である前田JVと東洋ゴム工業㈱、長野市の3者の間で、損害金相当額の支払いについて包括的に合意し、契約行為により決着させることが報告されました。

 損害金相当額は13,932,154円。えっ!そんなに少ない金額なの?というのが率直な感想です。

 新しい契約の名称は「建築主体第一工区工事における免震ゴム不正に伴う3者合意」というもので、「免震ゴム不正に伴う」とされるものの、損害賠償金の支払い合意書となっていないことがポイントです。

 市側は、損害金相当額について、➊市職員の稼働にかかる経費(東洋ゴム工業との折衝の中で合意した経費の積算方法に基づき算定)、➋工期の遅延にかかる履行遅延損害金相当額(契約書約款で定める計算方法により算定)、➌市職員の出張旅費等その他の経費を積み上げたものとします。

 市の顧問弁護士のアドバイスによる対応とのことです。

 東洋ゴム工業の免震ゴム偽装に伴う市職員の精神的負担・苦痛は損害賠償に盛り込まれていません。

契約による決着は、東洋ゴムの損害賠償責任をあいまいにしないか

 私は総務委委員会で、契約行為による対応は、東洋ゴム工業の偽装・不正に免罪符を与えることになりはしないのか、社会的責任を明らかにするうえで損害賠償責任を明確に問うべきではないかと質すとともに、1,393万円余の積算金額をそれぞれ公表することを求めました。

 市側は、「賠償ではなく三者合意書の契約対応は、市の顧問弁護士のアドバイスによるもので理解願いたい」とするにとどまり、積算金額の明示は、市議会の意思として東洋ゴム側に打診するとしました。

損害金相当額の積算内容、開示されず

 しかし、総務委員会後になりますが、東洋ゴム工業側は、全国の免震ゴム交換工事における対応の前例となること、一部で訴訟となっていることなどから、「企業内情報として開示できない」としてきたそうです。

 工事契約書の約款には「損害賠償条項」があります。この条項に基づき損害金の積算に内容を明らかにしない企業側の姿勢は、全く釈然としません。

交換工事によるピアノの保管経費も東洋ゴム工業負担で

 また、免震ゴム交換工事によりリサイタルホールのピアノ庫が使えなった代替措置経費として、ピアノの保管等に要するすべての経費を東洋ゴム工業側の発注により対応し、市の費用負担は発生していないとしました。

ジャッキアップ工事でクラック(ひび割れ)も

 さらに、免震ゴム交換時のジャッキアップ工事が原因と思われるクラック(ひび割れ)が庁舎・芸術館外壁に発生している件について秋頃にすべて補修する予定であることも明らかにされました。 長野市の費用負担はないとのことです。

 クラックは、0.3ミリ以下のもので長さ1mくらい、5カ所で発見されているそうです。0.3ミリ以下のクラックは構造上問題がないとされているそうですが、本来、1000基のジャッキが必要な交換工事が約半分の500基のジャッキで行わざるを得ず、建物全体が弓なりになったことが原因と推量されています。

 今後、補修したクラック箇所が地震等により再びひび割れ状態になった場合の対応が問われることになるのではないかと考えられます。

免震性能が確保され防災拠点となることを願う

新庁舎1階にある表示

新庁舎1階にある表示


 東洋ゴム㈱の免震ゴム偽装による免震ゴムの交換工事が昨年8月から行われてきましたが、この工事は5月24日で完了しました。

 工期の大幅な延長、免震ゴム偽装、芸術館ホールの見切れ席、案内サイン…等々、何かとネガティブな話題に事欠かなかった庁舎・芸術館。

 それぞれの結末には釈然としないものが残りますが、とはいえ、名実ともに新庁舎・新芸術館が軌道に乗ることになります。

 免震性能が確保され、新の防災拠点としての機能が100%発揮できること、芸術館が市民の文化芸術の拠点となること、願わずにはいられません。

 これからは外構工事が課題となります。

 旧第一庁舎解体後の「広場」のあり方、緑町立体駐車場からの芸術館への安全な動線の確保、庁舎・芸術館周辺の道路改良など、まだまだ課題山積です。