全国市議会議長会研究フォーラムin長野に2,000人

10月19日~20日、第17回全国市議会議長会の研究フォーラムがホクト文化ホールで開かれました。全国から2,000人を超える市議会議員が集いました。

テーマは「デジタルが開く地方議会の未来」

DX(デジタル・トランスフォーメーション)が国を挙げての課題になる中、地方自治体行政においても、デジタル技術を活用することで、市民の利便性を高め生活の向上を図る施策やシステムの導入を実現していく行政DXの動きが本格化しています。議会も同様です。市民に開かれた議会、市民との双方向での対話、市民の生活向上につながる市議会のデジタル化のこれからを考えようというのがテーマです。

基調講演では、㈱経営共創基盤グループ会長で㈱日本共創プラットフォーム代表取締役社長の冨山和彦氏が「コロナ後の地域経済」と題して講演。「グローバル競争の中で日本経済・企業の地位が低下している。日本経済復興の本丸はローカル経済圏、中堅・中小企業経済圏にある」と指摘、ローカル産業の生産性、収益性を抜本的に改善していくことが重要」と強調しました。㈱経営共創基盤は地域公共交通の維持存続に向け地方の路線バス事業の統合・再編に取り組んでおり、東北の「みちのりホールディングス」で知られています。松本市の電鉄・バスの公設民営化の検討にも経営共創基盤が参画しています。

みちのりホールディングスの取り組みなどから「地道な改善改良の徹底の先にDX的解決が自然に浮かび上がってくる、再編によるベストプラクティス(最も効果的な方法)の横展開やスケールメリットの追求で、単独ではなしえない改善効果を生み出すことができる」とし、民営バスの将来性を強調。具体的には、利便性と収益性をともに高めるためにICカードの導入、ドライブレコーダーによる事故分析、バスロケーションシステム、AIを活用したダイナミックルーティング(路線バスのデマンド化)、貨客混載、自動運転への備え、顔認証おもてなしサービスの事業化が問われるとしました。なかなか刺激的なお話でした。東北の公共交通、視察に行きたいものです。

「地方議会のデジタル化の現状・課題と将来の可能性」をテーマにしたパネルディスカッションでは、岩崎直子氏(早稲田大学電子政府・自治体研究所教授)、牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)、湯淺墾道氏(明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授)に寺沢さゆり氏(長野市議会議長)も加わり、それぞれの立場から課題認識、問題提起が行われました。

コロナ禍によって、議会のデジタル化、オンライン議会に対応できる態勢づくりなどに迫られ、全国的に動きが活発になっています。

議会のデジタル化の目的は、あらゆる災害時にも議会機能を十分に発揮し、住民とのコミュニケーションを確保することにあること、オンラインによる議会運営で議員のなり手の幅を広げることにつながること、デジタル化にたけた人材育成の重要性が指摘されました。

タブレット端末の導入や、災害や感染症蔓延時の委員会のオンライン開催、議会報告会のオンライン開催など、議会のデジタル化を如何に市民との対話を広げることに活用していくのか、改めて課題を痛感しました。

また、議会の委員会はオンライン開催可とされていますが、本会議は不可とされています。国レベルの対応が問われる課題でもあります。

長野市議会では、タブレット端末の導入、オンライン委員会を可能とする条例改正、模擬オンライン委員会の施行、また、今年初めて市民と議会の意見交換会をリアル参加とオンライン参加のハイブリッドで開催するなどの取り組みを進めてきていますが、先進議会の取り組みを参考にさらに充実させていきたいものです。

一方、例えばスマホの普及率や使い方などデジタル格差という課題にもしっかり着目し対策を講じていかなければなりません。

今回のフォーラム開催にあたり、開催市の議会として「おもてなし隊」を編成し、揃いの法被を着て長野駅や会場でのお迎え、開会総会のプレ企画で、松代藩の甲冑隊(これも議員です)のもと、謡と木遣を披露。結構、真剣に練習しました。お陰様で、長野市議会を挙げて歓迎のおもてなしができたのではと思っております。(事務局から写真が届きました)

ホクト文化ホールのある若里公園の紅葉

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