3月定例会の質問より➍…「県の契約に関する条例」を共有化し、市公契約条例の早期制定を

 長野県では昨年4月に「県の契約に関する条例」が施行されました。「公正で適正な契約による地域経済の健全な発展」「県民への安全かつ良好なサービスの提供」「持続可能で活力ある地域社会の実現への配慮」「社会的責任を果たす事業者の育成への配慮」を基本理念とするものです。

 千葉県野田市が先鞭をつけた、賃金の下限を条例で定めた公契約条例とは趣旨が異なりますが、公契約において、地域経済の発展と安全・良好な公共サービスの品質確保という観点から、雇用の確保、労働者の適正な賃金水準など労働環境の整備に踏み込んだものであり、今後の県の具体的な取り組みが期待されています。

【参考】長野県の契約に関する条例の概要と施策例

公契約条例とは?

地方公共団体が民間企業やNPOなどに公共工事、物品の購入、あるいはごみ収集やビルメンテナンスなどの業務を委託する時に結ぶ契約を、公契約といいます。
地方公共団体が契約を結ぶ際、入札基準や落札者決定で契約先における労働者の生活賃金や雇用安定、男女共同参画、障がい者雇用、環境、地域貢献など社会的価値を評価することを定めるものが、公契約条例です。

2009年に千葉県野田市が初めて条例を制定しました。

求められる公契約条例は、受注者と発注者の合意を基本とする契約であり、公権力による規制ではないこと、自治体が定める労務報酬下限額以上の労賃が就労者(下請け就労者を含む)に支払われるように自発的に措置し履行するものであり、公共工事や行政の委託業務など公共サービスの品質確保を図るとともに、事業者相互間・労働者相互間の公正競争の実現を図るものであることが重要であると考えます。
公権力的な規制を規定しない川崎市や多摩市の公契約条例がこれに当たります。

 長野市においても、「県条例の理念と趣旨、制度設計」を共有化し、長野市公契約条例の制定に向け「研究」から「実施」へ移行するよう質しました。

市長、「県条例は配慮すべき」との認識示す

 市長は「県条例の基本理念については、本市においても配慮すべきもの」との認識を示す一方、他団体では、条例ではなく、指針や基本方針による例もあることから、長野市契約のあり方については「県条例及びその具体的な取り組み、他団体の状況も注視し、庁内検討組織で引き続き調査研究していきたい」との答弁にとどまりました。

「目的意識持った調査を」と苦言呈す

 ここ10年来、「調査研究を続ける」との変わらぬ答弁に、「どんな目的意識を持って調査しているのか、今の調査研究状況の段階を示す」よう苦言を呈しながら迫りましたが、財政部長は「県でも審議会で条例に基づき理念の具体化を検討中。そうした状況を踏まえ研究を進める」との姿勢でかわされてしまいました。

 「配慮すべき県条例」との認識に立って、具体化していく目的意識を持って調査検討するよう強く要請しました。

総合評価落札方式…施行から本格実施を

 建設工事や委託事務の品質確保、ダンピング受注の排除、労働者への適正賃金の支払い等を担保する観点から、入札の改善についても質問しました。

 建設工事等における総合評価落札方式は、地域貢献度等の加点基準・項目が順次拡大されてはいますが、いまだ「試行」、試みのままです。早期の本格実施と、建設工事だけでなく、製造の請負、物件の買い入れ、その他の契約においても総合評価落札方式を拡大していくことを求めました。

 財政部長は「本格実施への移行を検討している」としつつ、「価格以外の評価に確認書類を必要とするなど、通常の価格競争方式と比較して、受注者、発注者共に事務負担を伴うという課題もあり、これらの課題解決に向けて取り組んでいるところ」と理解を求めました

清掃・警備業務など「適正な予定価格」の設定を

 例えば、本庁における清掃業務・警備業務は、2年契約となっています。過去5年間の3回の落札状況は、清掃業務でH22年、1150万・落札率71.0%、H24年、1150万・落札率91.6%、H26年、1077万・落札率80.6%で推移。警備業務では、H22年、247万・落札率91.7%、H24年、246万・落札率89.5%、H26年、247万8千円・落札率99.5%で推移しています。

 基本的に人件費が中心となる業態の入札状況をみると、予定価格に大きな変化はなく、一方、業者の入札額には大きな開きがあります。業務内容に照らして、適正な発注仕様、予定価格の設定が行われているのか、前回落札額をベースとした予定価格の設定となっていないのか、従業員の適正な賃金・労働条件の確保がなされているのか、いささか懸念される状況です。

 予定価格の適正な設定をはじめ、適正な賃金水準の確保、社会保険・労働保険の加入など労働環境の整備に資する仕組みに改善されることを求めました。

 財政部長は、「清掃や警備の業務委託に関しても最低制限価格の設定など制度の見直しを進めている。また、建設工事においてはH27年度から社会保険加入義務がありながら未加入の事業者を資格がないものとして扱っている。労働環境の整備背に資する仕組みについてさらに深めたい」と答弁しました。

 今後も引き続き、具体的な提案をしながら、入札改善を図っていきたいと思います。

適正な賃金の支払いを確認する「契約後確認調査」の実施を

 建設工事において、県は「契約後確認調査」を強化しています。「労務者の確保計画の比較表」(入札時の労務単価と工事完成時の実際に支払った労務賃金)の提出等を通じて、適正な賃金の確保状況を把握しようとするものです。

 大規模施設建設がまだ途上にある中、市としても導入を図り、適正な賃金の支払いを担保するよう求めました。

 財政部長は、建設工事における県と長野市の平均落札率など共通点があることから、「まずは、県が実施する調査結果を注視し、市の対応を考えていきたい」と、県の取り組みの様子見姿勢を崩しませんでした。

公契約条例は時代の要請

 県都・中核市としての意気込みが感じられない姿勢です。
 ILO94号条約(公契約における労働条項)に基づき、国においては『公契約法』の制定、地方自治体では『公契約条例』の制定、これらは時代の要請です。

 地域の公正労働基準が担保される契約となるよう、引き続き努力したいと思います。

 また、建設工事だけでなく清掃や警備、印刷等の委託業務について、入札状況を点検し、具体的な改善策を求めていきたいと考えます。