「廃止やむなし-1年間路線維持へ」…長電バスの不採算路線・保科温泉線

集中豪雨による広島市の土砂災害は死者39人、行方不明7人という大災害となりました。犠牲者の皆様の冥福を祈るとともに被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。土砂災害警戒区域が多く設定されている長野市にとっても喫緊に備えが必要です。

さて、20日、市議会は総務委員会を開き、長電バス不採算路線の廃止・減便問題について、長電バス㈱の湯本社長と佐々木乗合バス部長を参考人に招き、審議しました。
私からも、正副委員長に委員会の開催を申し入れていたものです。
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若穂・保科温泉線の維持存続が焦点

焦点は全区間廃止が打ち出されている保科温泉線の存続問題です。
長電バス側は「赤字補てんなど応援の仕方によっては存続もありうる。廃止届は廃止の6カ月前となる9月末でも可能ではある」としながらも、「路線の廃止届は8月末段階で提出せざるを得ない。廃止代替バスやデマンド交通など路線バスとは異なる輸送体系を考えてもらいたい」との既定の姿勢を強調するにとどまりました。

長野市…「廃止やむなし、1年間は路線維持」

これに対し、長野市側は、「廃止届はやむを得ない。廃止届の取り下げも視野に入れながら、運行内容を見直し1年間は路線を維持する」との方針を新たに示しました。
路線維持の1年後以降、「H27年度以降の運行形態については、来年度中に検討する」としました。

いずれも、地域公共交通会議で協議されることになりますが、1年限定とはいえ路線維持の方向性が示されたことは評価するものの、「運行内容の見直し」がどのように行われるのか、利便性がどこまで確保されるのかが次の課題となります。

当面、廃止代替バスの運行に移行か?

廃止を前提にした路線の維持の方法は、当面、廃止代替バス路線として市が財政負担することが考えられます。
川田~長野駅間は通勤・通学の利用者が多いことから、現行の路線の一部、例えば保科温泉~川田区間を廃止代替路線として設定し、全体の路線を維持するようなことが検討されることになるのではないかと思われます。あくまでも推定ですが…。

いずれにしても、保科地域における移動手段の確保、若穂地域と市街地を結ぶ移動手段の確保の両面から交通ネットワークの再構築がこれからの課題となります。

須坂屋島線・牟礼線は隣接市・町の対応を見て…

また、隣接する須坂市や飯綱町をまたぐ地域間幹線である須坂屋島線、牟礼線については、須坂市・飯綱町の考えを把握し対応を検討するとしました。
須坂市・飯綱町では21日(今日です)に、それぞれ地域公共交通会議が開かれ、「自治体が赤字補てんし路線を維持する方針」が確認されることになりそうです。

存続に向けた努力を質す

私は、長電バスに対し、「路線廃止の協議の申し入れまでに、路線維持のためにどんな経営努力、利用促進の取り組みが交通事業者として行われたのか」、「長野電鉄グループの3月末の連結決算では増収増益で8億9千万円の純利益を上げている。グループ発祥の交通事業を重視し、企業全体で交通事業を守り利用者の利便性を確保するという考えはないのか」、「廃止届は9月末が可能であり、路線の維持に向け、1カ月間の猶予を持って、市行政、路線沿線住民との協議を継続すべきではないか」などを質しました。

長電バス側は「労働者の賃金は県内交通事業者の中でも最下位、ギリギリの経営である。グループ全体の増収増益は自動車販売など消費税引き上げによる駆け込み需要によるもので、子会社としては独立した経営が求められている」と述べ、「一定の方向性が見えれば1カ月間の猶予を持つことは可能だが、現状では8月末を目途としたい」との考えを改めて示しました。

また、6月26日の地域公共交通会議でのまとめ、すなわち「バス路線については廃止ありきではなく、存続の方向で検討すべきではないか、また地域がどのように利用促進策に取り組んでいくのか、といった方向で今後検討していく」とのまとめの受け止め方も質しましたが、明確な答弁は示されませんでした。

長電バス側に「廃止ありき、後は行政任せ」との姿勢がにじみ出ているようで、釈然としません。

また、長野市に対しては「 “赤字の1/2を補助する路線バス維持対策補助金”について、平均乗車密度5人未満という基準を緩和し継続する考えはないのか」を質しました。

市側は「もともと5年間のサンセット事業に位置付けてきた。補助金を継続しても赤字は解消されず、長電バス側が路線を維持する動機づけにはならないと判断している」とし、補助金の継続について消極的な姿勢を示しました。

さらに、委員会としては、長電バスに対し、廃止・減便を行った場合の収支の改善見込み、廃止によって移動手段がなくなる利用者の数などを資料として提供することを求めることになりました。

「生活路線バスの休廃止に対する方針」示す

この日の総務委員会で市側は、これまで生活路線バスの休廃止に対する明確な方針がなかったとし、基本的な考え方をまとめ示しました。アルピコ交通の不採算路線の見直し問題も浮上する中、公共交通ネットワーク全体に関わる「注目」すべき方針です。

市が赤字補てんする廃止代替バスの運行は、地域で守るという意識付けが希薄になり、事業としても継続的な運行が困難とされていることから、市が関与して赤字補てんしている路線との公平性・整合を考慮する必要があるとした上で、次の三つの考え方をまとめました。

➊中山間地域や交通空白地域の移動手段は、福祉的な役割(セーフティネット)を持つため、行政としては確保・維持に向けて一定の責務を持って取り組む。
➋単に赤字補てんして維持・確保していく手法は、地域間の公平性を欠く面がある。
➌そのため、地域とともに移動手段を確保・維持していく運送システムに移行して地域の移動手段を確保していく。

廃止代替バスをはじめ、空白地域の乗合タクシーなど市が赤字分を全額補助し運行している公共交通機関について全面的に見直す考えを示したもので、具体的な事例としてNPO等が運営する過疎地有償運送などをあげています。

交通政策基本法が制定され、長野市版公共交通ビジョンの策定が進む中、長野市全体の地域公共交通ネットワークの在り方、中山間地域と市街地を結ぶ幹線ネットワークと中山間地域・生活圏域内を結ぶ地域循環ネットワークを大局的に考えていく必要があると考えます。

日常生活に必要不可欠な移動手段の確保を目的とした交通政策基本法が、国はもとより地方公共団体=自治体の責務を前面に打ち出していることもしっかりと押さえた対応が問われることになります。

アルピコ交通も不採算路線の見直し

アルピコ交通㈱が7月18日に不採算路線の見直し協議を市に申し入れました。廃止提案路線として、紙屋線・犀北団地線・北屋島線・大豆島線の4路線を提起するとともに、中心市街地ぐるりん号の欠損補てんの見直し、おでかけパスポートの事業者負担率(現行・原則1/3負担)の見直しを求める内容です。

市側は「アルピコからは“廃止提案”とされているが、路線存続に向けて協議していくことを確認している」と述べ、利用促進に向け各住自協をはじめ路線沿線住民の意見を聴きながら、事業者と協議していく考えを示しました。

私自身は、地元の犀北団地線が含まれていることから、当面、安茂里地区住民自治協議会と相談し、アルピコ㈱の説明会を求めていくことにしています。

本来はアルピコ側から事前に説明協議がされるべきところですが、待ってられないので、住自協から呼びかけることにしました。9月25日予定です。

アルピコ交通の不採算路線問題は、改めてレポートします。