新庁舎のひび割れ…「建物の安全性は担保」と専門家評価

第一庁舎・芸術館の建物外壁に686箇所のヘアークラック(微細なひび割れ)が発生した問題で、21日、専門家による検証と意見交換会(非公開)が行われ、その結果が公表されました。

議会質問で取り上げてきた案件であることから、結果発表会に参加しました。
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提案した第三者・専門家による検証が実現

免震ゴム交換工事の妥当性や建物の構造的な安全性を検証するために実施されたもので、建築構造学が専門の福岡大学工学部の高山峯夫教授、建築材料学専門の日大理工学部の中田善久教授らの専門家を招聘しました。

また、設計者である梅沢建築構造研究所の梅沢良三・代表取締役、工事施工者の前田建設工業㈱から担当者が参加し、現場を確認の上、非公開で意見交換が行われました。

市側は、「ひびはコンクリートの乾燥収縮によるもので、免震ゴムの交換工事が乾燥収縮を助長した可能性は否定できないが、建物の安全構造上、即問題となるものではない」と説明してきました。

私は3月議会で「市民の不安を払しょくするためにも、工事関係者だけでなく、第三者の専門家・専門機関による検証を行い・市庁舎・芸術館の安全宣言を行うことが不可欠」と指摘・提唱してきましたが、これが実った形です。

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専門家による検証結果の報告のポイントは次の通り。

【免震ゴム交換工事は最高レベルの技術で適正】

1000基のジャッキが必要な交換工事に500基のジャッキで、8グループに分けて実施された免震ゴム交換工事の手法については、「最高レベルの技術により適切に実施されており、構造的な被害はない」(高山教授)、「計画段階での十分な解析と確実な施工管理により、最先端技術で行われた適切な交換工事だ」(中田教授)とする見解が表明されました。

また、高山教授は「建物全体をすべてジャッキアップして交換工事を行うことは前例がない。工事中の地震対策との兼ね合いで、部分的なジャッキアップの方法は最善と考えられる」としました(私の質問に対し)。

【ひび割れはコンクリートの乾燥収縮が主たる要因で建物の安全性は担保】

ひび割れの現状評価と発生原因については、「コンクリートの乾燥収縮が主たる要因であり、建物の安全性・性能は担保されている」(高山教授)、「コンクリートの材料には玉砂利や川砂利など良い素材が使われている。乾燥収縮によるひび割れの特徴が表れている。コンクリートが安定するには2年間必要とされる中、日射や温度の影響もあり、免震ゴム交換工事ジャッキアップがひび割れ発生の要因の一つかもしれないが、0.3mm程度のひび割れは許容範囲。定期的なメンテナンスがあれば建物の安全性は保持される」としました。

【免震ゴム交換工事に規格の統一が必要】

免震ゴムそのものは国交省の認定が必要とされていますが、取り付け部分については認定外となっているそうで、「免震構造協会等によって規格の統一に向けた調整が必要」(高山教授)、「建築基準法に規定がない。50年後を見据えてJIS規格、JAS規格で統一基準を設定することが必要ではないか」(中田教授)と指摘されました。

長野市の免震ゴム交換工事からの教訓の一つと言えます。

このことに関連し、構造設計にかかわった梅沢氏は、有意義な議論であったとした上で、「東洋ゴムの偽装による免震ゴムの交換工事は150箇所あるが、100箇所が手づかず状態。長野市の事例が今後の交換工事に役立てばありがたい」と述べました。

庁舎・芸術館の建物の特異性に関し質問

私は、高山教授との個別のメールやり取りで、教授が一般論と断りながらも「長野市の庁舎、芸術館というのは、両側に大きな建物、庁舎とホールがあって、それを小ホールの部分、小さな構造体でつなぐような形となっている。もし両側の建物が異なった鉛直方向(水平面に対して垂直なこと)の変形などがあれば、その影響は小ホール部分に現れる可能性がある、こうした点に配慮しながら交換作業を進める必要がある」と指摘されていた点に関し、現場検証でかかる所見はなかったのかを確認、教授は「そうした所見は見受けられない」としました。

また、免震ゴム交換工事にあたり、必要なジャッキの半分程度の交換工事の適正についても質問しましたが、高山教授からは前述通りの回答が示されました。

庁舎・芸術館の安全性に“お墨付き”

東洋ゴム㈱の免震偽装による免震ゴムの交換、芸術館の見切れ席、工事の大幅な遅れ、そして建物外壁に多数のひび割れと何かと物議をかもしてきた第一庁舎・芸術館ですが、第三者である専門家から「建物の構造的な安全性は担保されている」との“お墨付き”を得た格好となり、正直、安堵しています。

3月議会の質問でも取り上げましたが、不安を抱いている市民に向けて、第一庁舎・芸術館の安全宣言を市長名で発することを求めたいと考えます。当然、行われるものと推察していますが…。

ところで、窓枠の歪みや扉の渋みなど建具の不具合について質問することを失念しました。改めて確認したいと思います。