新年度…市役所の組織・機構見直しの「ハテナ」?

9日から始まった平昌冬季五輪…メダル獲得がすべてとは思いませんが、ジャンプ・高梨選手の銅メダル、スビート女子の高木美帆選手の銀メダルなど、嬉しいニュースがようやく届きました。素直に「がんばれ!日本」です。

先週は、10日に催した県護憲連合定期総会の議案書作成や、8日~9日に会派=改革ネットで行政視察(藤枝市と岐阜市)を実施したりと、慌ただしく過ぎてしまい、ここ最近、長野市政に関するトピックスをタイムリーにお届けすることができないでいます。

今日13日も、3月市議会定例会の提出議案や重要政策についての「政策説明会」(議会に対する理事者側からの重要政策・施策に関する報告・説明)が開かれ、明日14日も引き続き開かれます。課題が一杯です。

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そこで、まずは、2月5日の政策説明会で報告された「新年度の市役所組織・機構の見直し方針」について、その概要と所感です。表題の通り「はてな」と思うところが…。

部局以外の組織・機構見直しは市の裁量

見直しにより、部局は17で変わりませんが、部内局が2から4に2増(部内局長は部長級)、課は111から110に1減、室は17から16に1減となります。部課長の数に変更はありません。管理職の数を増やさないというのも見直しの一つの”みそ”でしょう。

部局の変更は、子ども未来部の創設の場合など条例の改定が必要で議決案件となります。

しかし、部内への局及び室の新設は条例外規定で、議決が必要ないため、市側の裁量で組織・機構の見直しが図られることになります。既に部長会議の議を経た決定事項ということです。

「市長公室」や「ながのベジライフ推進室」の新設など、2期目の加藤市長のカラーというか、想いが打ち出されたとの受け止めです。

組織・機構見直しのポイント

➊公有財産活用局を新設
市公共施設等総合管理計画の推進体制の拡充を図るため、総務部に「公有財産活用局」を設置し、局内に公共施設マネジメント推進課を配置。また財政部から管財課を移管し、公有財産の公有財産の有効活用を一体的に取り組む。

➋市長公室を新設
企画政策部内に市長公室を新たに設置。政策課題のトップマネジメントによる進捗管理、部局間の連携を図る横串機能による推進を図るとともに、市長をトップとした積極的なシティプロモーション活動を推進する。市長公室のもとに秘書課と東京事務所を置く。また、インバウンドとの連携を図るため、秘書課に附置する国際室を観光課に移管する。

➌地域包括ケア推進課を新設
保健福祉部に地域包括ケア推進課を新設する。高齢者福祉課と介護保険課に分散している地域包括ケアに関連する医療・介護及び介護予防・生活支援などの業務を集約し円滑な連携を図るとともに、市民にわかりやすい体制とする。また、高齢者福祉課を高齢者活躍支援課に改称する。

➍ながのベジライフ推進室を新設
保健所健康課に「ながのベジライフ推進室」を新設。健康寿命の延伸に向けて健康意識の一層の高揚を図る。「ながのベジライフ宣言」の取り組みの推進が目的。

➎地球温暖化対策室を廃止し環境保全温暖化対策課に統合・改称
環境政策課を環境保全温暖化対策課に改称し、地球温暖化対策室を廃止する。温暖化対策を課の名称に組み込む。

➏伝統芸能推進室を新設
文化芸術課に伝統芸能の保存・継承活動を推進する「伝統芸能推進室」を新たに設置。

➐森林と農地を合体させ、森林農地整備課に統廃合
農業土木課と森林整備課を統合し、森林農地整備課に統合する。「新たな農業企画室」は廃止する。

といったものです。

公有財産活用局の新設は公共施設マネジメントを公有財産を活用する観点から総合的に推進していく体制として拡充を求めたきたもので、異論はありません。

地域包括ケア推進課や環境保全温暖化対策課の新設などは、異論はないものの、仕事ぶり、市民にとってのわかりやすさ・便利さに確実につながるのか、様子を見たいと思います。

ながのベジライフ推進室の新設は、市長の意向がストレートに反映したものでしょう。
市長の「ベジライフ宣言」の周知・徹底のとどまらず、「健康をつくる」視点から健康づくりに多角的・多面的にアプローチしていく役割を担っていくことが必要ではないかと思います。

いずれにしても、それぞれの新設された課や室の事務分掌(担当する仕事の内容)や職員配置体制を見極める必要があります。

そのうえで「はてな」というか疑問・疑念を二つ指摘します。

市長公室は“市長特命室”として政策決定のブラックボックスをつくらないか

市側は、部局横断的な連携が必要な施策、例えば、権堂地区の再生、中山間地域の活性化、2020年東京オリンピックに向けたインバウンド、善光寺御開帳、空き家対策、子育て支援、小さな拠点づくり、働き方改革などをテーマに「横串機能」を果たすための事務局の役割を果たすものと説明しました。

でも、「市長公室」の事務分掌はまだ明らかになっていません。

部局横断で取り組むべき政策施策課題が増大し、横串で貫かれる全庁的な政策・施策検討が求められていることは事実です。

従って、新たな市長公室は、様々な課題をプロジェクトに位置づけ、進捗管理を図り企画調整機能を担うセクションとなりそうです。

しかしながら、トップマネジメントが強調される「市長公室」…どうも、加藤市長の「特命室」という性格が色濃いのではないでしょうか。穿った見方をすれば、政策調整機能を集約する「市長公室」が、政策決定プロセスの透明化に反し、ブラックボックス化してしまうのではないかとの懸念が残ります。

加藤市長は1期目で、「中山間地域活性化プロジェクト」(継続中と推察)と「新幹線延伸・善光寺御開帳プロジェクト」(事実上、完了)を市長直轄のプロジェクトにしてきました。これらのトップマネジメント・プロジェクトはどのように総括され、何を教訓としているのか、定かではありません。

さらに、企画政策部長との役割分担、さらに特別職である副市長との連携・役割分担がどのように行われるのかという点も不明確です。

副市長の2名体制のあり方とも関連し、検証する必要があるのではないでしょうか。
私は副市長2名体制で役割分担する体制をつくることが必要であると考えています。

農業土木と森林整備の統合は、農地改良と森林整備の施策軽視につながらないか

市側は、国が創設を予定する森林バンク制度などを見据えた体制づくりを図るとともに、農林業に関連する土木業務の一体的な連携強化を図るためと説明します。

森林バンク制度は、手入れをされずに放置されているスギやヒノキなどの人工林を再整備するため、放置されている森林を市町村が借り上げて集約し、意欲のある林業経営者に貸し出す制度で、林業経営の規模拡大と環境保全を両立させる狙いで、森林環境税の導入と合わせ、国段階で検討されているものです。

であれば、森林整備課を強化することが必要なのではないでしょうか。

また、農業土木課は、荒廃農地の再生をはじめ、土地改良区などと連携し農地の保全にあたってきたセクションです。ある意味、農業者の皆さんにとっての大きな拠り所となっています。

管理職である課長を一人削減するために、統廃合しただけに過ぎないのではないでしょうか。数合わせであって、仕事の統合はそれぞれの分野の責任を曖昧なものにし、結果、施策展開に支障を生み出してしまうことが強く懸念されます。

より強化が必要な森林整備、農地保全の施策展開への軽視が背景にあるのではないでしょうか。
これは理解できません。

3月市議会で、問題提起しなければならないと考えます。

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