子育ち・子育て支援で「提言」へ…市議会特別委員会

18日、市議会の「子育ち・子育て対策特別委員会」が開かれ、子育ち・子育て支援に関する約1年間にわたる調査と研究を踏まえ、市及び社会保障審議会に提案する「提言」について協議しました。
「子ども・子育て支援新制度」を含めて、かなり長くなってしまいましたが報告します。下図は内閣府が作成した「子ども・子育て支援新制度」シンボルマークです。
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国基準を上回る質の高い教育・保育を

一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会をめざして、H24年8月に「子ども・子育て関連3法」が成立しました。
*子ども・子育て関連3法=子ども・子育て支援法、認定こども園の一部を改正する法律、関係法律の整備等に関する法律。
この法律に基づき、H27年4月から「子ども・子育て支援新制度」が全国的にスタートします。
新制度は、保護者が子育てに第一義的責任を有するという基本認識のもとに、幼児期の教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することをめざすものとされます。
また、新制度では、子どもや子育て家庭の状況に応じた様々な支援を市町村が中心となって行うことになります。

特別委員会では、この支援新制度を具体化するため市町村に策定が義務付けられている「子ども・子育て支援事業計画」にスポットをあて、まとめた「提言」は、中山間地域を多く抱える長野市にあって、全ての子どもに質の高い教育・保育を受ける機会が保障されるよう、国の基準を上回る長野らしい制度設計を求めることを柱としています。
8月25日、こども未来部長に「提言書」を提出することになりました。「提言書」は確定次第、報告したいと思います。

求められる「子どもの最善の利益」

新制度は、①急速な少子化の進行、②核家族化や高齢化、地域での人間関係の希薄化などによる子育ての孤立感と負担感の増加、③都市部を中心とした保育所に入れない深刻な待機児童問題などを背景に、「子どもの最善の利益」が実現される社会にしていくために、今までの制度を見直すものです。

次の3つが柱です。
質の高い幼児期の学校教育・保育を総合的に提供する。
幼児教育と保育を一体的に行い、幼稚園と保育所の良さを併せ持つ「認定こども園」の普及を進める。
保育の量的拡大・確保、教育・保育の質的改善
地域のニーズを踏まえ、「子ども・子育て支援事業計画」を定め、施設型給付施設(認定こども園・保育所・幼稚園)と地域型保育事業(家庭的保育・小規模保育・事業内保育・居宅訪問型保育)を組み合わせて、市町村が計画的に整備する。
地域の子ども・子育て支援の充実と継続
地域子ども・子育て支援事業(利用者支援・一時預かり・地域子育て支援拠点事業など法定13事業)の充実を図る。

複雑な制度…わかりやすく周知徹底を

これにより、長野市では、教育・保育の提供区域が設定され、区域ごとに必要な教育・保育の必要量を算定し施設整備を図ることになります。
また、公費負担は、確実に教育・保育に要する経費に充てるため、利用者への直接給付ではなく、施設に対する給付となります。

現行の幼稚園・認定こども園・保育所の施設の在り様は保護者から見ると今のところ大きく変わることはありませんが、保育を受ける場合には「施設の利用時間」が保育の必要性・必要量に応じて変わることになります。
さらに、「保育の必要性の認定制度(支給認定制度)」が導入されたことにより、保育所の入所認定基準は「保育に欠ける事由」から「保育を必要とする事由」に変わり、幼稚園・保育所に入るためには「支給認定」を受けることが必要となります。

「支給認定」は次の3区分です。
*1号認定=満3歳以上
  「学校教育のみ(保育の必要性なし)」の認定を受けた就学前の子ども
*2号認定=満3歳以上
  「保育の必要性」の認定を受けた就学前の子ども
  長時間利用(最長11時間)と短時間利用(最長8時間)のいずれかが適用
*3号認定=満3歳未満
  「保育の必要性」の認定を受けた就学前の子ども
  長時間利用(最長11時間)と短時間利用(最長8時間)のいずれかが適用
【参考】子ども・子育て支援新制度の概要(内閣府)
    長野市が発行している保護者向けリーフレット

利用料金は据え置きで

幼稚園・保育所の利用料金は、所得に応じた負担を基本として、国が決める水準を上限に長野市が設定します。利用料金を検討する市の審議会では「原則据え置き」で確認されています。また、第3子以降の3歳未満児は利用者負担を無償とする(所得制限あり)支援措置が導入されることにもなります。

児童館・児童センターの利用料金の有料化の検討という課題は残りますが、利用料金の原則据え置きの決定は歓迎したいと思います。H28年度中に見直されることになります。
いずれにしても、保護者から見ると、制度が複雑になることは間違いありません。10月から「認定申請」とともに「入園申込み」が始まる予定ですから、わかりやすい制度の説明と周知徹底が求められます。

不透明な財源措置

教育・保育の「量」の確保と「質」の改善のためには1兆1,000億円の財源が必要とされていますが、当面、消費税増税に伴う増収分の内、約7,000億円が恒久的な財源として新制度に充てられることになります。
約7,000億円の内、約4,000億円が保育の「量」の拡大・確保に、約3,000億円が保育の「質」の向上を図るために充てるとされます。

消費税増税の増収分は、来年10月の消費税10%引き上げを前提にしていること、さらに、それでも約4,000億円不足する財源をどうするのか見通しが立っていないことに先行き不透明感が拭えません。
新制度の実効性が懸念される大きな要因となっています。

教育・保育の「質の改善」がカギ

制度が複雑になったとしても、重要なことは、すべての子どもに質の高い教育・保育が提供されることにあります。「質」の改善・向上がカギです。

少子化が深刻な中山間地域においても必要とされる十分な保育が提供されること、幼稚園教諭・保育士等の人材確保や職員の処遇・配置の改善、病児・病後児保育の充実、発達障害児への支援の拡充、放課後の居場所である児童館・児童センター・学校施設を利用する子どもプラザの施設整備など、計画的な充実が「支援事業計画」に盛り込まれることが求められます。「提言書」で強調した事柄です。

子どもの貧困、子どもの権利に着眼

子ども(17歳以下)の貧困率が16.3%(厚生労働省「H25年国民生活基礎調査」)に上ることが明らかになりました。2003年(H15年)の13.7%から徐々に上昇し、過去最悪を更新しています。貧困率が相対的な指標とはいえ、子どものうち6人に1人が貧困という数値であり、学校のクラスでは平均的に5人程度いることになります。
子どもの貧困は、母子家庭や父子家庭だけの問題ではなく、子育て世代の全体的な貧困が背景にあると考えなければなりません。子育ち・子育て支援に不可欠な視点となっています。

また、所在が分からない18歳未満の子どもが、県内に85人、長野市内で14人がいることが県の調査で明らかになりました。外国籍の子どもが約半数とされています。虐待などにより所在不明となっている可能性は否定できません。子どもを取り巻く深刻な環境の断面です。

さらに、子どもの権利を尊重し擁護する視点も不可欠です。県では「長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例」が制定されましたが、子どもの人権救済機関の設置など前進面があるものの「権利条例」といった視点からは距離感があります。
長野市版子ども権利条例の制定が求められるところですが、これからの課題です。

「提言」では、着眼点として指摘することにしました。

子育ち・子育て対策特別委員会の継続を

今年の9月議会で、特別委員会の設置が再検討されることになります。来年4月からスタートする「子ども・子育て支援事業計画」の実施状況のフォローアップと対策が必要なことから、「子育ち・子育て対策特別委員会」の継続を要望しています。

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