長野市公契約等基本条例(案)骨子のパブコメに244件!

9月に実施された「(仮称)長野市公契約等基本条例(案)骨子」に対するパブリックコメントの結果がこのほど明らかになりました。

➡意見募集の結果(概要及び意見一覧)は下記の長野市サイトへ。

先の9月議会でも質問に取り上げ、より実効性のある条例制定に向け問いただしてきた重要課題の一つです。

9月定例会の一般質問で、一つの論点となった「(仮称)長野市公契約等基本条例」の制定問題。 理念条例としてまとめられた条例制定の意義を再確認...

244件の意見、関心の高さ示す

パブコメの意見総数は244件。近年のパブコメに例のない多さで、公契約に関わる事業者、労働者の皆さんの関心の高さが伺えます。

意見の内容別に区分すると、骨子に対する賛否を含めてですが、市独自の賃金下限額の設定に関する意見が52件(21.3%)、労働環境の報告に関する意見が42件(17.2%)、市及び受注者等の責務に関する意見が36件(14.8%)、条例の検証に関する意見32件(13.1%)、労働者の定義に関する意見が22件(9.0%)、労働者からの申出に関する意見が17件(7.0%)、市の措置に関する意見16件(6.6%)下請負者等との契約に関する意見が14件(5.7%)、条例の目的・基本理念を含むその他の意見13件(5.3%)です。

わかりづらいグラフですが、意見の傾向、注目度がわかればと思います。

労働者の定義の明確化や相談窓口の設置…50件、条例案に反映

パフコメに対し市は、条例案に反映する意見は50件とし、「労働者に一人親方を含むことの明確化」(労働者の定義)、「労働環境の向上の明確化」(基本理念)、「労働者の相談窓口の設置」(労働者の申出制度)、「下請負契約における元請負者の責任の明記」の4点について、条例案に反映するよう検討するとしました。

相談窓口の設置の規定については、パブコメ私見の中でも指摘していた事項で、4点の条例規定化に異論はありません。

条例で規定する「公契約」が、建設工事請負契約や業務委託契約にとどまらず指定管理者制度に基づく指定管理協定も対象としていること、また労働者の範疇も、重層的な下請け構造に鑑みすべての下請け労働者や一人親方、派遣労働者も対象としていることなどを含めて明確化されることを求めていきたいと考えます。いずれにせよ、条例案において明確となるようチェックが必要です。

「規則や要綱で検討」が6件

また、条例案には反映しないが規則・要綱等において検討するとした意見を6件とし、下請負契約における自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」の遵守や労働環境報告書の簡素化、報告書への雇用形態の属性の追記などを検討するとしました。

いずれも重要な事項です。ただし、労働環境報告書の簡素化は、事務負担等を考慮しつつも、労働環境の重要事項の的確な把握につながるような工夫が必要でしょう。

また、「自営型テレワークガイドライン」の遵守については、業務委託で市の仕事を請け負う方から相談を受けてきた事柄でもあるため、発注者側の責任としてしっかりと対応できるようチェックが必要です。

ホームワーカーズウェブは、自営型テレワーク(在宅ワーク)に関する総合支援サイトです。ここでは、自営型テレワーク(在宅ワーク)等に関する情報を掲載しています。

条例案と併せ、「規則」や「要綱のチェックも欠かせません。

市独自の賃金下限額の設定には賛否両論、拮抗

一番注目された「市独自の賃金下限額の設定」については、設定を求める意見が24件に対し、設定すべきでないとする意見が28件と、ほぼ拮抗する意見が提出されました。検討委員会での議論における賛否両論が、パブコメにも反映したものと考えるべきでしょう。

しかしながら、「設定すべきでない」とする理由に、「市役所が賃金水準で介入すべきでない」「経営の自由度が狭められる」「公契約と民間契約、熟年技術者と若年技術者の間で不整合が生じる」などがあげられている点については、公契約等基本条例の制定趣旨の理解が進んでいないように思われます。

最低賃金法に基づく最賃が保証されていれば問題ないとする意見と受け止めますが、最賃順守のみの賃金では、建設業界の担い手不足は解消されません。発注者責任において、適正な予定価格を設定し、最低制限価格のさらなる引き上げなど入札方法の改善によって、下請けにまで、暮らせる賃金が保証され、担い手の定着を図る仕組みは、経営者側にも労働者側にも必要なことでしょう。

こうしたことによって、地域での雇用を確保し地域経済を活性化することが可能となります。地方自治体が、適正な賃金や適正な労働条件を確保することを義務づけて業務を委託することによって、質の高い公共サービスが図れるとともに、下請け孫請けとなる地域の中小零細企業の経営や労働者の労働条件が引き上げられ、その結果、税収も向上することになるのです。

公契約条例は、そもそも、市が強権的に下限額以上の賃金支払いを命じるものではなく、契約自由の原則に基づき、契約者双方の合意により効力を発生させようとするものです。こうした理解を広げていくことが大切でしょう。

条例の検証・見直しに関する意見32件

条例案骨子が、条例の運用の検証について「必要に応じ(任意の)協議の場」を設置することに対し、「市の附属機関(審議会)の設置」を求める意見が18件、また、条例運用を検証し「3年~50年の期間内において賃金型の条例にステップアップする見直し規定」を求める意見が13件寄せられています。

「条例の見直し規定は必要ない」との意見は1件のみでした。

これに対し市は、「条例検討委員会の議論を踏まえ、常設の附属機関は設置しないこととしたもので、条例11条に規定する協議の場において責任を持って対応する」「市独自の賃金下限額を定めないこととしたことから、現時点ではステップアップしていくことは想定していない。社会情勢の大きな変化など考慮すべき課題が生じた場合は、改めて見直しを検討する」と整理するにとどまりました。9月議会での私の質問に対する答弁そのままです。

条例の検証の場の在り方や条例のステップアップに関する意見が31件(13%)に及ぶことを市側は重く受け止めるべきです。

少なくとも、条例運用の検証過程において、下請段階における賃金の実態を広く検証するとともに、公契約条例の制定趣旨について、労使を含めた相互理解が進むような取り組みが特段に必要であると考えます。

12月議会に向けて

11月26日から始まる予定の12月市議会定例会に条例案が提出されます。理念条例とは言え条例制定そのものは前向きに評価しています。

課題を残しつつも、条例案が可決されることは間違いありません。一方で、パブコメの結果を踏まえると、条例のステップアップ・見直しを付帯意見とするような方向性は極めて難しいとも言えます。

働き方改革関連法や新・担い手3法のもと、重層的な下請負構造にある労働者の皆さんに適正な賃金が支払われ、その事によって、担い手不足の解消、雇用の安定、地域経済の活性化につながるよう、条例の理念に基づき実効性を保持できるよう、規則や要綱を含め、できる限りの提案を模索していきたいと思います。