「企業は感染の事実を公表すべきではない」に異議あり

12日の市議会・政策説明会で市長は、「感染症患者のプライバシーを保護するため、公表が市民の不利益とならない場合は、企業は従業員の感染の事実を公表すべきではない」との考えを表明しました。

長野市では、これまでも、不特定多数への感染拡大のおそれや感染拡大防止に必要がある場合を除いて、企業名を公表せず、プライバシー保護のため、感染患者の職業も公表してきていません。

例えば、「林檎館」「古牧整骨院」は公表しましたが、「JR東日本の北陸新幹線車掌」は公表していません。

JR東日本の場合は、長野支社が自ら公表したものです。

私は、行政の対応としては理解しますが、「社内での感染事実の公表が、かえって感染された従業員のプライバシーの過度な侵害になってしまうケースが多い」ことを理由に、一首長が企業に対し「公表すべきではない」と言い切ってしまうことには、違和感と異議があります。

市は「公表するか否かは、市民の利益となるか、不利益となるかによって判断すべき」とするのですが、企業が従業員の感染事実を公表し、感染拡大防止に取り組む姿勢を改めて住民に周知することは、企業の社会的責任として問われる問題であり、市民社会総体にとって利益となることだと考えます。

確かに、公表により関係者へのいわれなき偏見・差別が深刻な現状にあることは残念ながら事実です。許されないことです。

しかし、公表しないからと言って、差別や偏見、人権侵害がなくなるわけではありません。より隠然化・陰湿化することの方が懸念されます。いわば被害者である感染患者・家族への人権侵害は「悪」であるということを受容しあう社会の形成にこそ努めるのが行政の責務でしょう。

首長が企業に対し「公表すべきでない」とするのは、企業が果たすべき社会的責任の行使への越権行為なのではないか、行政としての情報統制につながる危険性がないのか、少なくとも「公表に関し、市民益の観点から慎重な対応を求めたい」といったトーンで首長判断として示されるべきではないかと考えます。

賛否両論があろうかと思います。ご意見をいただければ幸いです。