市議選を振り返って[その1]…争点

 選挙戦から1週間、議会内は会派の動向が焦点になっています。市議選を振り返っての雑感を独り言的に綴ってみます。争点、過去最低の投票率、二元代表制の3回シリーズで届けます。

 今回の市議選は、第一庁舎と市民会館の建て替え問題と住民投票条例への対応が争点の一つでした。選挙期間中、私は11会場で個人演説会を開き、大震災の教訓を活かし、住民の安否確認態勢と施設の耐震化を急ぐこと、安定ヨウ素剤の備蓄を始めること、福祉や医療、教育で市独自の負担軽減策を実現し、安心・安全を実感できる暮らしのセーフティネットをつくること、歩いて暮らせるまちづくりをめざし地域公共交通を性化させること、そして、市民会館建設は震災復興財源を見据え、見直しを図ること、自治基本条例と合わせ常設型住民投票条例に取り組むことなどを重点に政見を述べてきました。市民会館建て替えについては「仕切り直して、見直すべきは見直す」「市民が主役のまちづくりを進める」とする私の姿勢を理解し支持していただいたものと感じています。

 市議選で問われた課題はたくさんあります。前記の他にも中山間地域の活性化、子育て・子育ち支援の拡充、営み続けられる農林業の再生、企業立地・雇用確保、ごみ焼却場や新斎場の建設など大規模事業の今後、中心市街地の活性化、地球温暖化防止など環境対策、人口減少時代のまちづくり、財政健全化、人権の確立、議会の活性化などなど、まさに山積です。

 18日、選挙戦を振り返っての長野市民新聞の取材に、率直な感想として次の様に応えました。「市民会館と庁舎の建て替えや住民投票条例は有権者の大きな判断基準になったとは思うが、突出した争点にはなっていなかったように感じる。むしろ、市民の暮らしが切迫している中で、福祉や医療、介護など、もっときめ細かいあったかい市政を実現してもらいたいとの声が大きいと受け止めている」と。「市民会館問題は関心事ではあるが、暮らしそのものを何とかしてもらいたい」というのが、市議選に横たわる大きな関心事であったとの受け止めから、そのように発言しました。

 市民会館問題が選択のひとつの基準であったことは間違いないと考えています。しかしながら、市民会館建設問題を大きな争点に押し上げるためには、耐震や文化芸術の振興、市民の声の反映という切り口だけでなく、「税金の使い方・優先順位」「日々の暮らしにどうつながるのか」という切り口から分かりやすく語ることが求められていたのではないかと反省もしています。

 市議会議員選挙は、「地域・まちの代表」を選ぶ要素が色濃くなります。政党の看板を背負っていようとなかろうと、地域代表性の強い選挙戦となることは避けることができません。自ら住まう地域を、住民と一緒に、住み続けたい魅力的なまちにしていきたい、どんな取り組みを進めるかは、地域の大きな課題です。大切なことは、地域代表であることを原点にしつつも、地域代表に埋没することなく、長野市全体の未来を考え、自らの考えを示し、市民の審判を受ける…当たり前のことですが、このスタンスを忘れないことだと考えています。

 例えば、屋代線の廃止問題は、沿線地域だけの問題にとどまらず、長野市域の公共交通ネットワークをどのように再構築していくのかという市全体の問題でもあります。しかし、大きな争点にすることはできませんでした。

 全市的な課題と地域的な課題を結びつけ、市民感覚とバランス感覚を持って、具体的な政見・公約を打ち出すことで、争点を争点とし、権利である選挙権を行使することにつなげていくことができるのだと思います。「争点が見えにくい」、「具体的な施策が見えない」との声があります。こうした声を真摯に受け止め、市民の信託を得るということに謙虚さがより求められるということなのかもしれません。議員はオールマイティではありません。「これは譲れない」とする専門分野での批判能力と政策立案能力を磨き上げ、それぞれ議会論議をリードする役割を担いあうことだと思います。日常的に議会においてこうした政策論争が行われれば、議会はもっと身近になるでしょう。選択の基準をわかりやすく示す議員の側の課題です。自戒を込めての独り言です。