12月議会代表質問より➌…いじめ重大事態、速やかな再調査を質す

長野市で初めて「いじめ重大事態」と判断されたH26年5月に発覚した当時小学校1年生のいじめ事案は、市教委の下で第三者委員会による調査が行われてきましたが、今年8月に被害児童保護者から市長部局における再調査が申し立てられました。

昨日21日の市議会経済文教委員会で、教育委員会は、H26年入学後間もない5月に発覚した小学校1年生のいじめ事案について、いじめ防止対策推進法...

教育委員会における第三者委員会の調査過程及び調査結果に対する信頼関係が構築できず、調査におけるいじめの事実認定等に対する不信感から、その中立性、公平性に疑義を訴えているものと推察されます。「推察される」とするのは、踏査報告書等が保護者の同意が得られず非公開とされ、いじめの実態・実相をはじめ詳細な経過について議会にも明らかになっていないからです。

事案の発生から7年余も経過しています。被害児童にとって極めて不幸な顛末であるとともに、加害児童にとっても同様と思われます。また、いじめ防止に対する取り組みへの不信にもつながりかねない事態と指摘せざるを得ません。

速やかに再調査の着手を。保護者が求める委員の選定、意見陳述の機会の保証に誠実に応えるよう求める

H26年5月に発覚した当時小学校1年生のいじめ重大事態について、被害児童保護者から市長による再調査が申し立てられた。いじめの発生から7年余も経過している。被害児童及び保護者に寄り添い、再調査に速やかに着手するとともに、被害児童保護者が求める委員の選定、被害児童保護者の意見陳述の機会の保障に誠実に対応することが重要。市長部局における責任部局の明示と合わせ、明快な答弁を求める。

再調査を確約、「保護者の意向にも配慮」と答弁

総務部長…いじめ防止対策推進法に基づき、市長部局において再調査を実施する方針とした。市長部局での担当部局は 総務部とし、法務・人権・子供の権利 の観点から、地域・市民生活部及びこども未来部と連携を図りながら、国のガイドラインに沿って進めていく。再調査委員会の委員の選出や、意見を聞く場について、被害児童保護者の意向にも配慮しながら、連絡を取りながら対応を進めていく。初会の会議については、委員の選定後、関係者の日程調整を行った上で、速やかに開催できるよう準備を進めていきたい。

保護者が願う「実態究明、再発防止」に応える再調査を

私からは、再調査委員会の設置が明示されたことを踏まえ、「被害児童保護者が提出している調査報告に対する『所見』等に基づいて具体的な意見陳述がされないと再調査委員会は機能しない。保護者の方からは、我が子のようないじめの事態が学校で繰り返されないこと、しっかり再発防止に活かされることを願って再調査を求めているとのお話をいただいている。ぜひ、そういう保護者の思いを重く受け止めながら対応方を進めていただきたい。したがって、被害児童保護者の意見陳述、所信の再表明の場を保障をし、そこを出発点にして市長部局における最調査委員会の調査が着手されることが肝要である」旨を強く指摘し、誠実な対応を重ねて求めました。

いじめ重大事態の判断、躊躇なく行われているのか

学校におけるいじめの認知件数がコロナ禍の影響により急増しています。いじめの認知状況及び対応状況、さらに「重大事態」と判断して対応しているいじめ事案の状況と対応を質しました。

いじめの早期発見・迅速な対応・再発防止が欠かせないことは言うまでもありません。いじめ重大事態の判断、第三者委員会の調査に躊躇なく対応されているのか、それぞれの調査報告において指摘された再発防止に向けた提言、教訓が学校現場に行き渡り、気づきのアンテナが再確立されているのか、具体的な事例を含め問いました。

いじめ重大事態は15件、4件が調査継続中

これまでにいじめの重大事態として取り扱った件数について、教育次長は「学校が調査主体となった事案が13件、市教育委員会が調査主体となった事案が2件の計15件。うち調査が終了したものは11件で、残り4件は調査継続中」と答弁。

重大事態に関わる対応については、「各学校からの報告に基づき、いじめ防止対策推進法やガイドラインなどに照らし、重大事態の疑われる段階から担当指導主事を学校に派遣し、対応について指導、助言、支援している。重大事態の疑いが生じた段階で躊躇なく調査を開始するとともに、法律、心理、福祉等の専門家をいじめ問題調査委員として学校へ派遣している。調査主体を市教委とした場合は、第三者委員会であるいじめ問題調査解決チームが調査を開始している」としました。

急増するいじめの認知件数…上半期で小学校497件、中学校で36件増加に

教育次長は、いじめの認知件数について、「令和2年度末で小学校1,058件、中学校252件、合計1,310件あり、このうち、小学校では76%、中学校では66%が解消、残りの事案は指導継続中または経過観察中である」と現状を報告。

★教育委員会・学校教育課の提出資料より

昨年度と本年度の上半期におけるいじめ認知件数を比較すると、「小学校で497件、中学校では36件増加」しているとし、認知件数が急増している実態が明らかになりました。

認知件数の増加は、教員による「気づき」によるところが大きいともします。

R2年度認知事案のうち、小学校で254件、中学校で86件が「指導継続中または経過観察中」ということになります。いじめの実態解明、再発防止に向け適切な対応が行われることを願わずにはいられません。

再発防止、未然防止に向け、教訓が現場で活かされているのか

長いですが、教育次長の答弁を掲載します。

教育次長…これまでの調査報告において指摘された改善点については、校長会でケーススタディーとして扱い、教職員への周知徹底を指導してきた。また、弁護士を講師とした研修会を開催し、法律やガイドラインの内容にかかわる実務的な知識を深め、組織的で迅速な対応について周知徹底を図ってきている。さらに、学級担任や生徒指導主事を対象として、事実の聞き取り方や記録の取り方を学ぶ研修を実施してきた。また、新規採用教員には、いじめ事案を1人で抱え込まず組織的に対応することの重要性について扱う研修を開催するなど、教職員の様々なキャリアステージに応じた研修を継続的に実施している。

徐々にではあるが、その成果として、登校中にかばんをいじられる、筆箱を勝手に開けられるといった、特に小学校低学年における日常的なトラブルでも、積極的に、いじめの疑いがあると認知し、教職員のいじめに対する感度が高まってきている。

実際、学級担任によるいじめの発見は、昨年度の同時期と比較しても、小学校で54件、中学校で5件増加している。

また、重大事態の疑いがある事案に対し、すぐに担当指導主事が学校に出向き、学校・保護者と連携した組織的な対応により、保健室を一時的な居場所にしたり、学年教科担任制を実施したりするなど、より多くの教職員による関係児童の見守りを実施することで解決した事例もある。

現在進展中の案件についても、再発防止の指導については真摯に受け止め、長野市いじめ防止基本方針等を適宜見直し今後に生かしていきたいと考えている。

今後も、児童・生徒が安心して学校生活を送るために、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に向けた取組の徹底を図っていく。

今回の質問で、学校におけるいじめ事案や学校トラブルに少なからず関わってきた一人として、いじめ防止対策推進法の課題として感じる点を述べ、教育長...

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