「廃止決定を尊重する」…市長答弁の虚しさ

 23日、長野電鉄屋代線の廃止決定を受けて、市議会公共交通対策特別委員会で鷲沢市長と酒井活性化協議会長(副市長)に「屋代線の実証実験の継続を再度求める要望書」を提出しました。

 市長は、「協議会の結論を尊重して進める。廃止決定を受けて長野市としてどうするのかを検討したい。実証実験の継続はありえない」としました。

 要望書では、「沿線住民の合意がない中、多数決はふさわしい方法だったのか」「廃止という活性化とまったく反対の結論を導き出すことは、値域公共交通活性化再生法は想定していない」「総合連携計画に掲げた地域と一体となった鉄道を支える仕組みづくりは絵に描いた餅であった」「地域の課題は地域で解決し、市はその支援を行う都市内分権と矛盾しないか」など法定協議会の協議や法律との整合性に対する5つの「疑義」を指摘し、「総合連携計画の原点に立ち返り、屋代線の再生に向けた議論をし直すべき。実証実験を継続すべき」ことを求めました。

 法定協議会の協議については、市長も会長も「沿線の代表も加わり、民主主義のルールに基づき進められている。きちっと対応してきた」と正当性を主張。都市内分権との矛盾に関しては「地域の要望が全てではない。地域だけにとらわれず長野市全体の課題として議論した結果。」と述べ、いとも簡単に退けました。

 予想された見解とはいえ、住民合意より多数決を優先させる姿勢、自治協の主張・提案を一顧だにせず退ける姿勢には、何とも「虚しさ」を禁じえません。自治協の主張について、市長が「承知していない」と発言するに至っては、市民の声に耳を傾ける真摯さが欠落しているといわなければなりません。

 明日24日は、活性化協議会が開かれ、「バス代替」の運行について協議され、長野電鉄が「廃止届」を提出するお墨付きを協議会として付与することになるのでしょう。沿線自治協代表の皆さんの対応が注目されます。私自身、対応方について自治協の皆さんと意見交換していますが、いろんな住民の意見に基づき対応しなければならない自治協としての苦渋が理解できるだけに悩ましいところがあります。

 協議会後には特別委員会を開き、「バス代替」が有利とした「費用便益分析」について、パシフィックコンサルタントを参考人に招き、調査することにしています。「費用便益分析」の問題点を洗い出したいと考えていますが、専門的な分析のため、正直なかなか難しい作業です。

【長野電鉄屋代線の実証実験の継続を再度求める要望書】

 平成23年2月2日に開催された長野電鉄活性化協議会において、屋代線の今後の方向性は、委員による投票の結果、わずか3票差により、廃止してバス代替との決定がなされました。この結果は、実証実験の継続を強く求めていた当委員会としては、誠に遺憾であり、受け入れ難いものであります。また、実証実験の継続は、沿線住民も強く求めていたところであります。

 協議会での決定を踏まえて、当委員会は、屋代線沿線である松代地区への出張委員会を含めて、委員会を2回開催する中、委員からは何点かの疑義があるとの指摘が出されました。

 1点目は、今後の方向性の結論の出し方であります。今回、委員による無記名投票で結論を出しましたが、沿線住民の合意がない中、果たして多数決はふさわしい方法だったのでしょうか。

 2点目は、協議会の委員構成であります。住民代表として選出された委員の一人が、行政の理事者でありました。理事者も一住民と言えばそれまでですが、行政は行政として選出されておりますので、より幅広い意見を聴くためにも、一般の住民の方を選出するべきでありました。

 3点目は、法律との整合性であります。根拠法令である、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律は、地域公共交通の活性化と再生を図ることを目指し、協議会の取組を国が支援するものであります。今回のように、協議会が廃止という活性化と全く反対の結論を導き出すことは、法律では想定していないものと思われます。

 4点目は、総合連携計画の位置付けであります。協議会では、屋代線の活性化と再生を目的とした、3年間の総合連携計画を作りながら1年間しか取り組まず、たった3か月間の実証実験の結果などだけで、なぜ結論を急いだのでしょうか。総合連携計画に掲げた基本方針の一つである、地域が一体となった鉄道を支える仕組みづくりは、絵にかいたもちであったと言わざるを得ません。

 5点目は、都市内分権との矛盾であります。長野市が進める都市内分権は、地域の課題は地域が活動することで解決し、市はその活動を積極的に支援するものとしております。しかしながら、沿線住民が屋代線の問題を地域の課題としてとらえ、一生懸命解決しようと取り組んでいるにもかかわらず、市の支援は住民が望むものではありません。

 協議会での決定は事実としてありますが、以上のような疑義があることから、もう一度総合連携計画の原点に立ち帰り、事業者、住民、そして行政が一体となって、屋代線の再生に向けた議論をするべきです。

 ついては、来年度も引き続き実証実験を継続するよう改めて強く要望いたします。

平成23年2月23日 

 長野市長 鷲 澤 正 一  様

                長野市議会公共交通対策特別委員会  委員長 岡 田 荘 史