公費解体等におけるアスベスト対策の強化を求め市に要請

2月10日、長野県アスベスト対策センター(代表=鵜飼照喜・信州大学名誉教授)の役員の皆さんと一緒に、被災住宅の公費解体が始まることを見据え、家屋の建材等に含まれるアスベスト対策の強化を長野市に要請しました。

テレビや新聞など、マスコミでも取り上げられました。報道等を通じて、アスベストの危険性と飛散防止策の重要性についての認識が広がることを大いに期待したいと思います。

アスベストは吸い込むと30年から40年後に肺がんや中皮腫などを引き起こすことから「静かな時限爆弾」といわれ、建物を解体する際には、危険度が最も高いレベル1の吹付アスベスト、レベル2の断熱材などは届け出が必要で飛散防止対策が義務づけられています。しかし、壁や床材など建材のレベル3には法的規制がかかっていません。

レベル1であっても、解体事業者のアスベストに対する危険性の認識度によって、十分な安全対策が講じられないケースが生まれている実態にあります。

県アスベスト対策センターでは昨年12月23日に被災地やがれき仮置場等の現地調査を行い、長野市の担当部局との意見交換を行ってきています。

12月23日、長野県アスベストセンター(代表=鵜飼照喜・信州大学名誉教授)の台風19号被害建築物等のアスベスト調査に同行、災害廃棄物の仮置場...

12月の意見交換受け、注意喚起と防塵マスクの配布始まる

市では、12月の意見交換の場での要望・提案を受け止め、2月に入って、被災住民・ボランティア・解体事業者向けそれぞれに、注意喚起と法令順守を周知するチラシを作成・配布するとともに、ボランティアセンターでは解体作業等に従事する場合にアスベスト対策用の防塵マスク(DS2)の無償配布を始めています。広報ながの4月号でも市民向けに注意喚起を促すとのことです。

技術者団体と連携した万全なアスベスト対策など8項目を要請

今回の要請では、市のこうした取り組みを評価し踏まえつつも、被災住民やボランティア、解体事業社等で働く労働者の命と健康を守るため、改めてアスベストの飛散・ばく露防止の徹底、対策の強化を求めました。

12月23日の現地調査での写真を交えながら要請する鵜飼会長

市からは、環境部長をはじめ環境保全温暖化対策課、公費解体対策室、ボランティアセンターを運営する社協の皆さんに出席いただきました。

要請事項は、ボランティアに対する注意喚起の徹底と防塵マスクのつけ方の説明会の開催などさらに対策を徹底すること、自費解体・公費解体が始まる中、解体業者に対し、特にレベル3とされる床や壁・天井などの建材に含まれるアスベストの取り扱いに関し、厚生労働省の「石綿障害予防規則」や「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル」などの指針に沿って指導を徹底すること、安全対策を怠る悪質業者を排除するため、アスベスト対策を事業者選定条件に盛り込むこと、専門的な技術者団体と連携し、被災家屋の解体前にアスベスト含有建材等の現地調査・チェックをすること、がれき仮置場でアスベスト含有が懸念される「波型スレート」や建材などの「スレート板」などの分別、飛散防止策を徹底することなど8項目。

公費解体の全家屋を事前調査

市の環境部長は、要請事項や提案をしっかりと受け止め、アスベストによる健康被害が起きないよう法令順守と啓発を進めていきたい」との基本姿勢を示すとともに、公費解体では解体工事業協会と一時請負契約を締結し、仕様書にアスベスト対策を盛り込むとともに、解体前に専門的な調査者の同席のもとで対象となる全家屋を事前調査し、工事中においても適宜立ち入り調査を実施する考えを明らかにしました。

しかしながら、自費解体では「民・民契約」となることから調査対象から除外するとし、監視・チェックが行き届かないことも明らかになりました。

自費解体においてもレベル1・レベル2のアスベスト事前調査及び飛散防止策は法的に義務化されていますから、民間事業者の工事を監督・監視する責任は長野市にあるはずです。回答の趣旨を確認・吟味することが必要です。

ボランティア、解体作業を想定せず

発災から災害ボランティアの受け入れを行ってきたボランティアセンターでは、ボランティアの作業として「壁や床の除去などの解体作業を想定していなかった。アスベストに触れることはないものと考えていた」とする一方、事業者から寄付された防塵マスクを10月末段階から必要に応じ配布してきたとしました。

しかし、実際は壁や床の建材の除去作業は行われています。瓦礫の仮置場となっているアクアパルに危険なスレート材が保管されていることからも明らかです。

今災害の対応を教訓として、今後に生かしたいものです。

抜き打ち調査の実施やアスベスト調査の履歴を残す「台帳」作成を提案

センター側からは、熊本地震での公費解体で熊本市がアスベストがしっかり分別されているか抜き打ち調査していた事例を紹介し、抜き打ち検査の実施を提案するとともに、万が一ボランティアや事業者の労働者に健康被害が生じた場合、いつ、どこでばく露したかなどが追跡調査できるよう、活動状況を把握できる台帳作成の必要性も指摘されました。

中央環境審議会…レベル3も法的規制対象とする答申に

本年1月末にまとめられた中央環境審議会の「今後の石綿飛散防止の在り方について」の答申では、レベル3建材も特定剣突材料に追加し、作業基準の策定、事前調査の実施等、法の規制対象とすること、事前調査の方法を定め、一定の知見を有する者が調査を行うことなどを打ち出しました。

答申に基づく法改正は今通常国会のマターとなるようです。

災害時における自費解体・公費解体が始まる中、中央環境審議会の答申を踏まえた先見性ある取り組みも求められていると考えます。

災害時の家屋解体作業で、アスベストによる健康被害を一人も出さないために!です。

法改正の動向をチェックしつつ、前進してきているとはいえ長野市としてのアスベスト対策がより十分な監視の下で実施されていくことを願いつつ、引き続き取り組みを進めたいと考えます。