公共交通とは何か?…市長に質す【3月議会の質問より➋】

 「3月市議会定例化の質問より」の第二弾。
 「待ったなしの公共交通ビジョンの具体化、どうするのか」です。

 1年前の3月議会では、より良い公共交通ビジョンの策定に向けて、路線バス等の維持存続スキームの見える化や公共交通の人口カバー率・公共交通分担率などの指標の設定、市独自のノーマイカー事業の展開などを提案し、委員会での補強意見も含め、多くの指摘がビジョンに盛り込まれることになりました。
 【関連】150310「3月定例会・質問より➋…より良い公共交通ビジョン策定に向け提案」

 昨年6月に策定された公共交通ビジョンに基づき、新年度では地域公共交通網形成計画、再編実施計画を策定していく方針が示されています。

長野市公共交通ビジョンのスローガン

長野市公共交通ビジョンのスローガン


 計画づくりにはさらに1年間を要し、その具体化はその先になり「先送り」となってしまうことに、危機感を抱いています。

 交通事業者からは、運転手不足の問題が急浮上する中、不採算路線の廃止問題が後を絶たないことが深刻に懸念される中、地域公共交通の危機打開に時間的な余裕がないと考えるからです。

 そこで、公共交通ビジョンの具体化を急ぐ観点から、公共交通の位置づけや長電バス・保科温泉線の新しい運行形態の意義と課題、利用環境の整備や利用促進策、公共交通利用促進条例の制定などについて質問・提案しました。

 3回に分けて報告します。
 [第1回]…公共交通とは何か
 [第2回]…若穂・保科温泉線の新しい運行形態の教訓は何か
 [第3回]…公共交通への利用転換、公共交通利用促進条例を提案

公共交通とは何か?…改めて市長に質す

 市では、これまで、地域公共交通について、「都市のインフラ」(バス路線網再編基本計画)であるとか、「都市の装置」(総合連携計画)、「日常生活に必要不可欠な都市機能」(公共交通ビジョン)と公共交通に関わる計画が策定されるごとに表現を変えてきています。首長やコンサルタントの問題意識が反映されているものと考えます。

 そして今日、交通政策基本法が制定、改正版地域公共交通活性化再生法が施行され、➊「自治体が中心となって」、➋「まちづくりと連携して」、➌「面的な公共交通ネットワークを再構築」することが求められてきています。

 公共交通とは何か、生活を支える地域住民の足を再構築するために行政に何が求められているのか、採算の取れない生活路線バスは淘汰されても仕方がない、乗ってもらえなければ廃止・減便もやむを得ないと考えるのか、市長の言葉で市長の考えを質しました。

市長…「生活バス路線の存続は喫緊の課題」

 市長は、「公共交通は、生活を支えるための大切な機能であり、自らが移動手段を持たない子どもたちや高齢者などの通学・通院・買い物といった福祉的な役割を担っている」と述べた上で、「路線存続のためには、いかに多くの方々に利用してもらえる路線へと変えていけるのか、自家用車から公共交通への乗り換えができるのかなど、利用促進策や運行手法について、地域住民、事業者、そして行政、学識経験者等が真剣になって知恵を絞り、取り組んでいかなればならない喫緊の課題である」と基本的な認識を示しました。

 ここまでが、いわば行政が用意した答弁書の内容です。共通認識に立つところです。

「いつまでも乗らなければ、もったいない」とも答弁

 市長は、「私の言葉で聞きたい」との質問に対する答えとして、「若穂・保科地区のアンケートでは、どんなに便利にしても9割が乗らないと答え、信毎の2000人市民調査では日常の足として98%が車、バスが4%」、「乗れ乗れと言っても乗らない。現実、車ほど便利なものはない。この状況の中で公共交通をどうするか、市民のニーズに合わせた対応が必要」と強調し、最後には「いつまでも乗らないところに空車を運んでいればもったいない」と述べました。

 若穂地区での住民アンケートの引用部分はかなり乱暴ですし(というか、記憶ではこんな数字ではなかったような気がしています)、信毎の市民調査からの引用部分は、全体が100%を超えているような紹介の仕方で、極めて乱暴でかつ間違った答弁です。
 質問の場面では、きちんとチェックできていなかったのですが、議事録を読んでみて唖然としている状況です。
 また、出典元が不明なままです。(現在、調査中です。改めて報告します) 
 
 いずれにせよ、「最後の部分」が市長の本音ではないかと推察します。

 前段の「公式答弁」と、後段の「自分の言葉」との間には、矛盾と乖離があります。

“そろばん勘定”が優先?

  “そろばん勘定”で公共交通を考える、これでは、福祉的役割を担う地域公共交通の維持存続はできません。

 市民のニーズに合わせた地域公共交通の在り方を検討することは必要なことです。
 しかし、「乗らない人はいつまでもたっても乗らない」と切り捨ててしまえば、何のための公共交通政策なのか、ということになってしまいます。

 高齢者や障がい者、学生などの交通制約者の皆さんにとっての公共交通の基盤を整備するとともに、便利なマイカーを少し我慢して乗り換えを進める、これが行政の責任です。
 まちづくりや地球温暖化防止策と連動して、公共交通中心のまちづくりを考えるべきです。

 交通政策基本法の意義、改正版地域公共交通活性化再生法の意義をしっかり踏まえて取り組むよう、市長にくぎを刺しました。

 ニーズに対応するとともに、ニーズを作り出す知恵が必要です。
 利用転換・利用促進を図るために、インセンティブを含め政策誘導しなければ、今日の危機的な状況は打開できません。

 加藤市長を相手に、公共交通政策を論じ合うには、なかなかハードルが高いことを痛感しました。
 尤も、相手に不足はありませんが…。

 引き続き、質し続けていきたいと思います。