水道民営化に舵きる「コンセッション方式」…「現時点では導入の検討に入らない」と答弁【12月議会の質問より➊】

12月5日の代表質問では、「市長の市政運営の基本姿勢」など10のテーマで質問を行いました。一定前向きな答弁が示される一方で、後ろ向きな姿勢も明らかになったと受け止めています。順次報告します。

まずは、安全・安心な水を守る。水道法「改正」と長野市水道事業の将来について、特に水道法「改正」に伴う問題です。

国会では6日、水道事業の民営化に舵をきる改正水道法が数の力で成立してしまいました。

コンセッション方式の導入と県を中心とする広域連携による基盤強化の問題を取り上げました。

コンセッション方式の導入を選択肢としないことを強く求める

水道法「改正」の最大の問題点は、市町村が担う水道事業に「コンセッション方式」を導入し、水道民営化に大きく舵を切ることです。

内閣府のサイトより。バラ色の未来を描くのだが…。

コンセッション方式では、民間事業者が運営権と料金徴収権を保持することから、市民の大切な生活インフラである水道を、利益重視の競争原理にさらしてしまう危険性があります。

水道民営化を導入した世界の多くの自治体では、水道料金の高騰等により、再公営化が相次いでいます。

本市として、コンセッション方式の導入は選択肢としないことを明言し、市民生活に欠かせない水道事業を民営化しないよう強く迫りました

「現時点では、導入の検討に入ることは考えていない」と明言

上下水道事業管理者は「上下水道局では、水道に関する技術を職員が継承し、組織の中で技術力を高め行くことを重視しており、水質等の安全性の確保や災害時等のリスク対応力といった観点から、現時点では直ちにコンセッション方式導入の検討に入ることは考えていない」と明確に答弁しました。

「他事業体での導入による効果や課題等は見極めていく必要がある」との慎重な姿勢も示しつつも、また「現時点では」という条件付きの答弁ですが、「市の直営事業として技術継承していくことを重視する」基本的な姿勢が示されたことと合わせて考えると、コンセッション方式には否定的な見解を明確にしたものと受け止めます。

非効率的な地域特性から民間事業者の参入は困難

上下水道局では、日本政策投資銀行と民間コンサルティング会社との共同で、官民連携手法の導入について調査研究した際に、本市の水道事業が「起伏が多く人口密度が低い給水区域の中に、水源や小規模な水道施設が多数点在する非効率的な地域特性を有している」ことから「現在の事業規模では、民間事業者の参入は難しい」との判断が示されたこと、また、1980年代以降に民営化を導入したフランスやドイツでは水道料金の高騰や水質の悪化、行政側の技術の喪失などの課題が顕在化し、再公営化されたことを指摘し、コンセッション方式の導入を検討しない考えを示した格好です。

上下水道局の姿勢を評価しつつ「現時点といわず、恒久的にコンセッション方式を導入しない」よう強く求めた次第です。

県と連携し、地域にふさわしい広域連携を研究

水道法「改正」のもう一つの課題は広域連携です。

長野市では、犀川以北の市水道エリアと犀川以南の県水道エリアとの統合が懸案課題となっています。私は、水道法の改定を機に、事業経費の圧縮、財政の健全化をにらみ、県と連携し広域連携による道を開いていくことが重要であると質しました。

市は「水道事業の広域連携には、老朽施設の改築・更新費用の負担方法や、料金格差など解決すべき課題は多いものの、施設の統廃合による水運用や維持管理の効率化、人材・資金など経営資源の効率的な活用が図れる可能性がある」との基本認識を示しつつ、H29年度から県の長野地域振興局エリアで「長野圏域水道事業広域連携検討会」が設置され、連携方策等についての検討が始まったことから、県が中心となって進める広域連携の取り組みに参加する中で、地域にふさわしい広域連携を研究していくと答弁しました。

市では、これまで、県企業局、上田市、千曲市、坂城町による「水道事業運営研究会」を参加し、水道事業の相互理解を図り、より良い水道事業の在り方を検討してきていますが、県を中心にして長野圏域を含めたより広域なエリアでの連携を模索する段階に入っているということです。

水道事業の広域連携については、課題を一つ一つ解決しながら連携が形になるようチェックしていきたいと考えます。

水道老朽管の更新前倒し…困難と答弁

若槻地区での水道管破裂事故を踏まえ、原因究明と老朽化した水道管の更新事業を可能な限りの前倒しし、市民の不安を解消することを求めました。

若槻地区の水道管破裂は、主に経年劣化が原因と考えるが、水圧変動による破損など様々な事故原因が考えられることから、「一般社団法人・日本ダクタイル鉄管協会」に、破裂した水道管の強度や埋設場所周辺の土質と水道管劣化との関係など、専門的な見地で原因分析を依頼しているとしました。

更新事業の前倒しについては、「更新前倒しのための事業費の増額には、財源確保のために料金の大幅な値上げを検討する必要があることや、老朽管が多く点在する中心市街地や、都市計画道路など幹線道路での更新工事は、交通規制に伴う交通渋滞などの市民生活への影響が大きくななるため、経過の前倒しは難しい状況」と答弁しました。

水道料金の大幅な値上げが必要といわれてしまうと、「やむを得ないか」と受け止めますが、原因究明の結果を待ちつつ、50年後を見据えた「長野市水道施設整備計画」の進捗を厳しくチェックしていく必要があると考えます。

信毎と朝日の報道より

水道法の「改正」成立に関連した6日付の信濃毎日新聞と7日付の朝日新聞の報道より。