72回目の憲法記念日

前天皇の生前退位、新天皇の即位、「平成」から「令和」の「改元」フィーバーの中で迎えた5月3日、72回目の憲法記念日。

安倍首相は5月3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ「憲法にしっかりと『自衛隊』と明記し、違憲論争に終止符を打つ」「2020年の改正憲法施行をめざす気持ちは変わらない」と述べ、改めて「来年の新憲法施行」への強い意欲を示しました。

夏の参院選で、参議院における改憲勢力3分の2の議席を打ち崩すことが焦眉の政治課題です。

憲法記念日に催した信州護憲ネット主催の「第29回市民の憲法講座」では、前中川村長で信州市民アクションの共同代表を務める曽我逸郎さんが『~私が村長の時に「国旗に」に一礼しなかった理由~新元号「令和」フィーバーの中で考えること』と題し講演。

曽我さんは村長時代、村の戦没者・戦争犠牲者追悼式で国旗を掲げなかった理由を「なぜ戦争で死ななければならなかったのか、どうすればそれを防げるか、という戦争の本質を深く考えることに蓋をすることになるから」と述べ、「忖度や空気の圧力に従うのではなく、自分で考え、自由にものを言い、議論、批判し合える社会にすることが大切」と強調しました。

さらに、日本国憲法前文の「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」を引用しながら、「政府がこの誓いに本気で取り組んだことがあるのか、否だ」と指摘し、憲法は権力を縛るものであるとともに、、憲法が指し示す崇高な理念の実現に向けた統治権力者の努力を課すものである」と強調しました。

また、県護憲連合の中央行動として、市内もんぜんぷら座周辺で、ビラを配布しながら憲法を生かす全国3000万人署名を呼びかけました。

善光寺花回廊や第3回獅子舞フェスティバルで賑わう中、若い世代の皆さんが足を止め署名にご協力いただきました。

一方、右翼団体はJR長野駅前で「改憲」を訴える街頭宣伝を行いました。改憲右翼団体の公然たる活動には警戒が必要です。


県内では、地区護憲連合や戦争をさせない1000人委員会などが中心となって、松本市では、40ヶ月間のシリアでの拘束から帰還したジャーナリスト・安田純平さんを招いて「私にとっての憲法・戦争・ジャーナリズム」と題する講演会、伊那市では元文部科学事務次官の前川喜平氏を講師に「安倍政権が目指す改憲と教育の政治支配」と題する講演会がそれぞれ催されました。

それにしても、生前退位による新天皇の即位は、前天皇への謝意と新天皇への祝意一色となった10連休です。朝日新聞が「テレビは改元をどう報じたか」の記事を掲載、学識者の意見を紹介しながら「天皇制について深く考える絶好の機会を生かせていない」と指摘しました。

「改元」フィーバーともいうべきお祭り騒ぎのもと、為政者による天皇の政治利用が深く深く浸透していることを憂慮する一人です。

とはいえ、私の次女は5月1日に入籍しました。平成元年生れの次女としては令和元年に入籍することで「自分の人生の節目にしたい」との想いがあったようです。元号を人生の節目として受け止める今どきの娘には、もっとグローバルな視点を忘れず人生を築いていってもらいたいと思う私がいるのですが…。

朝日新聞の記事を紹介しときます。

朝日新聞5月2日付「テレビは改元をどう報じたか NHKは3日間で33時間」

30年前に引き続きテレビは今回も改元一色に染まった。NHKの場合、放送時間は4月29日からの3日間で定時ニュースを除き33時間。何が読み取れるのか。
 「全体的に軽かった」と藤森研・専修大教授(ジャーナリズム論)はみる。平成時代を回顧するバラエティー仕立ての番組も多く、番組表のほとんどを改元関連番組で埋めたNHKのホームページには「特別な日。一緒に、歴史的な瞬間を楽しみましょう」との文字が躍った。
 30年前の平成への代替わりの前後に祭りが中止になったり、テレビからCMが消えたりして自粛ムードが高まったことを週刊誌「朝日ジャーナル」で何度も記事にした元朝日新聞記者の藤森さんは、今回の「軽さ」を「重苦しい代替わりよりは望ましい。30年前にあった同調圧力が減じたという意味では、前進だったのではないか」と前向きに評価する。
 生前の退位だったため、そもそも自粛とは無縁だったが、天皇に対する人々の意識が大きく変わった影響も見逃せないという。平成の天皇が、慰霊の旅や被災地訪問などを通じて象徴天皇の一つの形を示し、国民の多くが肯定的に受け止めたため、「天皇の存在が『問い直す』対象だと意識されにくくなったことが『軽さ』につながった」との分析だ。ただ、その結果として「世界的に見ると特異な元号や地位の世襲のあり方について、改めて考える議論があまり見られなかったのは残念だ」とも話す。
 元号が令和へと変わった1日午前0時には、どの局も生放送の特別番組を構え、東京・渋谷のスクランブル交差点などを中継で結んで年末年始さながらにお祝いムードをもり上げた。
 メディアが改元を「一つの時代の幕開け」として過度に演出したことを懸念するのは、水島久光・東海大教授(メディア論)だ。「現行憲法下の日本では主権は国民にある。天皇の交代によって時代が変わるという価値観とは本来は相いれないはずだ。そこに配慮しないばかりか、何カ月も前から『平成最後』を連呼し、『元号』を『時代』と意図的に読み替え、あおったのは問題だ」とみる。
 4月30日放送のNHKスペシャル「日本人と天皇」や報道番組の一部などで天皇制を検証しようとする内容があったことは評価するとしつつ、「全体として改元をお祭り騒ぎにした感は否めない」という。生前退位の意向が示されてから2年以上も時間があったにもかかわらず、「テレビメディア自身が覚悟を持って天皇制という重いテーマに向き合わなかった結果、急ごしらえの似たような番組があふれた。国民が天皇制について考える絶好の機会をもっと生かす手はあったのではないか」と指摘する。(鈴木友里子、真野啓太)