中学生職場体験に駐屯地「ほふく前進」

日本列島を縦断した台風19号は、各地に大きな爪痕を残しました。必死の捜索活動が続けられている御嶽山では、現場の山頂付近は台風の暴風雨にさらされ、捜索の痕跡がなくなる恐れがあると報じられています。一日も早い完全救出を願うばかりです。

さて、9日の話です。9日は、松代大本営地下壕の案内看板を巡る長野市への申し入れもあり、今頃の記事になってしまいました。

自衛隊松本駐屯地が中学生の職場体験を受け入れ、戦闘行為である「ほふく前進」訓練を体験させていることが判明した問題で、県護憲連合や県教祖などで県教育委員会に「中学生に駐屯地での職場体験をさせないよう」申し入れました。

*ほふく前進とは?…軍隊に於いては、匍匐前進と呼ばれる移動方法がある。これらでは、隠密性や遮蔽性の効果があり、敵に発見されにくく、また飛来してくる銃弾の被害を抑える。歩兵にもとめられる基本的な技術の一つである。

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対応した伊藤教育長は「各市町村教委や学校が内容を考えて対応しているもので、教委や学校長の判断に委ねる」として県教委としての認識を示すことを回避しました。最後には「市町村教委に丸投げということだ」と開き直る始末です。

また、各市町村の駐屯地職場体験の実施状況の把握を求めましたが、「予定はない」と退けました。
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県教組の調べによると、松本、伊那、飯田の3市の中学校で、駐屯地での職場体験を実施しており、今回も保護者からの情報提供で事実が判明したものです。

県教委として、市町村教委の自主性を尊重する姿勢は必要だとしても、体験内容にいかなる教育的意義があると考えるのか、平和教育の観点からどう評価するのか、認識を示すことは重要です。県教委の責任放棄です。「安全な体験」とか「体力づくり」といった一般論で済まされる問題ではありません。

職場体験は、「生きる力」を養うキャリア教育の一環で中学生2年生を対象に民間の職場体験を総合教育のカリキュラムに組み込んでいるものです。
3日間をコースとする駐屯地の職場体験実施要領には「体験内容」として「基本教練、救急法、コンパス行進、自衛隊の内容、部隊食、部隊訓練」などと記されていますが、「ほふく前進」の有無は記載されていません。

職業選択の自由という観点から、自衛隊駐屯地が職場体験の受け入れ先となること自体は否定するものではありませんが、戦闘行為訓練である「ほふく前進」を体験に組み込んでいることは、職場体験の教育的意義から逸脱するものといわなければなりません。

松本市教育委員会は、松本地区護憲連声などの申し入れに対し「職場体験の詳しい内容を調べ、対応が必要か協議したい」としています。

ちなみに長野市教育委員会学校教育課に問い合わせたところ、「駐屯地からの申し出はあるが、市内で実施している中学校はない」との回答でした。

集団的自衛権の行使容認により、米国の求めに従い海外の戦地に派遣され武力行使を行うことになってしまう自衛隊。日米防衛協力の指針・中間報告では「切れ目のない日米軍事協力の一体化」が超法規的に推し進められ、「戦う自衛隊」へと確実に変貌する情況のもとで、駐屯地の中学生職場体験を考える視点は欠かせません。

全県状況を調査し、各市町村教委に対し、見直しを求めていくことが重要です。